第一章『少年』
初めて書く作品なのでなかなか読みづらい点等多々あると思いますが、ご意見や感想を頂ければなと思います。
今は夕暮れ。
一つの公園に今時珍しい紙芝居屋さんがきていた。
このご時世に何が楽しくて紙芝居屋さんなどやっているのかは全くわからないが、まぁ他人趣味にどうこう言うつもりはない。
が、この紙芝居屋さんいかにも胡散臭い格好をしている。
いや、らしいといえばらしいのだが。
上はアロハシャツを第2ボタンまで開け、胸元にはシルバーのネックレス、下は七分のパンツを腰ギリギリに履き、足下はビーサンというまるでハワイにでも来てしまったかと思わせる格好をしているのだ。
体型は細身で、年は見た感じ30半ばといったところだろう。
その紙芝居屋さんの前には一人の少年が一生懸命に話を聞いている。
この少年こそ僕である。
名前は美方正義と言います。
当時は五歳で正義のヒーローになるのが夢でした。
この時がきっかけで俺は本気で英雄を目指すのだけれどもそのきっかけがこの紙芝居屋さんなのだ!
「さて、少年。今日の話はどうだったかな?」と紙芝居屋さん。
「んー。難しくてよくわからなかった!けど面白かった!」と無邪気な笑みを浮かべながら答える。
「ハハハ、まあそーだろね。だけどね、少年。これだけは覚えておくといい。正義の味方は絶対に報われないんだ。」おいおい、大の大人がいきなり少年に言う言葉かよ、と今の僕なら間違いなく突っ込みを入れたであろう台詞を聞いて少年は不思議そうに顔を傾げて問う。
「どーして?正義のみかたは絶対に勝つよ?みんなにありがとーって言われるよ?」と聞く少年。
紙芝居屋さんは軽く笑みを浮かべながら少年の頭を撫でてくれた。
「そーだ。少年はどんなヒーローになりたいのかな?」と唐突もなく紙芝居屋さんが訪ねる。
「僕は皆を守る正義の味方になる!」と当時の俺はなんの迷いもなく言い切った。
「そっか。なら紙芝居を見てくれた礼に君に良いものをあげよう。」と言うと紙芝居屋さんは少年の頭に手をおいた。
「良いもの?」と問う少年。
「うん、良いもの。それが少年の大切な人がピンチになったとき知らせてくれる。ほら目を閉じて十数えるんだ。ゆーっくりね。」
少年は頷くと言われた通りに目を閉じて数え始めた。
「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ……ななーつ……とー!!」と数え終わるころにはそこには誰もたっていなかった。
この時もらった『力』に目覚めたのは僕が中学に上がる頃だった。