把握
それは門を出る時の話だった。
「司君、早く決めて下さい。。」
「優柔不断だなお前は。」
俺はすごく迷っていた。
「う~ん、どーしよう?」
この世界ではプレイヤー全員が魔法を使える。
また、それとは別に職業がある。
職業には2種類あって、
主に戦闘のスタイルを変える戦闘職と、
生活などが楽になる副職業。
因みに副職業はなくても良い。
だが、
「戦闘職どうしよう・・」
戦闘職は必ず決めなければならない。
その場所が門の前だったのだ。
「早くしてくださいよ!」
「未来は良いよな。
最終的に聖騎士になる職業になれば良いんだから。」
「ゴタゴタ言ってないでさっさと決めろよ。」
「兄さんはもう少し考えたら?
ってか魔法使えんのになんで魔導士なんだよ?」
「俺の魔法は燃費が悪いんだ。
それよりさっさと決めろ。
進む話が進まない。」
さっきも言ったとおりプレイヤーは全員魔法が使える。
Lvによって使える魔法の量や、魔力の高さは違ってくるが、
始めたばっかの俺達には、大量の魔力を消費する魔法なんて普通使えない。
一体どんな魔法なんだ?
話を戻そう。
戦闘職にはいくつもの職業があるが、
はじめに選べるのは
剣士、武闘家、遊撃手、盗賊、魔導士のうちのどれかで、
これらは1次職と呼ばれる、全ての職業のスタート地点だ。
この1次職を決めてしまうと、最終的になれる職業はいくつかに決まってしまう。
このゲームには某RPGドラ〇エのダ〇マの神殿的な要素は無いから。
これらの経験値は先頭で得ることができ、転生LvというLvまで達すると、
より強化された職業、2次職、3次職、最上職となることができる。
で、どれにするか・・
まず俺は弓とか使えそうにないし、罠貼っても失敗しそうなので
遊撃手は選択肢から除外。
最終的には死霊や精霊なんかを呼び出せる職業になれるし、
最大MPも上がるけど、
普通に魔法が使えるので魔導士も除外。
この為初期職業が魔導士の人は少ない。
俺喧嘩に自信ないので武闘家も除外。
後は剣士か盗賊か・・・
盗賊はとりあえず早い攻撃だったのは覚えているけど、
剣士ってどんなんだったっけ?
最終的に聖騎士になれるから未来はこれにするって言ってたけど、
剣士の最上職って3つあったような・・・
あ、確か剣士の最上級に召喚剣士ってのがあったような無かったような・・・
なんだっけ?
そうだ、とりあえず剣士にする。
もう理由は王道だから。
このやり取りは僅か0.2秒!
で済むはずもなかった。
所要時間5分~10分。
だから散々罵倒された。
「職業は剣士にする。」
――――――――
門を出るとき俺たちはお金をもらった。
一人1000G。
これで装備を整えろと?
買えるは買えるが弱いのしか変えない。
無いよりましだけど。
―――――――
「1拍3人でお願いします。」
「15Gになります。
一番奥の部屋、これは部屋の鍵です。」
俺たちはまず宿に泊まった。
やや小さいが小奇麗でいい宿だ。
一番奥の部屋、小さめの宿だが3人入れるこの部屋はそれなりに大きかった。
俺が目指すのは敵をヴァンヴァン倒してく
王道ロールプレイング。
・・・だったよな?
あれ? 違った?
普通は街の外に出てモンスターと戦ったりしてるはずの時間帯、
オレらは宿にいた。
兄さんから事情を聞くために。
「とりあえず俺の知っていることは全部話すけど、
お前ら友達とかとの約束なんかは無いの?」
・・・そういえばなかったな。
「集まるのは明日なので大丈夫です。」
「全くそんな予定ないから大丈夫。」
「よし、それじゃあ話すぞ。
まずはじめに、Magicians Onlineの製作者は、
大人数ではなく少数である可能性が高い。
理由はあとで話す。
次に、これは確実なんだが、
そいつらはある人物を探している。
また、今のデスペナルティは所持金を半分失うだけだが、
最終的にこちらの死が現実の死となることが分かった。」
俺も未来もしばらくの間ポカーンとしてた。
結構面白い冗談ですね。
否、冗談ではなかった。
「恐らく全く意味が分からないだろう。」
おっしゃる通りです。
「俺がキャラクター設定を終えて、と言っても服を着ただけなんだが、
広場に来たとき、路地裏に2人の人物がいて、
黒いマント羽織って黒いフード被ってたんだ。
一人は俺と同じくらいの歳の女子、
もう一人は推測50年代のおじさん。
いかにも怪しげだったから
俺は興味津々でそいつらの話を聞いていたんだけど、
「おい、〝あいつ〟は来たか?」
「分かりません。
恐らくはまだだと思われますが。」
「まあ良い。
こちらの1日が現実での1秒だ。
焦らずやればいいさ。」
「それよりお義父様、
本当にデスゲームを実行成されるのですか?」
「最終的にはな。今はまだだ。」
「しかしそれだと関係の無い人々が
それも凡そ7千万人もの命が失われてしまいます!
もしそうなった場合日本は・・・」
「その時はその時だ。
だがただ単純に殺し合いをさせるわけではない。
これはゲームだ。
プレイヤーの勝利条件はこのゲームのクリアといった。
だがあいつは私たちのところに来るだろう。
それに私達にはプレイヤー等相手にもならん魔法が使えるだろう。
お前なら属性最強の魔法を。」
「そういう意味ではなく!」
「お前も私の娘なら分かれ。
あれがもし政府なんかに渡ってみろ。
私達はおしまいだ。」
・・・・・・という話だった。」
「まさかそんなのって
何かありえないな。
要するにはそいつら倒したらいいんだろうけど、
ならなぜ属性最強魔法じゃなく
竜をも滅ぼす魔法なんだ?」
「それに関しては、
この話を聞いたあと偶然友達とあってな、
そいつは属性を土にしようか風にしようか迷ってたんだ。
で、俺が
「風属性最強の魔法が使えるよう風の王に頼んで、
可能なら風属性、
不可能なら土属性にすれば?」
といった。
そいつは風属性最強を頼んだんだがそれは不可能だったらしい。」
「と、なれば?」
俺は聞いてみた。
未来は首をかしげている。
「ではその属性でどうやって最強になるか、
最強は難しいが、強いなら軽く超えれる条件が1つあった。」
話はそこで終わった。
・・え?
「つまりは?」
兄さんは
こんくらい分かれよ的な目で俺を見ている。
「その種族全てAランク以上のモンスターは?」
パアっと顔が輝いたみたいだった。
「「成程!!
そういうことか!(ですね!)」」
種族全てAランク以上のモンスター、要するにドラゴン。
これを滅ぼす魔法は相当な威力のはずだ。
「すげぇ!」
どうしよう。
何か自惚れそう。
俺自身に惚れるかも。変な意味じゃなくて。
「あ!紫音さんの魔法はどんなのですか?」
そういえば。
兄さん曰く燃費の悪い魔法って何なんだ?
「そういえばまだ言って無かったな。
口で説明しにくいし、実際エリアに行って見せてやるよ。」
―――――
~エリアにて~
ビシャンッ!
と音と共に雷が落ちた。
空を見れば雲がある。
誰もがそれは、魔法ではないと思ったはず。
でも俺は分かっていた。
これは魔法だ。
自分の。
俺はスライムを倒そうと軽く電撃を食らわせるはずだった。
でも雷が落ちた目の前には跡形もなく消し去られた。
何もなかったかの様な黒こげ他地面。
スライムの残骸もない。
素材もゲットできない。
でも何より驚きを隠せない。
自分もエリアにいた人達も。
「嘘・・・だろ・・・」
なんてことを呟いてた。






