敗北
砂漠を抜けて1時間くらい経った。
今はというと森の中。
ここで1時間さまよい続けてる。
・・・そういえば魔物が一匹も出てきていない・・
魔物清掃活動でもなされたのかここらの人は?
いや、ありがたいことなんだが。
ぐったりと歩き続けていると目の前には直径30メートル位の池が。
普通の状態の普通の人ならこんな森の中の池なんて罠か何かがあると思うのだが、
今の俺はそんな状態じゃなかった。
何日間も水を飲まずに歩いてきただけの俺が我慢出来るはずもない。
「やったぁ!水だ!」
とか何か言って池に猛ダッシュ。
水をたらふく飲んだ。
・・・今思えばこれは後悔すべきことだった。
「まずっ!」
頭がフラフラした。
と言っても自業自得。
これは明らか自分が悪い。
だが惨劇はここからが本番だった。
不味かろうととりあえず水の近くの場所だから、
そこにあった木で休もうかと思って木に近づいた瞬間、
ザッバーン!
という音がし振り返ると
真後ろには全部体が出てきてないはずなのに既に3メートルはある
細長い蛇の様な形をした龍。
青緑に輝く鱗は神々しく、牙は白銀色に輝いていて、額には紅色の宝石。
その龍の公式での呼び名。
深海の悪竜
全長5~8メートル、大きいもので10メートルを越す。
この池ってこんなに深かったんだ。
へえ~すげ~。
じゃなくて!
リヴァイアサンはSランクモンスターのはず・・・
なんでこんなとこに・・・
マップ確認
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此処はそんなに強い魔物は出てこないはずだ!
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なら目の前のあいつはなんだ!?
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ちょっと待て・・・
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なんで俺マップ持ってんの!?
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どうして今まで使わなかったんだよ!?
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今までの俺の苦労は一体何だったんだ!
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チクショーー!
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!!話それすぎた!!
そんなことを脳内なんとやらで考えていると、
リヴァイアサンは襲いかかってきた。
「おおっと、あぶね。」
ガブッと噛み付いてくるリヴァイアサンだったが、
一直線に進むので躱せないことはなかった。
これでも一応俺の魔法はあれなんで。(詳しくは6話辺りを閲覧で!)
リヴァイアサンの噛み付きをひょいひょいっと躱してたけれど、
正直体力ももう切れそうで魔法も使えなさそうなのでやばい。
でももっとやばいことが起きた。
ツルッ
「うわっ」
滑った。
リヴァイアサンが嘲笑うかのように迫ってくる。
ヤバイ・・・マジで。
ガァ!
と雄叫びをあげてリヴァイアサンが噛み付いてきた。
「ぐあっ!」
間一髪避け切れるなんて今の俺にはできっこ無かった。
ブチィッ!
・・・・暫くその出来事がよく分からなかったが、
数秒たってよく分かった。
右手がもげた。
リヴァイアサンが大きな口に加えているのは
普通の人よりかは多少大きいが、それでも小さく見える俺の手。
「・・・・・」
痛みのあまり声も出なかった。
リヴァイアサンを見るとむしゃむしゃと俺の手を食べている。
俺の腕を見るとさっきまであったはずの右手は、
右手首から赤い血が吹き出ている・・
これってゲームだよね・・
どこまで再現されてんだよ・・
これはゲームだ。
ゲームの筈なのに恐怖を覚えた。
目の前が真っ暗になる。
本当に頭がクラクラしてくる・・
ハッと前を見るとリヴァイアサンが何か行動をとっている・・・
リヴァイアサンは大きく息を吸った後、
こっちに向かって大きな攻撃をした。
その攻撃は蒼色の渦を巻きながらこっちに迫ってきた。
咆哮か!?
「ヤヴァイ・」
気が付けば俺は渦の中。
抜け出そうとしても抜け出せない・・
目の前がぐるぐるしてる。
俺はゆっくり目を閉じた。




