廃人
―――クエストクリア―――
《ツカサ》:ソロプレイ:Sランククエストクリア
クエスト内容:Sランクモンスター 八首之巨龍の討伐
報酬720,000G
回収素材:八首之巨龍の大鱗×3 八首之巨龍の牙×4 八首之巨龍の首×1 八首之巨龍の爪×3
八首之巨龍の宝玉×1
「やったぁ」
俺は声を上げて喜んだ。
Sランクモンスターを一人で倒したからではない。
八首之巨龍の宝玉を手に入れたからだ。
これがどういう事かを説明すると、
このゲームのモンスターは強い方から順にS、A、B、C、D、E、F、G、とランク分けされていて、
ついさっき俺はその中でも最もランクの高いSランクモンスターの〝宝玉〟と言う最も手に入りにくい
アイテムを手に入れたのだ。
「これであの武器を作成できる」
俺は軽く興奮状態でもあった。
---千竜殺し 雷轟---
千の竜が現れようとそれをも上回る雷撃で竜を撃墜するという剣。
このゲーム最強の剣候補となっている剣。
絶対と言っていいほど雷属性の魔法を使うプレイヤーなら欲しがると言われている剣。
その剣を俺はようやく作れるのだ。
これを作るためだけに図ったの俺のプレイ時間約120時間。
これを作るためだけに数えた俺の竜の討伐数その数113匹。
千竜殺し 雷轟を作るため街に戻った俺は、
まっ先に鍛冶屋へと足を運んだ。
作ったと同時に丁度メニューのメール欄に1件新たなメールが送られてきた。
ーーー千竜殺し 雷轟 ランク9
作成おめでとう御座います。貴方がこの武器を初めてお作りになられた御方です。ーー
このメールの内容からすると恐らく、入手方法が作成しかなく、相当なレア物、その上初めての作成者であるのだろう。
ちょっと待て、ならこの武器が最強候補と言う情報は一体・・・それどころか何でこの武器の事
殆どのプレイヤーが知ってんだよ? もうとっくに作成してたとか・・・?
それは無い。あったらこの武器を装備しているはずだ。
だが今の俺の状態は、
「うわぁ・・すっげぇ」
なんかもう唖然とするしか無かった。今の俺の顔はとんでもなく間抜けなんだろう。
今や約7千万人ものプレイヤーがやり込んでいるというこのMagicians Onlineというゲームは言うまでもなく今日本国民を虜にしていた。
さて、説明を開始するのは遅れたが、Magicians Onlineとは
MMORPG、いわゆる「多人数同時参加型オンラインRPG」で、プレイヤーは、迷宮や塔といった場所へと足を踏み入れ、魔法や武器を使い仲間と力を合わせ、迷宮の最深部にいるボスモンスターを倒したり、新しくギルドをつくりギルドマスターになったり、国を作り上げ自らが国王となったり、
時に戦争をしたりと、とにかく自由度の高いオンラインアクションRPGである。
だが、俺が一番気に入っているのは、このゲームにある、誰でも魔法が使えるというところだ。
ゲーム開始時に、プレイヤーは、火の王、水の王、風の王、土の王、光の王、闇の王、
そして俺の選んだ雷の王の内からどれか好きなのを選び、選んだ属性の魔法が使えるようになる。
1度選んでしまっては、後から変更ができないが、魔法はどれも強力なものであればグラフィックも相当綺麗なもので、その上、定期更新がある度新しい魔法が使えるようになるので全く飽きないのだ。
余談ではあるが、これらの王は公式設定上は上級悪魔であるらしいが、ゲーム開始時に魔法を使えるよう手配してくれたために、1部のプレイヤー達からは神様として拝められているとかw。
無論のことだが、定期更新で新しくなるのは魔法だけではない。
武器やダンジョン、フィールドは勿論、モンスターさえ強くなるのだから攻略厨はもとより
俺みたいなゲーム初心者でもやり込んでしまうのだ。
その為約7千万人という人々がこのゲームの虜となっている。
最初は友達に進められて始まったこのゲーム、まさかここまで廃人と化するとは思っていなかった。
この話の冒頭部分(とか言っていいのか?)に書かれていたように、俺は一人で
Sランクモンスターを倒したのだ。
Sランクモンスターというのは普通相当レベルの高いやつ4~6人で5分5分の戦いが出来るという
そうとう厄介なモンスターであり、普通一人では倒せない。
なぜゲーム初心者の俺がここまで強くなったのかって?
いやぁ~俺ってさぁ、ゲーム初心者じゃん、最初寝る時間も惜しんでやり込んでて、
気がついたらこんなんなってた。 みたいな。
どうしてこうなった。 本当で。
一回チート疑惑流れたし。 ホントなんなのコレ・・・
ってなるはずがない。この俺が。
チート疑惑は本当にかかったけど・・
「さぁて、千竜殺し 雷轟も作ったし、次は何に挑もうか」
と考えているところに、
「司君、晩ご飯だよー。」
と、下の食卓の方から声が
「はぁーい! 今すぐ行くから。」
今日はここまでか、この武器の性能を試したかったな・・・とか思いつつも、俺は食卓に向かった。
司「一体何故俺はこんなにも長い独り言を・・・?」
朝陽(作者)「とんでもない駄作になるかもしれませんが宜しくお願いします。
・・・この話全く進む気配がねぇ・・・」