第二章 ひだまりの声
「乃衣ちゃん、お昼、一緒に食べてもいい?」
高校生になって、最初の、午後まで授業があった日。四月のひだまりに柔らかく声が響いた。
「桜香、自分の教室で食べないの?」
「……うん。嫌だ」
桜香はうさぎ柄のランチトートを持って、教室の入り口に立っていた。
「嫌って……。しょうがないな。千世ちゃんも一緒だけど、いい?」
そう。この日が最初に桜香と言葉を交わした日。乃衣ちゃんにいわれて、私は初めて桜香の顔を見た。
はっとした。
はっきりいうと、人間味に欠ける少女だった。
桜香の目は、黒くて澄んでいて、漆黒のビー玉みたいだった。肌はガラスにミルクを薄く塗ったような白。なんというか、人形のような静かな迫力があった。
星で作られた人形だ、と思った。
「うちは杉本千世。よろしく」
それだけをさらっといい、私は再び食事に戻った。
「うちは桜香と中三で会ったの。うちのクラスによく来てて、中一の時から知ってたんだけど、そっちは桜香のことだから忘れてて。三年で同じクラスになって、意外と気が合った。で、桜香。千世ちゃんは中一の委員会で一緒で、それで……」
乃衣ちゃんが人見知りの桜香と私が仲良くなれるように努力していた。
「小学校は学区が違ったの?」と、私訊いてみた。ちなみに私は、
「第一だよ。……桜香は?」
「私……私立で。ずっとこの町だったけど」
「ほうほう」
私はふざけた返答をしてしまった。この子と気が合う、と感じたから。失礼だったかも……。
だけど、そんな心配いらなくて。
今では二人で出かけたりもしているくらい。
「いいな、千世ちゃん。私もパーマとかカラーとかしてみたい」
私と桜香の出会いから一週間。桜香が私の髪をじっと見ていった。
「染めないの?」
「親がダメっていうのよ。まったく……」
そういって顔を歪ませる桜香は、恐いけれど可愛かった。
「私、大学に入ったら、ぜったいに茶髪にして、メイクめちゃめちゃ濃くするから」
私はふっとため息。
「いいよね、桜香は。大学には入れるっていう前提があって」
「え?」
「うちなんて大学入れないよ……」
「いやいやいや、千世ちゃんは大丈夫でしょ。私のがダメだよ」
「まあまあ」
乃衣ちゃんがいうけれど、
「乃衣ちゃんは頭いいからよ」
「人の気も知らないで」
桜香と私からの集中砲火を浴びる。
「ってか、この世の中、大学に入っても仕事が見つからないわよね」
桜香がなぜか笑顔でいった。
「あなたたち、暗いわよ」
「先生っ」
私と乃衣ちゃんのクラスの担任である高野先生が立っていた。私たちはびっくりして声をあげた。
「木梨さん、石原先生戻ってるんじゃない?」
「うそっ、ヤバっ。ありがとうございます。じゃあね、乃衣ちゃん、千世ちゃんっ」
桜香の担任の石原先生は、めんどうくさいおばさんで、桜香は嫌わないように必死だった。思えば彼女は、いつも人に嫌わないように生きていた。
「あわただしいわね」
高野先生の言葉に乃衣ちゃんが笑った。
桜香が走るとポテポテと音がしそうで、面白かった。
「桜香、帰りは?」
私が訊くと、
「一緒に帰るーっ」
と叫ぶような答えが帰って来た。
この頃は楽しかったね、桜香。
今も楽しくやってる?
第二章終わり~♪
千世ちゃんは私・ヨリの友達がモデルだったり(笑)
ところで。
GARNET CROWの話でもしますか…。←
「恋することしか出来ないみたいに」のPVのゆりっぺとAZUKIさんが可愛すぎる!!!!
屋上でAZUKIさんがゆりっぺをどーんってするとこ、発狂ものです。
可愛すぎて死ぬかと思ったww
YouTubeでたまたま見つけたの♪
ではでは。
ばいきゅ~(*^o^*)/~