表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

第五章 第一の復讐

【翌週の金曜日放課後】

 椛の家のインターホンを鳴らす。

 「はーい」

 剽軽な声と共に憎たらしい顔が覗き出てくる。

 「どうも、椛さん。少し、お話よろしいでしょうか」

 「誰」

 困惑顔でそう答える彼女の手を無理やり引き住宅街から出る。抵抗をしてはいるものの力が弱く容易に連れ出すことができた。顔は困惑に恐怖が乗り実に滑稽である。

「なんなのよあんた。こんなとこまで連れてきて」

 椛の手を引き我が家の近くにある山へと連れ込んだ。

「私の顔に見覚えはありませんか」

「…ないけど」

 椛は私の顔を覗き込み念入りに確認した末にそう答えた。私の顔はそこそこ姉と似ているのだがな。

「…そう、なら桜木という苗字に聞き覚えは」

「本当になんなのよ」

「いいから答えて」

椛の顔に倉庫の奥で眠っていた、錆び付いた両刃鋸を突きつける。

椛の顔が恐怖で染まっていく。

「な、ないわよ」

「本当に」

更に刃を近づける。

「本当よ」

涙目で叫ぶ姿は滑稽だが同時に神経を逆撫でる。

「そうか、続きは小屋のなかでやろうか」

私は椛の髪を引き、左手に持っていた金槌で思い切り頭を殴りつけた。当たりどころが良かったのか、一発で気絶してくれた。

「ううぅん」

 山奥にある小屋の中に不快なうめき声が響く。

「起きましたか」

「夢じゃなかったか…」

「そりゃぁね」

椛の声には生気がなかった。良い傾向だが、まだ死なれては困る。

「先程の質問の続きです。本当に桜木という苗字に聞き覚えはありませんか。よく思い出してみてください」

椛は二十分程考えて顔を青ざめさせながら口を開く。

「まさか、あんた月桂の妹」

「正解です、椛さん」

「何、姉の敵討ちのつもりバカバカしい。早くこの縄解いてよ」

まぁ威勢の良いこと、だが顔は相変わらず恐怖に染まっている。

「解きませんよ一生。私、今から準備するのでそれまで懺悔でもしていてください」

 五月蝿い椛を背に準備を進めていく。

 一時間が経過した頃、ようやく準備が完了した。十分経った頃から椛は喚くのを止め、ずっと俯いていた。おかげでスムーズに準備を進めることができた。

「さて、準備が終わりました。そろそろ始めましょうか」

そう言うと、椛は虚ろな目でこちらを見あげる。

「最後に聞かせてください、なぜ姉を追い詰めるような真似をしたんですか」

「何でもできて顔もいい、それが妬ましかったのよ。悪かったわよ、あやまる。だから解いてよ」

椛は大粒の涙を零しながら懇願してくる。

「くだらね。言ったでしょ一生解かないって」

数発拳で椛を殴り、ホームセンターで買ってきた練炭に火をつけ小屋を出た。出ていく直前まで何か喚いていたが、私の耳はその言葉を言葉とは認識しなかった。

 私は小屋の前で椛が事尽きるのを待った。

 一時間も経たないうちに椛の嗚咽は止んだ。

 数分置いてから小屋の窓を固定していたガムテープを剥がし開け放つ。

 粗方煙が出終わったので小屋のなかに入る。

「おや、まだ生きてましたか」

椛は過呼吸で椅子に括られたまま横たわっていた。抜け出そうと暴れた時に倒れ、そのおかげで生き延びたのだろう。熟哀れな女だあのまま死んでいれば楽だったのに。

「やっぱりとどめは自分で刺さないとか。じゃあ、さようなら」

金槌を大きく振りかぶり彼女の頭に叩きつけた。何度も何度も。

「もう死んだ。死んだよね」

 床には血溜まりができていた。臭いも酷いものだ。手も血で染まっている。

「はは、震えてるや」

覚悟を決めたとて恐怖が完全に消える訳がないのだ。自分に呆れながらも安心した。

「さて、掃除するか」

 まず死体をバッグに詰め外に出す。それから外にある蛇口にホースを繋ぎ、水を撒きブラシで血を流す。そして洗剤を撒き更に擦る。それを4回ほど繰り返すと床は綺麗になった。

「よしこれでいいだろう。後は数日間換気し続ければ臭いも消えるだろ」

 消臭スプレーを吹き、バッグを持って小屋を跡にした。



 

 



 

 

次回、二人目の目標

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ