第三章 先生と三人組
翌日の昼休み、私は職員室の隣に置いてある、姉が絵のコンクールで取った賞状とトロフィーを見に来ていた。
姉とは二歳差で、基本なんでもできる自慢の姉だった。特に絵を描くことおいては群を抜いて得意だったようで、家には姉の賞状やトロフィーが棚いっぱいに保管されている。
「桜木、こんな所で何してんだ?」
感傷に浸っていると、職員室から出てきた担任の
腐朽先生に話し掛けられた。
「何って、賞状を見てるんですよ」
「賞を?また何で?」
やたらと話掛けてくるな。そんなに珍しいのだろうかここに来る新入生が。珍しいか。
「姉の取った賞があるので」
「姉?姉って…」
腐朽先生がそう言いながら棚に視線を向けると、みるみる顔色が悪くなっていく。私が月桂の妹だと気づいたようだ。
「そうかお前、月桂の妹か」
担任は声を震わせている。なんだ、なぜ怯えているんだ。気まずくなるのならわかる、だがなぜかこの教師ときたら怯えているのだ。姉とこいつとの間に何があったというのだ。
考えていると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「あぁチャイムだ、早く教室に戻れ」
震えながら急かすようにそう告げてくる。まるで、悪戯をばれまいと必死に隠そうとする子供のように。
授業は無事に全て終了し下校の時刻となった。
一体、あの怯えようは何だったのだろうか。答えの出ないことは明らかだが、考えずにはいられなかった。
「マジやばいよね〜w」
「まじそれな〜w」
「ヤバ〜w」
下駄箱に向かう廊下を歩いていると、聞き覚えのある不愉快極まりない声が聞こえてきた。あの三人組の声だ。まさか入学三日目にして出会えるとは思わなかった。最悪だ、気分が悪い。今すぐにでも復讐してしまおうか…いや、これはチャンスではないか、あいつらの跡をつけて家を特定してやる。奴らの家族にも清算してもらおう。
かれこれ学校を出て一時間が経つかというころ、三人組はまだ家に帰らなかった。
何でだよ、寄り道だといっても一時間もファストフード店に居座るか。なんて迷惑な客だ、しかもドリンクだけで。いつぞや姉に対して言っていた「頭がおかしかった」というセリフを、椅子に固定し一時間ほど垂れ流してやりたくなった。
「そろそろ帰る?」
「マジ?もう帰る?」
「あ、うちバイトだった」
「マジ?じゃあ帰ろ」
「そうしよっか」
ようやく帰るのか。にしても、なんてイライラする会話だ。反吐が出る。
斯くして各々ファストフード店を出て、自宅へと向かって行った。そして私は三人組のリーダー的存在である紅葉 椛の跡をつけるのだった。
次回、憎き者の家と恐怖




