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第一章 姉の死


 平成28年(2016年5月24日火曜日)私の大好きなお姉ちゃん「桜木さくらぎ 月桂つきか」が死んだ。

 死因はいじめに耐え切れなくなったことからの「学校の屋上からの飛び降り自殺」だった。姉の部屋に遺書のようなものがあり、そこからいじめによる自殺だったのではないかという結論になったそうだ。

 私はその報告を、帰り支度で騒がしい教室で受けた。


【葬儀】(2016年5月31日火曜日)

 検死が終わり帰ってきた姉の顔は、今まで見てきたどんな人間よりも醜い姿へと変わり果てていた。

「なんでこの子がこんな目に」

母はそう言いながら泣き崩れている。父はそれとは裏腹に終始無言で姉の死体を見つめている。

 そんな気持ちの整理もつかない中、我が家で葬儀は執り行われた。庭先に小さな受付スペースを設けた、小規模の葬儀だ。

 受付をしていると、姉の友達だと名乗る人物が5人きた。その内、3人で固まっているやつらがいた。

「ああ…あいつらがお姉ちゃんを殺したんだな…」私は確信した。根拠は無い。だが、明らかに彼女ら三人組だけ雰囲気が違うのだ。

 受付も終わり、全員が席に着いたのを確認して坊さんが経を読みだす。

 葬儀が終わり、皆続々と我が家を後にしていく。そんな当たり前の行動を私は腹立たしく思ってしまった。

 姉への気持ちはその程度のものなのか。もっと姉の遺影をもの惜しそうに拝んだりしろよ。姉のために時間を使えよ。なんて理不尽極まれりなことをおもってしまう。

 皆を見送り、姉のいる和室に入ろうとすると声が聞こえてきた。これまた腹立たしいことに、残っていてほしくない三人組が残っていた。

「マジで死ぬとは思わなかったよねw」

呟くように小さな声で三人組の一人が発する。

「マジそれな。普通死ねって言われてマジで死ぬかねw」

「やっぱり頭おかしかったんだよw」

私は気付くと飛びかかろうとしていて、父がそれを制止する。父はそのまま私を抱きかかえ、姉の部屋へと連れていった。

「何すんだよ⁉はなせよ!あいつらがお姉ちゃんをこ」

「分かってる!」

父が怒鳴る姿を初めて見た。あまりの剣幕に気圧される。

「…ありがとうな」

「…なにが」

「お姉ちゃんのことを思って…飛びかかろうとしてくれて。お前が行かなかったら私が飛びかかっていた」

父の顔は鬼相と化していた。

「…あいつら…葬儀だっていうのに、あんなこと言って…私許せないよ…ぶっ殺してやる!」

「ああ、気持ちは分かるよ。だけどね、私達は耐えなくていけないんだ」

「そんなことは分かってるよ!でも…悔しいよ…」

気づくと、私の瞳からは涙が流れていた。無念の涙が。

「…ごめんな」

涙の向こう側に映る父の顔は、とても情けなかった。

「…絶対ぶっ殺してやる。」

私はそう呟くことしかできなかった。


次回、高校入学

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