第1話
駅前の歩行者信号が赤になり、足を止めた。
ふぁ、とあくびが出る。
空を見上げると、空のてっぺんに到達した太陽の光が俺の目を突き刺し、意識を朦朧とさせる。
「大丈夫か? 恋の病?」
横にいる優馬が俺の顔を覗き込んで訊いてくる。
「違うわ! 昨日の夜ゲームしてたんだけど、気づいたら朝だった」
「やば。じゃ帰るか〜」
「いや、帰るのもったいないだろ。せっかく学校早く終わったんだから。余裕余裕」
俺は親指を立てて、軽く笑う。
周りを見渡すと、横や後ろ、横断歩道を挟んで向こう側に、俺と同じ制服を着たやつらがいる。
信号が青になった。
一斉に待っていた人達が横断歩道を渡り出す。横断歩道を歩いているほとんどの人が同じ制服を着ている。なんだか動物の群れが向かってくるみたいで少しだけ笑えてくる。
前から楽しそうに話しながら歩いてくる女子や、制服を着崩してダルそうに歩く男子が前から歩いてくる。
朦朧とした意識の中、横断歩道を渡る。
ふぁ、と再びあくびが出た瞬間、腕に何かがぶつかった。
「ごめんなさい」と女性のか細い声がした。
ぶつかった腕の部分が異様に熱い気がする。
振り返ったけれど、どの人か分からなかった。
謝られたけれど、今のは俺が見てなかったのが悪かったんだけどな。
まぁいいや。
横断歩道を渡って右に曲がり、まっすぐ歩いているとマクドナルドが見えてくる。
マクドナルドの店内に入って注文し、二階のイートインスペースに上がる。窓際のカウンター席が空いていたので、優馬と横並びで座った。
ハンバーガーを食べながら窓の外を眺めると、車がひっきりなしに二車線の道路を通過していく。
ずっと変わらない景色を見ていると、瞼が閉じそうになる。
黙々と食べていると、自分の咀嚼音、イートインスペースの喧騒、そして、パトカー? 救急車? のサイレンの音が混ざり出し、外を見ていると、パトカー、救急車が慌ただしく通過していった。
優馬を見ると、もう食べ終わって本を読んでいる。周りの音に惑わされず、自分の世界に入っている。
「もう食べ終わったのか。お前どこでも本読むよな〜」
「時間は有効活用しないと」と優馬が澄ました顔で言う。
こいつ、いつも澄ました顔しているくせにノリは良いんだよな。
俺が食べ終わって、カラオケ店に向かった。
カラオケ店に到着して受付をし、部屋に入るや否や優馬はブレザーを脱ぎ去り、曲をどんどん入れていく。
曲が始まると、俺のことはお構いなしで、歌い出す。バラードからラップ、女性アイドルの歌まで。女性アイドルの歌はダンスもちゃんと踊って、俺も踊らされる。
この優馬のギャップが良いんだよな、としみじみ思う。
でも、今日寝不足の俺にはそのテンションは少し疲れる。おかげで、今日はよく寝ることができるだろう。
四時間ほど歌って、俺達は解散した。
俺は家に帰ってシャワーを浴び、部屋のベッドにダイブした。




