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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました~元・世話焼き長男、誤解されがちな騎士団を立て直します~  作者: k-ing☆書籍発売中
第二章

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42.兄ちゃん、勧誘する

 エルドラン団長やエリオットさんはコンラッド団長に話があるらしい。

 そのため、僕は掃除をしている広間に一人で向かう。


「ジンさん、掃除は終わりましたか?」

「ギクッ!?」


 僕は近くにいたジンさんに声をかけた。

 だけど、どこかオドオドして視線を外す。

 他の黒翼騎士団も全員同じような反応だ。

 これは僕がいない間に何か問題を起こしたやつだな。


「ジンさん……? 何があったんですか?」

「あっ……いや……」

「ご飯抜きに――」

「うわあああああ! それだけはやめてくれええええ!」


 ジンさんは僕に抱きついてきた。

 よほど僕に嫌われたくないのだろう。

 涙目な姿を見ると、意地悪して罪悪感に襲われそうだ。


「さすがにご飯は抜きにしませんよ」

「大盛り肉じゃがは……?」

「わかりました」


 肉じゃがを作ると聞いて、ジンさんは嬉しそうにしていた。


「それで何があったんですか?」

「気づいたら壁に穴が開いていたっす!」


 僕はジンさんが指さした方に視線を向ける。

 物で見えにくいが、奥に大きな穴が開いていた。


「こらああああ! 掃除しにきて何やってるんだあああああ!」

「「「ごめんなさい……」」」


 黒翼騎士団員は一斉に僕に頭を下げる。

 まさかジンさんだけではなく、みんなで穴を開けたのだろうか。

 いやいや、謝るのは僕ではなくて青翼騎士団の方だけど……。


「ほほほ、何をやらかしてくれたんだね?」


 振り返ると、そこにはコンラッド団長や一緒に来ていたエルドラン団長とエリオットさんがいた。


「コンラッド団長……」


 コンラッド団長は口元を手で隠しているが、明らかに怒りを出さないようにしているのだろう。


「これでソウタくんは我が青翼騎士団に所属させる理由が――」

「おい、ソウタは渡さないぞ」


 怒っていると思ったコンラッド団長はニヤニヤとしていた。

 ただ、ニヤついた口元を隠すために、手を当てていたのだろう。


「壁の穴くらいあなたが直せば問題ない」

「さすがに元所属の騎士団長だからって、エリオットさん言い過ぎですよ……。うちの騎士がすみませんでした」


 僕はすぐにコンラッド団長に頭を下げると、さらにニヤニヤとしている。


「やはりソウタくんをうちの騎士団にくれないか? こんなに礼儀が良い子は――」

「ソウタは私のだ」


 強く抱きしめられる感覚がすると思ったら、ゼノさんが抱きついていた。

 さっきから僕が取られると思っているのだろう。

 そんなゼノさんの頭を優しく撫でる。


「それに穴を開けたのはうちの騎士団ではないですよね? そちらにも頭の悪い双子が――」

「「なんだと!?」」


 エリオットさんの言葉で、一斉に青翼騎士団の二人に視線が集まる。

 バリーさんと一緒に僕を誘拐した青翼騎士団員だ。

 顔が似ていると思ったが、あの二人って双子だったんだね。


「青翼騎士団の庁舎はコンラッド団長の土魔法で補強しています。魔法の知識がないうちのバカが壊せるはずないでしょ」


 魔法の知識って何か理由があるのだろう。

 その話を聞いた途端にゼノさんは理解したのか、納得した顔をしていた。


「遠回しに俺のことバカだと言ってないっすか?」

「いや、あれは遠回しでもないと思いますが……」

「ソウタまでそういうこと言うんすね……」


 ジンさんはその場で落ち込んでいた。

 どうやらバカって直接言われたくはないようだ。


「僕は言ってないですからね? ジンさんは元気が取り柄ですからね! ほら、落ち込んでないで!」


 僕がその場でフォローすると、ジンさんは嬉しそうに僕の方に飛び込んできた。


「ジン、邪魔」

「おい、俺にもソウタを分けてくれよ!」


 もちろんゼノさんがそれを許すことはないけどね。

 押し合いしているジンさんとゼンさんの隙間を抜けて、エリオットさんの元へ駆け寄る。


「魔法の知識ってなんですか?」

「コンラッド団長みたいに土魔法で強化してある建物って、魔力を込めたものでしか壊せないんですよ」


 エリオットさんはそのまま壁に近づくと、剣を一振りする。

 壁には傷が一つできていなかった。


「でも魔法で壊す分には……」


 水魔法を出すと、そのまま壁に投げつけた。


「ほら、簡単に壊れるでしょ? 勉強になったかな?」


 エリオットさんは魔法について僕に教えて嬉しそうにしていたが、気づいているのだろうか。

 壁が音を立てながら崩れ落ちていることを――。

 

「コンラッド団長、うちの騎士がすみません」


 僕はすぐに謝る。

 いくら黒翼騎士団が壁に穴を開けていなかったとしても、確実に今エリオットさんが新しい穴を開けていた。

 しかも、本人たちの目の前で。


「……はぁ!?」


 それに僕が謝ったことでエリオットさんも自分の過ちに気づいたようだ。

 思っていたよりエリオットさんも抜けている人なのかもしれない。


「エリオットのあんな姿が見えたから不問にしておこう。それにあの穴は確実に我ら青翼騎士団がやったものだからな」


 コンラッド団長の背後には静かに燃える炎が見えた。

 真顔だから余計何を考えているのかわからないが、バリーさんや双子騎士がどこかに去ろうとしているから怒っているのが伝わる。

 今は僕たちの前だから怒らないのも、騎士団長として配慮した行動なんだろう。

 コンラッド団長はエルドラン団長とは違ってできる人のようだ。


「私の魔法があれば……」


 コンラッド団長が魔法を唱えると、穴が開いていた壁に粘土のような土がくっつき硬化した。


「壁くらいなら一瞬で直すことができるかな」

「すごいですね……」


 エリオットさんやジンさんは生活に特化していたけど、コンラッド団長は仕事向きの魔法なんだね。

 建築関係ならコンラッド団長ってイメージか。


「あっ……コンラッド団長ってこんな形のお皿は作れますか?」


 僕は茶碗ができないか聞いてみた。

 かき揚げ丼を作った時も平皿だったし、よく玄米を食べているから気になっていた。


「あー、こんな感じでいいか?」


 手渡されたのは大きめな丼茶碗だった。

 まさにエルドラン団長が使うにはちょうど良さそうだ。


「コンラッド団長ってすごく優秀ですね!」

「えっ……ははは、そうか。褒められるなんて子どもの時以来だな」


 コンラッド団長は驚きながらも、嬉しそうな顔をしていた。

 この世界の人たちはあまり褒められることがないのだろうか。

 黒翼騎士団の人たちもだけど、みんな褒めるとすごく嬉しそうな顔をする人たちばかりだ。

 大人だからって思っていたけど、さすがにそこまで喜ばないからね……。


「ぜひ、黒翼騎士団にいてほしいですね」


 料理を美味しく見せるにはお皿にはこだわった方が良い。

 日本人なら誰でもそれを感じたことがあるだろう。

 料理ごとにお皿のサイズや色、質感まで気を使っているからね。


「「「なっ!? ええええええ!」」」


 部屋にいる騎士たちの声が響く。

 青翼騎士団の人たちまで驚いていた。


「ははは、ソウタくんからの逆勧誘か……。それも悪くないな。騎士団長になっても別に移籍できないわけじゃないからな」


 思ったよりもコンラッド団長は乗る気のようだ。

 だが、この人がいなくなったら、エリオットさんの兄であるバリーさんが青翼騎士団の団長になるんだよね?

 それはそれで問題が山積みだろう。


「ソウタ、私じゃ役不足ですか? 水魔法があれだけ便利って言ってたけど……」

「エリオットさんだけではなく、コンラッド団長にまで浮気ですか? 魔法を使える人全て排除しないといけないですね……」


 エリオットさんとゼノさんの反応からして、コンラッド団長を誘うのは無理そうだ。

 うちの団員も呪い殺しそうな勢いだしね。

 それにまさかエリオットさんが、落ち込むとは思わなかった。

 魔法の使い勝手は適材適所だから仕方ない。


「キッシュさんに指導するのに、コンラッド団長のお皿も付けてもらっていいですか?」

「ははは、ソウタくんはおねだり上手だな。こんな魔法の使い方を知ったのは初めてだから、また作ってあげよう」

「ありがとうございます」


 これで僕の欲しいお皿はコンラッド団長に頼めば作ってもらえることになった。

 後から聞いた話だが、土魔法って建物の補強ぐらいにしか使えず、攻撃性がない一番弱い魔法って言われているらしい。

 何事も使い方次第ってことだね!

お読み頂き、ありがとうございます。

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よろしくお願いします(*´꒳`*)

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