表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました~元・世話焼き長男、誤解されがちな騎士団を立て直します~  作者: k-ing☆書籍発売中
第一章 黒翼騎士団のおかんになる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/47

35.兄ちゃん、知らない騎士と会う

「今日は何のスープを作るんだ?」


 落ち着いたのかレオが帰ってきた。


「かぼちゃのスープにしようと思ってね。ちょっと持ってて!」


 レオにかぼちゃを持ってもらい、僕は両手で包丁を押し込む。


「んしょ!」

「怖っ!?」


 こういう時に大人がいると、作業が楽なんだけどね。

 大きめだけど、ある程度切れれば問題ない。

 蒸し器やせいろは売っているが、使う頻度があまり多くないため買うのはもったいない。

 ここではお皿を使って、簡易蒸し器でやっている。

 蓋を閉めてしばらくすればかぼちゃは蒸されて柔らかくなる。

 作業としてはとても楽にできるため、パンを焼いている間にノアとノエルに時間管理を手伝ってもらう。


「パンの方はどう?」

「半分くらいは焼き上がったぞ!」


 レオにパンの焼き方を伝えたら、作る種類も増えてきた。

 ロールパンやフラットブレッドだけではなく、ブールやバケットも仲間入りしている。

 材料があればそろそろ創作パンの作り方を教えても良いのかもしれない。


――カラン!


「レオー! パンはできているかねー」

「はーい、お待ちください!」


 玄関の方から声がかけられる。

 レオはすぐに玄関に向かい、お客さん(・・・・)の対応をする。

 今では口コミの影響でお店で出すパンをここで買う店主も増えてきた。

 元は宿屋だったのに、今では立派なパン屋になっている。


「ソウにい、じかんになったよ!」


 ノアに呼ばれて簡易蒸し器を確認すると、かぼちゃはほくほくと蒸されていた。

 それを何度も繰り返して、かぼちゃを全て蒸していく。


「ノエルはフォークで潰してね」

「うん!」


 ノエルには蒸したかぼちゃをフォークで潰してもらう。

 あとはそこに羊乳を入れ、塩で味の調整をしたら完成だ。

 二人も少しずつお手伝いすることが増えて、レオの仕事も減ってきた。

 それに――。


「二人ともお手伝いしてえらいわね」

「「ママ!」」


 病気で寝込んでいたお母さんのハンナさんも起きられるようになった。

 やはり疲労と栄養が足りなかったのだろう。

 レオが作ったパンを食べてもらったが、喉を通るのにかなり時間がかかり大変そうだった。

 そこで僕は土鍋で長時間浸水した玄米を運び、宿屋でお粥を作ることにした。

 お弁当と土鍋を抱えて持っていく姿がさらに宣伝効果にもなっていたのだろう。

 毎日街の人たちが運ぶのを手伝ってくれた。


「ソウタくんも朝から悪いわね」

「いえいえ、今日もしっかり食べてくださいね」


 今ではレオの作ったパンも食べられるようになり、ハンナさんは回復した。

 着々とお店の準備が終わった頃には、外には人が集まっていた。

 お店をしている人はパンを早めに買いにきて、そうではない人はオープン前に並んでいる。


「ソウタ、お店を開けてもいいか?」

 

 レオからオープンしてもいいかと声がかかる。


「スープとサラダも準備できたよ!」


 今日のメニューはパンとかぼちゃスープ、それに塩とオイルとレモンを使ったさっぱりドレッシングがかかったサラダだ。

 ドレッシングを少しかけただけで、だいぶ印象が変わるからね。

 今まで生野菜のみのサラダばかり食べていたから、騎士たちも野菜嫌いだったとわかった。

 それでも相変わらず肉の方が好きなのは変わらない。

 いつかマヨネーズとかを作ってみたいが、衛生問題とかもあるから、できるのはだいぶ先になるだろう。


「いらっしゃいませ!」


 お店がオープンすると、次々とお客さんが入ってくる。


「二名様でよろしいですか?」

「ああ、でも俺は二人分食べるからな?」

「ふふふ、知ってますよ。いつもありがとうございます」


 入ってきたお客さんの対応を僕がして、個々でパンとサラダ、そしてスープをテーブルまで運んでいく。

 セルフサービス方式にすることで、人件費が少なく済み、子どもだけでも営業ができるからだ。

 提供するメニューが決まっているから、お金の計算をしなくても良いしね。


「やっぱりここのパンはうめぇな!」

「ソウタくん、今日のスープも美味しいわね!」


 簡単な食事だが、評判はそこそこ良いようだ。

 僕が食べても美味しいと普通に思うほどだからね。

 オープンがお昼よりも少し早めだから、ブランチとしても利用しやすい。

 遅い朝食や早くから仕事をしている人にはちょうど良い。


――カラン!


「いらっしゃいませ!」


 お店には見たことない二人組の男性が入ってきた。

 服装はどことなく騎士団の制服と似ているが、黒翼騎士団が黒色なのに対して、二人が着ているのは青色だ。


「ただいまお席が満席のため、しばらくお待ち――」

「てめぇ、俺らに外で待てって言うのか?」

「それがこのお店のルールです」


 相手が誰かはわからないが、ルールには従ってもらわないといけない。


「これだから平民は……」


 男たちは文句を言いながら詰め寄ってくる。

 突然、体が浮いたと思ったら、息苦しさを感じた。

 一人が僕の首元を掴みかかっていた。


「おい、そこまでにしてやれ」

「ハッ!」


 声がした方にチラッと視線を向けると、玄関の方にはもう一人男性が立っていた。

 二人より制服が華美で金色の刺繍が目立つ。


「ゴボッ! ゴボッ!」


 空気が急に体の中に入ってきて、つい咳き込んでしまう。


「俺たちは青翼騎士団だ」


 どうやら黒翼騎士団とは別の騎士団のようだ。

 華美な騎士団服を着た男が近づいてくるが、どこか知っている人に似たような顔に親近感を覚えた。


「青翼騎士団ですか……」


 ただ、漂ってくるオーラは貴族というよりは、横暴なやつにしか感じない。

 僕の知っているあの人はいつも何を考えているかわからないけど、真面目で心配性だし、優しく笑う野菜好きの騎士だ。

 黙々とサラダを食べているベジタリアンだからね。


「貴族の俺たちに待てって言うのか?」

「そんなもん、平民のやつらを退かせばいいだろ!」


 騎士二人がお客さんのテーブルに載っている、パンを手で払う。

 店に居づらくなったお客さんたちは、すぐに店内から出ていく。

 せっかくお客さんが来るようになったのに迷惑な客だ。

 それに――。


「食べ物を粗末にしたらダメでしょ!」


 レオがせっかく作ってくれたのに、パンがもったいない。

 今でも路地裏で頑張って生きようとしている孤児がいるのをこの人たちは知らないのだろうか。

 食べられなくなったパンを拾ってゴミを払う。

 ノアとノエルがしっかり掃除しているから問題はなさそうだけど、パン粉とかであれば使えるかな?


「ははは、君は俺たちのことをわかっていないようだね」

「いや、青翼騎士団ですよね?」


 青翼騎士団と言っていたが、どちらかといえばどこかのチンピラに近い。

 そんなことを思っていたら、再び僕の体は浮いていた。

 今度はさっきよりも苦しくないが、明らかにこれは問題になりそうだぞ。


「ちょ……どこにいくんですか!?」

「教えるはずないだろ」


 どうやら僕は青翼騎士団に誘拐されたようだ。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。

よろしくお願いします(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ