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転生先で生活能力ゼロ騎士団に保護された結果、僕がおかんになりました~元・世話焼き長男、誤解されがちな騎士団を立て直します~  作者: k-ing☆書籍発売中
第一章 黒翼騎士団のおかんになる

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21.兄ちゃん、体力がないことに気づく

 まずは野菜スープに使う予定のじゃがいもを鍋で蒸していく。

 もちろん蒸し器はないから、鍋に水を入れて、お皿を上下に置いてからじゃがいもを入れる簡易蒸し器だ。

 昨日買ってもらったせいろをもってきたらよかったと、今になって後悔している。


「これでじゃがいもを蒸すとホクホクで食べやすいからおすすめだよ」

「そんな方法もあるんだな」


 レオは僕の調理方法を目に焼き付けるようにみていた。

 きっと将来は良い料理人になりそうだね。

 僕はなんとなくそんな気がした。


「じゃあ、しばらくやることないから掃除でもしようか」

「「うん!」」


 調理場の外で待っていたノアとノエルに声をかける。

 二人とも立派な店員さんだもんね。


「レオ、火を起こすのに使った木ってどこかにある?」

「ああ、裏にたくさん置いてあるぞ!」


 僕は調理場から裏庭に向かうと、木で作られた箱を見つけた。

 中を開けると真っ黒な灰がたくさん入っていた。


「ここに灰を入れておくと、野菜屋の店主たちが買い取ってくれるんだ!」


 きっと畑の土壌改良とかに使われているのだろう。

 土に混ぜるとフカフカしたり、じゃがいもとか根菜類を育てる時に良いと聞いたことがある。

 その中でまだ灰になっていない木を取り出す。


「この木炭は使ってもいいかな?」

「別に問題ないけど何に使うんだ?」

「掃除に使うんだけど……やったことない?」


 どうやらレオも木炭や灰を使った掃除の仕方を知らないようだ。

 騎士たちだけではないと思ったが、この世界の人たちは掃除の概念があまりないのかもしれない。

 そうなると洗濯とかはどうやってやっているのだろうか。

 そもそも我が家の騎士たちは真っ黒な団服を着ている。

 ひょっとして……いや、今は洗濯のことを考えるのはやめにしよう。

 黒翼騎士団の制服は黒だから汚れているはずないって言っている姿を想像できるからね。


 木炭の周りについた灰を手で払い、一度水で木炭を洗い流したら桶の中に入れる。


「これで完成だよ」

「んっ? これだけ?」

「うん、これだけ」


 何かちゃんとしたことをやるのかと思っていたのか、レオは唖然としていた。

 あとは布に木炭水を染み込ませて、普通に掃除するだけでだいぶ綺麗になるからね。


「ノア、ノエル! 雑巾掛け勝負しよう!」

「なにそれ?」

「おいしい?」


 ノアとノエルは食べ物だと思ったのだろう。

 二人ともジーッと桶の中に入っている木炭水を見て、首を傾げていた。


「これは掃除に使うやつだぞ!」


 レオが胸を張って説明しているが、僕が教えたことを伝えているだけだ。

 きっとお兄ちゃんらしいところを見せたかったのだろう。

 僕は布を木炭水につけてから強く絞る。

 だけど、力は全くないからビチャビチャだ。


「ソウタは弱っちいな!」


 そう言って、レオは僕から布を奪って強く絞る。

 僕よりも大きいから力持ちだ。


「助かったよ!」

「それぐらい俺に任せろよ!」


 僕に頼られてレオも嬉しそうだ。


「それで……その雑巾掛け勝負ってなんだ?」


 どうやらレオも気になっていたようだ。

 それならみんなで掃除をすれば問題ない。

 僕たちは店内に横並びになって準備をする。


「あっちまで雑巾を押し進めて、一番だった人が勝ちだよ!」

「よし、負けねーぞ!」

「「はーい!」」


 みんなやる気満々だね。

 僕も久しぶりに雑巾掛け勝負をするが負ける気はないぞ。


「じゃあ、いくよー! よーい、スタート!」


 僕の声かけと共に一斉に雑巾を押しながら走る。

 あれ……おかしいぞ……?


「はぁ……はぁ……」


 あまりこの体で走ったことはなかったが、着く頃には息が上がってくる。


「ははは、ソウタ遅いぞー!」

「「おそいぞー!」」


 視線を上げると、どうやら僕が一番最後に到着したらしい。

 こんなにも体力がないとは思いもしなかった。

 小さい時に元気に駆け回らないと体力がつかないと聞いたことがある。

 学校の授業に体育があるのも、そういった理由があるのだろう。

 元々運動も得意な方ではないし、弟妹たちの面倒を見る時ぐらいしかバタバタしなかったけど、それよりも体力がない。


「僕は動くのが苦手みたいだね……」


 あまり体力がないのは、正直言ってショックだ。

 たくさん動けた方が家事をするには便利だからね。


「ならソウタは合図担当だな! 俺たちはもう一回やってくる!」


 レオたちはよほど楽しかったのか、急いで部屋の縁に戻りチラチラと僕の方を見ていた。

 やっぱりレオもまだまだ子どものようだ。

 ついつい兄のような感覚で見てしまう。

 見た目は僕の方がかなり若いんだけどね……。


「いくよー! よーい、スタート!」


 掛け声とともに三人とも勢いよく雑巾掛けをする。

 やはり近くで見ていても素早かった。

 この世界の人たちは運動できる人が多いのかもしれない。


「いっちばーん!」

「にっばーん!」

「くそ!」


 今度はノアが一番早く、レオが最後だった。

 ただ、悔しそうな表情をしていても、三人とも楽しそうだ。

 これなら掃除が苦手な騎士たちも、自ら進んでやってくれるかもしれない。

 どうにか騎士団の庁舎を綺麗に保てるようにしないと、すぐに汚れちゃうからね。


「そろそろパン生地を見に行くよー!」


 掃除を中断して、僕たちは調理場に向かう。


「あっ、三人ともしっかり手を洗わないとダメだからね!」

「なんでだ?」

「「にゃんで?」」

「掃除した手は汚くなってるから、その状態で食材に触ると悪いものがお腹に入って病気になっちゃうよ!」


 僕の一言で三人ともすぐに手を洗いに行った。

 衛生管理に関しての知識があまりにも乏しいから、掃除をする習慣がないのかもしれない。

 一度その辺の確認もしないといけないね。


「ソウタ、手を洗ってきたぞ!」

「「みてみてー!」」


 三人とも僕に手を見せて、綺麗に洗えているか確認してくる。

 その姿がまるで弟妹にそっくりだ。

 僕は嬉しくなり、三人の頭を優しく撫でる。


「「へへへ」」

「なっ!? なんだ!」


 ノアとノエルは嬉しそうにしているが、レオは驚いた顔をしていた。

 レオからしたら年下に頭を撫でられて良い気持ちにはならないよね。

 僕が手を離すと、レオはどこか寂しそうな顔をしていた。


「嫌だった――」

「撫でたいならやらせてやる!」


 レオは僕の手を持つと自身の頭の上に置いた。

 優しく手を動かすと、そこには心地良さそうな顔で笑っているレオがいた。

 お母さんが病気だから、甘えることができなくて寂しかったのだろう。

 僕もそれで泣いたことがあったからね。

 言われたわけではないけど、お兄ちゃんなら我慢して当たり前。

 弟妹が優先なのは当たり前。

 そんなことを自然と自分に言い聞かせていた時期があった。

 今のレオはその時の僕とどこか似ている。


「辛かったら甘えてもいいんだからね!」

「だっ……誰も辛いって言ってないからな!」


 レオは恥ずかしそうにパン生地を見に厨房に入って行った。

 だが、その後ろ姿はどこか嬉しそうに見えた。

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