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大皿小皿(おおざらこざら)  

作者: 藤乃花
掲載日:2025/10/07

成長する度に、買い替える物があります

最近また、ひとまわり体つきが大きくなってきた河童のナズナちゃんは、頭の上に乗せてある水皿の小ささが気になり出しました。


水皿は体が大きくなっても大きさは変わらないので、徐々に成長していく過程では気が付かないものです。


人間で言うところの『靴』の様な物ですので、小さくなってから日が少し経過しないと分からないものです。


「一雨来そうだから、新しい水皿買いに行きましょ!」


ナズナちゃんは水皿を買いに、集落にある『皿市』へと出掛ける為、一張羅のワンピースに着替えました。


新しい水皿を買いに行くとき、ナズナちゃんは若葉色のワンピースを着る事に決めているのです。


(このワンピースを着て水皿を買いに行くと、良い感じの物を選べるから不思議!)


好きな色のワンピースで『皿市』に出かける時の気分はサラサラしてくるので、思わずスキップ足になってしまいます。


あんまりサラサラした気分でスキップしたので、わずか五歩で『皿市』に到着出来ました。


「着いたああ……今日も『皿市』にはお皿を買い替えに来た河童達で賑わってる」


『皿市』と書かれてある若葉色ののぼりが爽やかに立て掛けられ、陳列場所には水皿を買い求めに河童だかりが出来ています。


「いらっしゃいませ、今日も良い水皿が入ってるよ‼」


「こんにちは、こちらの水皿ですけど試着して良いですか?」


ナズナちゃんの好みである若葉色の水皿が、サラサラ光って水を得たお皿のように潤っています。


「お客さん、目利きだね!

その水皿、四十年前とある法師一行の一人が西を目指す旅の途中で売り払った高級品だよ‼」


「わあ、素敵!

あの河童と同じ品に惹かれるなんて……それにこの若葉色、好みだから買います!」


試着用の鏡を前に、ナズナちゃんはおさがりだけど新しい水皿を被って満足気にしています。


ナズナちゃんの水皿を選ぶ勘には、的を得た質が在るのを『皿市』の店員さんは心得ているのです。


「お買い上げ、有り難うございます!」


「被って帰りますので、箱と……この小さい水皿は要りません。

これ、買い取りお願いします」


やりくり上手なナズナちゃんは、お金の事はきちんとしています。


「これはこれは、有り難うございます!

エコ値引きと、そして……こちらの水皿、買い取り価格はこれで……いかがでしょう?」


店員さんの手には算盤そろばんが添えられていて、買い取り価格をそっと伝えます。


ナズナちゃんはコクコク頷いて、またもや満足そうに笑いました。


「はい、それでお願いします」


「有り難うございます‼

お気を付けてお帰り下さいませ‼」


良い価格で買い取り成立したので、気を付けて帰るように店員さんが声を出します。


「はぁい、さよならあ!」


新しい水皿を被り、鱗の財布には良い金額を忍ばせており、ナズナちゃんはスキップ足で帰り道を行きます。


「あ……雨」


一滴、二滴、三滴……雨がポッ、ポッと降り出して、ナズナちゃんの新しい水皿の上に注がれました。


「新しい水皿に雨……気持ちい~い!」


水皿を弾けた雨の粒がポツン……と跳ねて、小さな虹の輪が生まれました


雨の中、ナズナちゃんはサラサラ気分で帰って行きます。
























雨のシーン、河童さんに合いますね






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