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選抜転移  作者: KO
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ミッション1 『人類滅亡を止めろ』第1話

めまいが酷い。どうやら血を流しすぎているようだ。刀を握る握力すらない。

地面に膝をつき刀を地面に立てて立ち上がろうとする。男は、目の前に浮かぶ異形の神を前に殺意を込めて睨みつけた。


「まだ立つか人間。もう終わりだ、人間には飽きた、速やかに人類滅亡を開始する。」


男は刀を逆手に持ち、力強く立ち上がった。呼吸が整えられない。

異形の神は、巨大な1つの目玉に羽が生え、謎の光る文字?のようなものが目玉の周りを囲って回っている。誰が見ても到底立ち向かえるものではない。だが男は、少しずつ前へ歩き出した。


これは何者でもないただの大学生だった男が、2つの地球の運命を変える物語。



アメリカ人の母と日本人とのハーフである『高木 オリバー 優馬』は講義を終えてまっすぐ自宅に向かっていた。1LDKのマンションで一人暮らしをしており、彼女はいない。

なぜ彼女がいないのか?話すとただの良い友達になってしまい、遊んでもすごく楽しんで恋愛の駆け引きをお互い忘れてしまうからだ。


「お!YUNA新しい動画投稿してんじゃん!」


最近推してる女性だ。同じ22歳で顔が可愛く、なんといっても巨乳なのが良い。

ニヤつきながら動画を見ていると、突然インターホンが鳴った。


「はーい。」


「あ、オリバー?ご飯作りにきたよー。」


「毎日毎日ありがたいけどさ、そんな来なくても大丈夫だって。自炊くらいできるからさ。」


「あのさ、こんな美女が毎日家寄って上げてるのに断るとかありえないんですけど?」


「う、ありがとう...」


この女性は幼なじみで同じマンションに住む『リサ』だ。大学は違うが、ほぼ毎日料理をしに来てくれる。

いつも通りキッチンに向かい、冷蔵庫からひき肉を出した。おそらくハンバーグだろう、ヨダレが垂れそうになった。


「そういえばオリバー、ニュース見た?」


「なんの?」


「なんか別次元かなんかに地球と同じ地球があって、そこから通信が来たとか何とか。」


「へ〜。あんま興味湧かないかも〜。」


と言いつつ、調べてしまっていた。

胡散臭い内容と、各国がなぜかこの胡散臭い内容を信じ、人をもう1つの地球に送ろうとしているらしい。


「偉いヤツらの考えはわからん...」


一緒にハンバーグを食べ、リサは自宅に帰る準備をしていた。


「じゃ、洗い物よろしく〜。」


「毎回思うが、洗い物したくなさすぎて俺ん家で夕飯たべてんの?」


「美女の夕飯食べれて幸せなら文句言うな。てか彼女作る気ないの?もしできなそうなら私がなってやろうか?」


おちょくるかのように笑いながら言っている。


「ハイハイ、ありがとう美女。今日も美味しかったよ。」


なぜか少し不機嫌な表情を見せるリサは、乱暴にドアを閉め出ていった。

洗い物を済まそうとした時、突然スマホから耳が痛くなるほど音が大きいアラームが鳴った。


「うるさっ!」


スマホを見ると『おめでとうございます。あなたは選抜転移メンバーに選ばれました。スマートフォンを手放さないでください。』と書かれていた。


「なんじゃこれ...」


突然スマホの画面に、黒背景で謎の数字が下から上に流れ出した。なぜか流れる数字から目が離せない。

脳内に数字が流れ込むかのような感覚に襲われ、突然気を失った。


目を覚ますと、なぜか小学校の教室に居た。窓際の1番後ろの席で目を覚ましたオリバーは、遅れて周りにも数人の人がいることがわかった。


「は!?なんだよここ!」


1番前の席に座っていた男が目を覚まし騒ぎ始めた。ダメージを入れすぎたダメージジーンズに、ピチピチのTシャツを着たイカつい見た目をした男だった。

そして周りにも5人の男性と、3人の女性が教室に居た。

突然黒板が光り、見たことないサングラスを着けたおじさんが映った。


「もう1つの地球から来た人間たち、君たちに感謝を。この世界を救うため命を懸けてくれることに心から感謝する。早速だが、簡単に状況を説明する。君たちの地球との違いは、酸素濃度の濃さと地球に隕石衝突が起きなかった世界線だと思ってくれ。」


オリバーは立ち上がり、疑問で頭がいっぱいな中、質問を探すように叫んだ。


「ちょっと待てよ!どういうこと?ここは俺らのいた地球じゃねーの?」


「すまない、これは事前に撮った映像のため回答は差し控えさせていただきます。」


聞こえてんじゃねーか...おそらく全員が思っただろう。


「続けます。私はティテール社の代表取締役の『キリサキ』だ。今後君たちの活動は後世に残すため映像として残させていただく。」


顔を見らずとも全員が混乱しているのがわかる。


「あ、そうそう。で、今の状況なんだが、20年前から人類が減少傾向にある。その理由なんだが、化け物たちの異変からだった。怪物が入れないようそれぞれの国で対策をしていたが、効果が無くなって人間が襲われる事件が頻繁に起こるようになってしまったんだ。ここまでは人類が滅亡するほどのことでは無いが、友好関係を築いていた特定の怪物たちが暴れだしたことによっていよいよまずい状況だ。そこでもう1つの地球に助けを求めたってことだ。まぁとりあえず理解できたと思うし、その場所が君らの住む場所になるから。あ、こっちの地球技術力ハンパねぇからなんかあったら『ロビット』に言ってくれ。じゃ!スマンがよろしく頼む。」


ほぼ分からなかった。おそらく俺らは捨て駒で、こっちの地球を救うため怪物たちと戦えってことだろう。


.....なんかめちゃくちゃ面白そう!男子妄想しがちな怪物と戦うってことか!しかし、そうなると問題がいくつか出てくるな。


「まじ意味わかんねー。飲みすぎたか?」


あのヤンキーの兄さんをどう味方につけるかだ。喧嘩慣れしてそうだし絶対戦力に欲しい。

廊下側の席に目を向けると、オリバーにとって別の地球に来ることよりも驚くことがあった。


「ゆ、YUNA!?」


ビクッと体を浮かせた女性は、長くサラサラな髪をかきあげながらオリバーの方を見た。表情が怯えている。


「お、知ってるよ俺。ちょっと二人で状況整理がてら話そや。」


男はYUNAの肩に腕を回し、体を舐めるようにじっくりと体を見た。

オリバーは考えていた。もし本当に戦う場合、チームでの協力は必要不可欠だ。それにここで男が自分を圧倒的だと感じた場合、これからのここでの生活は奴隷だ。それは絶対に防がないと...

と、いう言い訳を考えついたところで、自分の推しが襲われるとこなんて見たくないため、椅子を持ち上げ男の頭に振り下ろした。


「いってーなー!」


「あれ?案外人間って硬いんだ...」


男は今にもオリバーを殺しそうな目で睨みながら、胸ぐらを掴んだ。


「お前、殺すぞ?」


「殴ったのはごめん、だけどここでその子を犯すのは絶対やめて欲しい。理由はここで生き残るには、強いあんたが戦闘員として必要だから。」


「お前あれ信じてんのかよ。てか殴ったんだから殴らせろ。」


「ちょっと待てって!とりあえず落ち着け、あんたはバカじゃないだろ?だったら状況から先のこと考えられるだろ?力でリーダーになるんじゃなくて頼れるリーダーになってくれよ。」


しばらく考え男はオリバーを突き飛ばして席に戻った。

尻もちをついたオリバーに、YUNAが駆け寄ってきた。


「ありがとう、大丈夫ですか?」


「全然!大丈夫です!」


めちゃくちゃいい匂いする。絶対口に出さないよう気をつけよう。

突然黒板の隣に居たミニロボが動きだした。大きな目に小さな口、指が三本の二足歩行で可愛いサイズのロボだ。


「よぉー!ポンコツ共!俺様がロビットだぜ!早速任務入ったからよ、すぐ戦ってこいや!」


可愛い見た目だが若干イラつく。


「いくらなんでも急すぎないか?」


1番前の席に居た男がロビットに向かって言った。


「仕方ねーだろポンコツ!このままじゃ人間消えちまうぞ!」


「戦うってどうするんだよ!こういうのって最初にチュートリアルがあるもんだろ?」


ロビットはオリバーに向かってチョークを投げた。


「人生にチュートリアルなんかねーよ!甘えた世界で生きてきたんだなポンコツ!」


「ちょっと待て!」


突然足元に青い円が現れ、一人一人落ちていった。


「ど、どうなってる...」


ワープした先は巨大な樹木が多くある森だった。

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