黒い魔女と白いメイド
「おはようございます、リィリィ様。」
青いメイド服を着た真っ白な肌と色々な青が混じった髪を持った少女は、いつものように寝坊している、主人が寝ているはずのベットに声をかける。
はずと付くのはそのベッドの上に山のように布団が重ねられ、人が寝ているかどうかも怪しく感じられるからだ。
「おはよ〜?もう朝なの?ミネラ…ねむいからもうちょい寝かせて〜…」
布団の塊の下から寝起きのせいだろう、甘ったるい声が返ってくる。
「もうお昼ですよ?」
ミネラは、布団の塊を勢い良く吹き飛ばす。
「酷い!!そんなことするよう教育した覚えないんだけど!?」
ベットの上で、下着姿で涙目になった黒い髪の女性がさっきまであった温もりを返せと騒ぎだす。
「生活能力が著しく低い貴方に生活関係を教えて頂いた記憶はないんですけど?」
ミネラは可愛らしく首を傾げる。
ミネラの主人は、世界有数の大魔女で、彼女等が今住んでいる国のお抱えの魔女だった。
「今日ですよね?来るの...事前に立てた計画を寝坊ですっぽかして死にました、なんて笑い事どころじゃないですよ?」
うめき声を出しながらリィリィは――
「うちのメイドが...正論言って虐めてくる〜...」
「誰に向かって言ってるのかは分からないですけど...一緒に仲良く死にたいんですか?」
魔女は眠くて回らない頭を叩き起こしてベッドから降りる。
「よく出来ましたリィリィ様。机の上にココア置いてあるので、服着てから飲んでくださいね?」
気の抜けた返事を返したリィリィは、部屋の端にあるタンスから真っ黒な童話に出てくる魔女が着てそうな服を取り出し、着ていく。
リビングの机に置いてあるココアを飲んでいると、ミネラが部屋の中に居ない事に気づく。
外を見に行ったのかな?
しばらくしても帰って来ないのでリィリィは退屈したように――
(ルーミーク?今日…上手く行くと思う?)
小声で部屋に居ない誰かに問いかける。
「流石にまだ寝てるか...はぁ...ひまだな〜...。」
リィリィが退屈そうにしていると――
うん?来たみたいだね.
何かを感じたのかリィリィは何処から取り出した、自身とほぼ同じ身長の太く長い杖、『大杖』を手に持った。
「リィリィ様、来ました!!」
ワンテンポ遅れて、ミネラが両手に短剣を構えミネラの横に現れる。
さらにワンテンポ遅れて部屋の天井が大きな音を立てながら横にズレ落ち、青空に置き換わり、いくつもの人影が彼女等の周りを浮いていた。
「もうちょい、やりようってものがあるとは思うんだけどね〜?『緋暮』...流石に雑すぎだよ?」
リィリィは真っ白な外套を羽織った紅蓮色の髪と緋色の目を持った騎士に問いかける。
「荒い仕事と言われると否定出来ませんね...」
指摘された騎士は何とも言えない顔をし、剣を遊ぶ手を止める。
「しかし、1ヶ月良くバレずにこんな所で過ごしましたね?」
赤い騎士はあからさまに話を変える。
「身近な方が気付かれにくいからね...それに今の皇帝に変わった時点で察してたからね...」
分かっていても指摘はしない。
彼女はそこまで人として優しくは無いから。
「急拵えってわけでも...無いってのが1番...大きいかな?」
魔女は凄いでしょうと言わんばかりに自慢しながら戦況を把握する。
しっかしね〜...弟子の4人は安全装置といったところとして...。
『永世の魔導師』、『奇術師』、『曇轟』...そして上空に『傾国の貴女』か...。
名のある魔法使いしか居ないのを確認し――
足止め...良くて怪我を負わせる...程度しか考えてないみたいだね...。
世界最強とも呼ばれる魔女は不敵に笑う。
面白いね〜...私の足止めに『魔人』は必要無いとそういう事かな?『千変』のアドバイスを無視ししてくれるのはこっちとしてはありがたいかな?
リィリィは近くで身支度を終えたミネラにハンドサインを送る。
(こっちにおいで。)
赤い騎士はそれを見てひとつの違和感を感じる。
「新しくメイドをもう1人雇ったのですか?」
ミネラとリィリィは続いて発せられた言葉に驚く。
「ミネラ様が見受けられないのですが?」
赤い騎士の横で彼女等を眺めている老婆こと『永世の魔導師』は、微かな空気の揺れを感じた...が、特筆すべき事では無いと判断し彼女等が動きを見せるまで傍観を続けた。
「え...?オルフェルン...教えてないの?」
問いかけられた黒いローブに緑色の炎のような物を纏い、その上で鎖を全身に巻き付けた少女は、首を傾げ――
「師匠、私に言われても困ります…それに、ミネラ様が服やウィッグ、メイクを高頻度で変えることは…王宮内でも有名な話のはずですよ?」
オルフェルンは剣をクルクルと回している赤い騎士の方を見やる。
「あなたが知らない理由は、戦闘ばっかしてるからじゃないです?そもそも今回の資料に、ちゃんと記述されてましたよ?」
赤い騎士は急に話の内容が自分を刺しに来るものに変わり非常に気まずい顔をする。
そんなことを気にせずに、オルフェルンの背中からぶかぶかで腕を伸ばしても袖がかなり垂れる大きさのローブを着た少女が、いたずらっぽく笑い赤い騎士に追い打ちをかける。
「…脳筋バカ….報告書...読めない?」
少女の言葉がかなり響いたのか、赤い騎士は涙目になりながら呻き声をあげる。
「『縛樹』も『蓮某』もどっちの味方なんです?他の人もなんか言ってくださいよ!?」
他の取り囲んでいた魔法使いやリィリィが呆れたようにため息をつき――
「『魔女』になることが出来て浮かれてるからですよ?『緋灼』ちゃん。」
ミネラにトドメを刺された。
「誰がちゃんですか!?ちゃん付けやめてください!?皆さん酷すぎませんか!?ねぇ!!てか、なんでミネラ様私が『魔女』なったの知ってるんですか!?」
ミネラは面白そうに笑い、分かりきっている答えを告げる。
「身体を見ればわかるし…それに、普段リィリィ様に情報集めて伝えてるの私ですからね?」
そんなやり取りをしていると。
取り囲んでいる魔法使いの中で一際威圧感を放っていた『魔導師』が口を開く。
「上から何かが…落ちてきています。」
その言葉を聞いてほんの一瞬その場を囲っていた全員が上空を見る。
「リヴィト様…そちらが追手でこっちは逃走者ですよ?」
メイド服の少女が彼等に言う――
その一瞬で囲まれていた2人は城の城壁にある監視塔の1つ中に作ってあった部屋から、少し離れた城壁の縁に移動し終えていた。
2人は囲っていた彼らの方を向き、楽しそうに笑いながら告げる。
「時間稼ぎに乗ってくれてありがとうございます。脳筋ゴリラさん?」
「またね。弟子と『永士』そして、その他大勢の皆さん?」
2人が城壁から降りたと同時に8人の魔女が城壁の下から上がってくる。
「誰が脳筋ゴリr――」
リィリィが世界最強の魔女と呼ばれている理由は、魔術の知識が長けている、『魔人』だけが持っている固有の力が異常に強いだけでは無い。
理由はいくつかあるが...特筆すべきは2つ。
本体と全く同じ性能の分身をいくらでも出せることそして、全ての感覚を狂わせる技術...
分身と聞けばちょっとした攻撃で消えそうだが、明確には複製体つまり本物の人間と大差が無い。
ここまで長く説明して何が言いたいかというと、どれだけ強い魔導師とはいえ彼女の複製体一体にすら歯が立た無いという事だ。
「8人ね...どうすればいいかな〜?」
「余裕こいてる暇はありませんよ?『緋灼』...全員でかかっても生きて帰れるかどうか...。」
2人が会話しているとさっきまで黙っていた紳士服を着た40代程の外見をした男が――
「それは無いでしょうね〜。明らかにあれは劣化版です。殺さない程度には落としているのでしょうね〜?」
片眼鏡を付けた紳士が魔女を観察していると――
2人が降りた方とは反対、城内側の城壁の外側に大きな音をたてて何かが落ちる...
よく見ればそれは、真っ白な修道服を着た血だらけの少女だった。
傍らには少女のものと思われる杖が一緒に落ちていた。
「『傾国』?なんで...?...まさか!?」
赤い騎士が呟くのと同時に上空からふわりともう1人魔女が降りてくる。
「オルオル....せんせ...遊んでる。」
「だね...さてと」
『縛樹』の名を冠する魔導師は不敵に笑い言い放つ――
「師匠に一泡ぐらいは吹かせましょう。」
『蓮某』と呼ばれる魔道士もまた交戦的な笑みを浮かべた。
「うん。」
彼女等2人によって育てられた魔導師が動き出す。
ここ最近睡眠不足で授業に受けるのも一苦労なすろ〜です。
美味しくなって新登場しました、非常に内容量減ってそうな見出しですけど実際は文字数が遥かに増え、細かい描写も増やしました......まだまだ書き込みは増やせそうですけどね...
本来この小説は、自分が書きたい物語を書くための練習用のお話何ですよ....こんなに文字数増やして...終わるんですかね?
さて、本編の話を今回もしましょう。
今回は『魔女』リィリィがメイドのミネラと国から追われるところから始まりました。
暑苦しい程の大量の布団に埋もれる世界最強...
お着替え大好きなメイド主人公...
簡単な報告書すら読めない赤い馬鹿....
非常に先行き不安なメンツが出てきました。
まぁファンタジーの物語まともなキャラなんて出るわけ無いんですけどね...
この作者こと馬鹿は、国語を赤点取りまくるくせして思いつきで文を書くので、文法もなければ誤字脱字のオンパレードです....誰か国語力を分けてはくれませんかね?(切実)
誤字脱字の方は温かい目で指摘して頂けると幸いです。
文は練習あるのみ!!(白目)
それでは最後にいくつか書いて終わりにします。
この回から読み始めた方はもしよろしければ...これからも読んで頂けると幸いです。
以前から読んで頂いている方々は、以前と書き方が多く変わりましたが...これからも応援して頂けると嬉しいです。
読んでくださる方々が楽しく感じられる様な作品を書けるようこれからも頑張らせて頂きます。
もしよろしければ感想等を書いて頂けないでしょうか?(強欲)泣いて喜びます。(アドバイス下さいお願いします。)
それでは次回でお会いしましょう...ご愛読ありがとうございました。