酔っ払いとサッカー
30分程と言われたが1時間歩いてもそれらしき所にはつかない。
「道・・・間違ったかな?」
「いや合ってるぞ、今半分ぐらいだ」
すでに言われた時間の倍歩いているのにまだ半分?2時間かかる計算じゃないか
完全に騙された。
歩く距離じゃない。
くたくたになりながら何とかたどり着く。
とても小さな家だ。
ドアをノックするも返事がない。
留守だろうか?
「どうせ飲んだくれて寝てるんだ。叩き起こしてやれ」
サッキーが扉を開け家の中に入る。
「おい!!起きろ!!サッカー属性のやつが来たぞ!ハズレだけどな!」
「なんじゃサッカー?サッカーするような奴はこんなところには来ないだろ」
顔を真っ赤にした無精ひげの男性がゆっくりと家の中から出てきた。
「んーっ酒が回ってるせいか?なんかサッカーっぽい恰好をしたやつがいるな・・・」
まあ試合中に急にこんな世界に来てそのままの服装なので完全にサッカーのユニフォームだしサッカーの恰好ではある。
「お前はサッカーをするのか?サッカーなのか?」
サッカーではないがサッカーはする。
「まて今からお前がどの程度出来るか試させてもらうぞ」
そう言うとおっさんは家の中からボールを持ってきた。
「蹴ってみろ」
僕に向かってボールを放り投げてきた。
軽く胸でトラップし軽くリフティングする。
「あの木だあの大きな木があるところまでドリブルしてみろ」
指さす先に大きめの木がある。
まあしょうがない。
ドリブルで移動し始める。
「全力でいけ!!」
はいはい、ギアを上げ速度を上げる。
突然何かが飛び出してきた。
そして強い衝撃
「ゔぁぁぁああがっぁあああ!!!」
悶えながら見たその先には巨大なイノシシみたいな生き物がいた。
「どうした?その程度もかわせないようならサッカーなんか出来ないぞ」
出来るよ普通のサッカーは出来るよ。
でもまあこの世界は普通じゃなかった。
殺伐とした暴力のサッカーだった。
「やれるよ。余裕だ余裕でかわしてやるよ」
なんてことない。
何かが急に飛び出してくる事がわかっているならかわせばいいだけだ。