殺伐とした世界
「どうせ行く当てないんだろ?」
聞くまでもないだろ。
今の自分の立っている場所がどこでどういう状況なのかも理解が追いついてないんだ。
「無い」
「だったらついて来い」
この怪しい妖精らしきものを信じてついて行って良いものか疑問だらけだけど他にあてはない。
とりあえずついていくことにした。
この辺りで一番大きい家の前に着く。
「村長ー!ハズレが捨てられてったぞ」
ハズレ・・・間違ってはいないんだけどはっきり言われるとなんだな。
家の扉が開き、中からひょろっひょろの老人が出てきた。
「なんじゃお前は?ハズレか?」
「まあハズレだけど一応大木戸ケントって名前があるんだけど」
「ケント・・・変な名前じゃな」
「うん変だ」
変?サッキーのほうがよっぽど変な名前だと思うんだがここは文化の違いなんだろうと思い黙っておいた。
「お主サッカーとか言うスポーツの為に召喚されたんじゃろ?」
「はあ、まあ」
「残念じゃがこの辺りではサッカーはあまり流行ってないし詳しいものがおらん。ここから北に30分ほど歩いたところに住んでるロウベルトと言う男がサッカーに詳しいはずだしそいつを頼ってみるが良い」
なんか面倒くさそうだから他所にたらい回された感じがするけど他に当てがあるわけじゃ無いので言われたとおりにすることにした。
「おいっハズレ、不安だろうから俺がついて行ってやるよ」
「だからハズレじゃなくて大木戸ケントだって」
「よしっじゃケント行くぞ」
サッキーが先頭をきって進み始める。
「あのさこの辺りはサッカー流行ってないって言ってたけど」
「あーこの辺りは棒切でボールを打つスポーツが流行ってんだ。ほらあそこ、あそこでやってるやつ」
サッキーが指さす方を見た。
野球だ野球してる。
ピッチャーが投げてバッターが打つ、そして走る。
そしてファーストをバットで殴る!
ええっ!?
「あのサッキー?バットで殴ってるけど?」
「ん?普通だろ?野球の一番盛り上がるところだ」
そんなわけない。
サッカーといい野球といいなんかこの世界は殺伐としてる。