サッカーの妖精
なんだか目隠しをされ何かの箱につめられ乱暴に運ばれること数時間
地面にどさっと置かれた感じがした。
どうやら目的地には着いたようだ。
箱の蓋が開き光が差し込んできた。
目の前に広がる景色はとてものどかで田舎の景色だった。
広大な大地に田畑、ポツンポツンとまばらに立つ家
さてどうしたものか?
ここがどこなのか全くわからないんだが周りをきょろきょろ見渡してみると何やら小さな妖精的な奴がちょろちょろと僕の周りを飛んでいる。
ちょっと鬱陶しかったのでハエを追い払う感じで追い払ってみた。
「おおいっ何をする!捨てられてきた人間の分際で!!」
捨てられた、だと?まあここまでの展開、状況を見る限り間違ってはいないとは思うけど・・・。
「あの・・・この状況って?」
とりあえず言葉は通じるっぽいのでざっくりと質問を投げかけてみた。
「わかっていることはお前がこの世界で絶大な人気を誇るスポーツ、サッカーの為に召喚されて期待外れのFランクキャラだったのでこの村に捨てられたって事だ」
「召喚されて異世界に来たっぽい事は分かった。使い物にならなかったので捨てられたのも何となくわかる。でもサッカーって所がいまいちピンとこない。少なくとも僕が知っているサッカーとは別物なんか反則行為連発だったんだけど、って言うかお前は何?妖精?」
「そう、僕は妖精サッカーの妖精サッキーさ!!」
サッカーの妖精・・・なんかピンと来ないけど本人がそう言うならそうなんだろう。
「っでそのサッカーの妖精に聞くんだけどあのサッカーはどういうこと?」
「そうだね。君のいた世界のサッカーとこの世界のサッカーの違いはボールを持った選手を剣や魔法で攻撃して良いって事、そしてボールを持っているプレイヤーも剣や魔法その他のスキルを使って攻撃出来る、そこが大きく違うところだね。だからよりハードでアグレッシブなスポーツになっているんだ」
「へぇ・・・ってそんな所に剣も魔法も使えない人間を召喚してもなんの役にも立つわけないじゃん」
「いやそんなことはない。たまにすごい武器を持った人間とか召喚されて各国の代表として活躍している。っで君みたいに使えそうにない輩はこういった辺境の村に捨てられているんだ」
勝手に呼んでおいて捨てるってのはずいぶんな話だ。
「じゃあもういらないなら元の世界に戻りたいんだけど」
妖精の眉間にしわが寄り険しい表情になる。
「そいつは不可能ではないけど不可能に近い。そもそも召喚したり戻ったりの異世界との行き来には莫大なエネルギーがかかる。ゴミみたいなキャラたちにそんなエネルギーは使えない、まあキングダムカップで優勝すればその栄誉を称え帰る権利がもらえるんだ」
「キングダムカップ?」
「そうさサッカーの世界大会、一流のプロたちが戦う世界最高のサッカーの大会さ」
なんてことだ、あのサッカーの世界大会で優勝だと?無理無理、この間の試合で死ななかったのが不思議なぐらいだ。