Ⅱ 2023年5月22日 タイムリープを信じさせる方法 検索
中間試験の勉強が忙しかったのと、テストが終わってすぐサッカーの大きな試合に向けて練習が大変で、なかなか三人で作戦会議をすることができなかった。校長について調べるのも、水島が抱える秘密を探るのも、テスト勉強と部活を優先にしていたためできなかった。水島が殺されたのは12月22日。まだ半月以上も時間が残されている。
でも、水島との距離は一周目より深くなった。作戦会議をする余裕がなくとも、放課後、小坂、悠護の人生二周目組と水島とでテスト勉強をするなど一緒にいる時間が増えた。おかげで、苦痛なテストも今までよりも楽しく思った。そして、今日は、兄ちゃんと会う約束を取り付けた。
「匠、テストだったんだろ。お疲れ! なかなか都合がつかなくてごめんな」
放課後、兄ちゃんが学校に迎えに来てくれた。
「忙しいのに呼び出してごめん」
心臓が緊張で尋常じゃない震え方をしている。深呼吸をして話を切り出す。
「俺に頼みたいことって?」
「京栄高校の摂津校長について調べてほしい。内密に」
「え、なぜ、校長のこと知りたいんだ?」
案の定戸惑いを見せている。どう伝えれば、怪しく思われず校長のことを調べてもらえるのだろう。絞り出そうとしてもなかなかいい案が出てこない。時間が一秒ずつ過ぎていくだけだ。
「あのさ、兄ちゃん。俺が未来から来たって言ったら、兄ちゃんは信じてくれる?」
沈黙が車内の空気を重くさせる。一か八か正直に打ち明けることにした。いい理由が思いつかなかった。兄ちゃんの前だと嘘がつけなかった。思っていた通り、切れかけの電球のような反応をして、兄ちゃんは戸惑っている。
「……匠、大丈夫か。勉強で疲れたとか」
赤信号になっている間、俺の額に手を置いて熱がないか確かめる。心配そうな眼差しが注がれる。否定しないといけないのに、声が出てこない。
「うん、熱はなさそう」
兄ちゃんは、勉強のし過ぎで体調が悪くなってしまい、俺が変なことを口走ってしまったのではないかと思っていた。
「ごめん、戸惑わせちゃって…忘れて、じゃあ」
家に着くと、会話を終わらせて、足早に逃げてしまった。
未来から来たとか、やはり簡単には信じないだろうな。どうしたら信じてもらえることができ、協力してもらえるのか。今の時代、分からないことや知りたいことがあったら、ネットで検索したらすぐに答えがあるのに、この問いに対する答えは出てこない。分かっているのにもかかわらず、無意識に打ち込んでいた。
「タイムリープ 信じさせる方法」が検索履歴に残っただけだった。




