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空からの贈り物  作者: 麗蘭。
初めての仕事
13/29

2人の幸せ


 今日の朝はいつもより早い。


コンコンコン


ガチャ


 侍女が来たということはもう時間だ。


「おはようございます、礼華様」


「おはようございます」


 朝に弱い礼華はふわぁーと大きな欠伸をしただけでその場を動こうとしない。


 気品あふれる侍女長のアンナは、数名の侍女を引き連れ、彼女の部屋にやって来た。


「女王様に一任を任されました、アンナでございます。少々手荒でございますがご容赦を……!」


 侍女長が手を叩くと同時に侍女の1人がカーテンを思いっきり開いた。


 暗い部屋が一気に明るくなる。


「ううっ、眩しい……」


 すかさずマットレスを取り上げると、礼華はゆっくりと体を起こした。


 そのままの流れで立たされ、服を脱がされ、丁度いい温度のぬるま湯に浸からされる。髪はバスタブの縁の外へと出された。


 バスタブには花弁が浮かび、甘い香りが漂った。


「……」


 お湯に浸かっている最中でも侍女たちは忙しなく働く。髪を櫛でとかし、顔にパックを当て、服の準備を進める。


「……」


 風呂の後は、丁寧に体を拭かれ、着せ替え人形のように服を着せられた。


 ドレッサーの前に座らされ、髪が整えられようとする頃にようやく意識がはっきりした。


(私これ何やってんの!?)


 心の中で叫ぶももう遅い。ぱっちりと目を見開いて鏡を確認すると、いつも以上に惚れ惚れして見える自分がいた。



 ◇◆◇



 今日は真紘の誕生日でもあり、結婚式でもある日。この結婚式にはほとんど貴族しか参加しないという。ダリア様曰く、貴族の伝統的な行事らしいが、どうもそれだけとは思えない。


 城の広い庭は豪華に飾り付けられ、ウエディングロードが敷かれていた。


 空は晴天、白いウエディングドレスと青い空は大変映えるだろう。


「ここの生活にはもう慣れたか?」


「はい、今日で最後なのが少し寂しいぐらいです」


 紫色のドレスで着飾る女王は口の端を緩める。


「お主さえよければ、もう少しここにいても良いのだぞ。その方がわたしも助かる」


 この1週間、ダリアにとっても充実した日々だった。仕事に付き添わせてみると愚かな宰相よりも優れた対外政策を編み出し、言語学者に匹敵する古アルフォゲル語の知識があった。また、華やかな容姿とは裏腹に、優れた勉学の才があり、地道に努力を積み上げる姿勢も持っている。自分ならばその才を存分に活かせる、そう考えていた。


「お言葉ですが、私にはやるべきことがあります。あと、姉さんが心配で……」


「妹に心配されるとは、ナノハもまだまだか」


 こうなることは予想できた。彼女は彼女の道を歩んでいくのだから。


「私はダリア様のことも心配ですけどね」


 この者は人の心配をする以前に、自分の心配をすべきだろう。


「少しは隙を見せてください」


 そんな無防備な笑顔を人に向けるのはどうかと思う。だが……


「わたしの気が変わったらな」


 もう既に見せているなど、どの口が言えるだろうか。


 後ろの席の方で手を叩く音が聞こえる。


 その音に釣られて後ろを振り向くと、そこに花嫁の姿が見えた。


 純白のウエディングドレスを纏う親友の姿に、ただ手を叩いて祝福する。


 いつかは自分も……そんな乙女な考えを巡らせながらこの幸福を祝う。


 幸せ絶頂の2人を見ながら今後の人生設計をしばしば考えた。



 ◇◆◇



 護衛の任務を終えた私は、姉さんたちがいる宿屋に泊まることになった。


 そして、嬉しいことが一つ。


「狙撃銃……!」


 1メートル以上ある長くて黒い銃。これは姉さんからのプレゼントだそうだ。


 物騒な弾丸も入っていたが、今はまだセットする気にならない。一通りの扱い方は姉さんや他の軍人さんに教えてもらった。


(いざというときは……)


 みんなを守ると誓ったから。


  挿絵(By みてみん)

イラスト 小袖(こゆ)こゆき様 https://mobile.twitter.com/koyuuuyuki717


無断転載、AI学習などはしないでください。

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