表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/47

28.新しいプレゼント

 個室にいたレオンは、私が入ってきて喜んだ顔をしたが、すぐに真剣な目をして貴石を再度、見始めた。


「ああ、アイリス、まずは石を選ぶぞ。前にお前に渡したピアス、既に魔力は切れていたから、新しく選ぼう。」


 レオンは赤系の石を何個か手に取ると、店員に渡してピアス用に加工することを依頼した。店員は部屋の貴石を片付けると、しばらくお待ちください、といって、私たちに二人で話す時間を用意してくれた。


「よし、アイリス。大丈夫か。領主から話を聞いたと思うが、俺は、お前を諦めるつもりはない。」


レオンは宣言するように、はっきりと私の眼を見て、話してくれた。やっぱり嬉しい。私も、この赤い眼をみて、彼の声で、その言葉を聞きたかった。


「レオン・・・ありがとう。私も、レオンと婚約したいと、思っているよ。」


 昨日の領主の話を聞いてから、レオンも不安に思っているかもしれない。安心させるためにも、はっきり言わなければと、私は思っていた。


 レオンが、私の手を包み込むように、握ってくれる。彼の手のぬくもりが、嬉しい。


「アイリス、とにかくララクライン嬢を探そう。彼女に戻ってきてもらい、ソルディーエルと婚約してもらう。そうしないと、俺たちの婚約は消えてしまう。いいな。」


「わかったわ、レオン。私も探すわ。」


「じゃあ、手分けしよう。俺たちは一応、接近禁止令がでているからな。」


「そうね、王制復古派が絡んでいると思うけど、私、まずはソルに会いに行こうと思うの。復古派は、彼に接触している可能性は高いと思うし。」


「そうだな・・・俺としては複雑だけど、お前を信じるよ。俺は、リード公爵家の方を当たってみる。しばらく遠方まで行くことになるが、必ず戻る。連絡には、お前に飛ばした伝令魔鳩を使おう。」


「わかったわ。・・・レオンも気を付けてね。」


 二人の視線が重なる。少し沈黙の後、レオンが「いいか」と目で聞いてくる。軽くうなずくと、唇の上にレオンの少し乾いている唇が、重なってきた。


 私を悩ましてきた婚約者問題が、ようやく解決したと思ったのに、どうして運命は私を翻弄するのだろう。私の頬を、涙が一筋、ついと流れた。


 ドアをトントン、とノックする音がする。


 お互い、サッと距離をとる。今は、甘い雰囲気にのまれるわけにはいかない。


ピアスができたようだ。入ってきた店員からピアスを受け取ると、レオンはそれを握り締め、魔法を付与するために詠唱しはじめた。黄色い光がぽわっとピアスを包み込んだ。


少し額に汗がにじんでいる。レオンにしては珍しく、集中して詠唱したみたいだ。そして出来上がったピアスを私に渡してくれた。滾ったような赤。レオンの瞳の色だ。


「これには、防御魔法と探索魔法と、重ねてつけておいた。両耳につけておいてほしい。」


「ありがとう、レオンがいつでも、守ってくれているように感じるよ。これでいつでも、一緒だね。」


 ニコッと笑って返事をすると、レオンは一瞬顔を固めたが、すぐに笑顔になった。


「ああ、あとお前と俺で、魔力がシェアできるようにもなっている。お前、魔力が弱いからな。」


 赤いピアスを耳につける。レオンの魔力を微力ながら感じることができた。彼がすぐ傍にいるみたいだ。


「じゃあ、私が先に行くね。ピアス、ありがとう。遠慮なくおごってもらうわ。未来の旦那様、でしょ?」


 レオンが支払いをしている内に、私は先に店をでることにした。そして、ソルがいると思われる、騎士団詰所に向かい、長い坂を上っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ