23.園庭で話し合あおう。君との未来を。
レオンとアイリスは、お互いのことを確認するため、会場の庭園にあるベンチに座った。
「レオン、そういえばデートの日の後から、会えなかったけど、どうしていたの?」
「ああ、あの日か・・・。お前の師匠が、すげぇ怖かったから、俺、強くなりたくてさ。何とかして魔術を引き上げようと思って、帝都の魔術師団長に会いに行っていたんだ。」
「レオン、帝国魔術師になるの?」
「あぁ~、いや、まだ決まったわけじゃない。適正もあるしな。俺に与えられる領土もあるが、帝国の魔術師になると、基本的に帝都住まいになるからな。」
「そうなの、魔術師かぁ。」
「帝国魔術師の嫁がいいか、領主の嫁がいいか、今なら選べるぞ。」
「私、妖術遣いとして冒険者になりたい。あ、レオン、だから結婚式は2年後よ。私、2年間は自由にさせてもらうからね。」
だれと婚約することになろうが、結婚式までの2年間は、冒険者になると決めていた。これは、譲歩できない。
「何!聞いてないぞ!俺はすぐにでも結婚したい!」
レオンは何とか説得しようとしたが、私も私で希望がある。
「ダメよ。結婚式は2年後。それまでは、お互いに婚約者ということで。時々会うくらいでいいでしょ?」
「待て、それは話し合おう。俺にも希望がある。」
「ふふふ、何だか可笑しい。さっきまで、未来のことなんて、考えられなかったのにね。」
「そうだよ・・・俺はもっと、こう、甘い感じでだなぁ。ベタベタしたい。」
そういうと、レオンは私を抱き寄せて、こてんと首に顔をのせた。
「はぁ~、やっぱりお前の匂いが一番だな。」
クンクンと私の匂いを嗅いでいる。変態皇子は健全だった。
レオンは私の首元をチラッとみると、動きを一瞬止めた。そして、胸元を注視した。
「お前、なんだよ、コレ。」
ギリギリ、ドレスに隠れていた赤いうっ血痕。
「うわっ、こんなに赤くなってた!これ、師匠がつけたのよ。」
「何っ!師匠って、妖銃使いサボのことか!」
上機嫌だったレオンは、一気に顔色を変えた。
「うん、そう。ほら、ここのところ私、魔窟の森で魔獣狩りしていたの。師匠に指導してもらっていたのだけど、時々けがしちゃって。で、結構身体中に傷だらけになったのを、師匠が治療してくれたの。ほら、レオンもしてくれたでしょ。舐めるのって、最新治療なんだね。」
「傷だらけ・・・」
「うん、そう。」
「身体中・・・」
レオンの様子がおかしい。考え込むように、腕を組み始めた。
「で、医療魔術と称して、お前の師匠が舐めた・・・舐めたのか?」
「ええ、師匠は、医療魔術は得意じゃないから、ちょっと痕が残るって、言っていたわ。でも、数日で消えるって。」
今度は頭を抱え込む。どうしたのだろう。以前、レオンも治療と称して舐めていたではないか。師匠の場合、舐めるというより、ちょっとチュッとされた時もあったけど・・・
「わかった。俺がその痕を消してやる。見せてみろ。」
レオンは何か覚悟を決めたように、手をドレスにかけて、脱がそうとしてきた。レオンの尋常ではない様子に、私は妖銃アレンをさっと取り出し、その銃口を彼に向けた。
「レオン、ここではダメ。そして、私たち、これからのこと、きちんと話しましょ?ちょっと距離があった方が、いいと思うわ。」
レオンは両手をあげて、無抵抗の意志を表した。
「お前も十分怖いぞ・・・はぁ、先が思いやられるな。」
婚約式や、その先の生活に向けての準備も多い。レオンとは、翌日も会うことを約束し、アイリスは父の住む公爵家に帰った。




