17.あの日の真実
魔窟の森でも、ボヤッとしているアイリスは、またも魔物に狙われてしまう。最終的に、助けるのは、いつものごとくサボであった。
「アイリス、また集中できなかったね。妖術の練り上げ方は上手いのに、もったいないなぁ。攻撃するまで時間がかかっちゃうよね。ぼやっとしていたら、命がいくらあっても足りないよ。」
「師匠・・・やっぱり、私は冒険者なんて無理なのかなぁ。」
「僕はもうしばらく滞在するから、上達するまで見てあげるよ。まずはスピードが課題かなぁ」
妖銃使いとして指導する時は、至ってまともだった。もしかして、あの日の朝のサボは夢だったのかもしれない、とまで思えてきたが、次の一言で、やはり夢ではなかったと思い知らされた。
「あと、僕と愛の逃避行をするなら、お金の苦労はさせないよ。ベッドの上では、ちょっと苦労するかもしれないけど。僕、夜も強いから。」
エロ親父発言は、とりあえず無視することにした。
「そういえば師匠、この前夢の中で、アレンと話すことができました。」
「え!アレンと?すごいねぇ、過去に会話のできる妖銃使いがいたことは知っているけど。姫も会話ができるようになったのか、えらいね。」
「そうですか、やはり過去にも、会話ができた事例があったのですね。あと、アレンはおばあちゃん銃でしたよ。」
「おばあちゃん・・・僕のイメージは、かわいい少年銃だったけどなぁ。」
「少年銃、ですか。私はエロいおっさん銃と思っていました。ところで師匠、一度聞きたかったのですが、師匠が妖銃アレンでサルビア宮殿を焼いた時、私の記憶では、銃身が抱えるように大きく、赤かったように思うのですが。」
「エロいおっさん・・・もしかして、僕のことも、そんなイメージ?」
疑いの眼で、じーっとアイリスを見つめてきた。
「真面目に答えてください。師匠はただのエロ親父です。最近は特に。」
アイリスも、容赦ない。
「質問は、妖銃アレンの姿です。どうやったら、あれほどの銃身になるのか、不思議に思っていました。」
「あの日は、僕が宮殿を攻撃することを予定していたからね。アレンにお願いしたんだよ。宮殿を一瞬で燃やしたいから、できる?って。」
「お願いする・・・ですか。一瞬で燃やしたのは、意味があったのですか?」
「まぁね。インパクトが大きかったでしょ。君達、サルベニア王国民にとって、あの宮殿はシンボル的存在だったからね。その宮殿が一瞬で焼失してごらん、誰もが敗けたって、わかるでしょ。無駄な抵抗も無くすためだったよ。あれは。」
師匠の真意を、初めて聞いた瞬間だった。シンボルである宮殿を焼失させることで、人々の意識を一瞬で変えた。
確かに、あの燃える光景をみて、誰しもが帝国へ抵抗することを諦めた。それがなければ、市街戦にもつれ込み、復興への道のりは長くなっていたであろう。そして、王国側の被害者も、増えていたであろう。
「師匠、教えてくださり、ありがとうございます。―――覚えておきます。」
結局、私はレオンとも、ソルとも会うことなく、アンケートの提出期限がきた。悩んだ挙句、アンケートをほぼ白紙で提出することにした。
結婚したくないタイプ、という欄には「変態」とだけ、記入しておいた。




