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1.魔蔦に絡まった私。

初めて投稿します。お手柔らかにお願いします。

 

「ぎゃああああ。また捕まった、マズイ。これ、私、すっごいピンチかもしれない。」


 さくらんぼ色の髪を一つで結び、ホットパンツにロングブーツ、腰には年頃の娘にしては不似合いな漆黒の銃を持つ私、アイリス・ギューエは執拗に絡まってくる魔蔦に捕まった。非常にマズイ。


「まだ入り口なのに、なんでいるのよぉぉぉ」


 このダンジョンに入って、入口からも近い上層部で情けない声をだした私は、はやくも自分の運動神経の悪さを恨んだ。


 ダンジョン攻略は初めて…ではない。それなのに、こんな下級魔物に身体中をまとわりつかれている。


 魔蔦は初めに私の手を縛り上げ、次に足にもからまって、身動きがとれなくなった。マズイ。初めに手を狙われたので、武器である銃が使えない。


 焦ってきた私は、方法を考えるが、いい考えが思い浮かばない。。。でもアイツが来る前に何とかしなくては。


「あぁぁ、どうしよう。手だけでも自由にしないと、またバカにされちゃう。」


 今日は、私の通う学園から課された魔石採集のため、このダンジョンに入った。普段から将来は冒険者になると明言している私は、選択課題の中でも難しい、魔石採集を選んだ。


 確か、アイツもそうだったような気がする。。。


 学園とは、12歳から18歳までの貴族の子息と、選ばれた優秀な平民が通う、サザン帝国の教育機関だ。公爵令嬢の私も、最終学年の今まで学んできた。今日の最終課題を提出すれば、ようやく卒業できる。

 

 そして、同じように魔石採集を選んだ同級生達も、このダンジョンに入っているはず。そう、アイツもいるに違いない。


 カツ、カツ、カツと足音が聞こえる。くくっと嘲笑う声まで聞こえてきた。


「おい、アイリス。いい姿だな。また魔蔦に捕まったのか?そんなの、初心者でも捕まらないぞ。」


 嫌なアイツの声が聞こえてきた。こいつには見られたくなかったのに。マズイ。最終学年の私と同じクラスの、いわゆる同級生のレオンハルト。いつも嫌味を言ってきて、口喧嘩が絶えない。魔術に長けていて、成績はいいが、いつも私に悪態をついてくる。


 短く切り上げた黒髪。耳には瞳の色と同じ、滾るように赤いピアスをつけている。整った顔立ちをしているが、残念なことに口と態度が悪い。そしてちょっぴり変態だと思う。


 そんな奴でも、サザン帝国の第7皇子である。同級生として接しているから、つい忘れてしまうけど。


「レオン、嫌味なこと言わないで、魔蔦の動きを止めて。止めてくれさえすれば、後は自分で何とかするから。」


「そんな余裕あるのか?前のダンジョンでも俺が魔蔦の根っこを抜いたのに、お前、外せなかっただろ。ホレ、お願いしてみろ。レオンハルト様、魔蔦から助けてください、か弱き私を救ってください、ってな!」


 この皇子、魔力増大なのをいいことに、いつも私をからかってくる。私の魔力は少ない。そして使うのが上手ではない。スピードもないし、ようするに私は弱いのだ。


「いいから、動きを止めてちょうだい。この魔蔦、なんかぞわぞわして気持ち悪いの。」


 マズイ。魔蔦の動きが怪しくなり始めてきた。なんていうか、こう。。。胸を撫でられるように動きはじめた感じがする。魔蔦は、私の持つ妖力が好きらしい。


 妖力、あまり知られていないが、一般的には無駄な力と言われている。


 魔術を使うための魔力に比べて、妖力とはいわゆる「おまじない」のようなもの。例えば魔術を使えば、人の頭髪をすべて無くしてツルッパゲにできるが、妖力は1円ハゲしかつくれない。


 妖力そのものは、あまり役に立つ力ではない。・・・ちょっぴり復讐はできるけど。


 そんな普段は役に立たない妖力を、私は持っている。ついでに私は魔力も持っている。二つの力を同時に持つ人間は珍しいが、私自身の攻撃力は小さい。魔術を得意とするレオンと比べたら、赤ちゃんレベルである。


「レオン、この蔦をすぐに止めてくれないと、朝起きた時に鼻毛が伸びて、ボーボーになるように祈るわよ。私の妖力、知ってるでしょ。」


「お前、地味に嫌なことに妖力を使うよな。。。まぁ、それが妖力か。仕方ない。ちょっと待ってろよ。鼻毛はやめてくれ。あと、お礼は今履いているパンツでいい。」


 レオンはそう言うと、彼の持つ二重鞭をしならせ、魔蔦の根本の部分をそれで叩いた。


 パチン、と魔蔦の根本に当たると、魔蔦はその動きを止めた。


 相変わらず、鞭の使い方が上手い。彼は、魔術を二重鞭に流して、攻撃をするタイプだ。余計な一言がなければ、顔の作りはいいし、上背もある。密に女子生徒に人気があるのは、知っている。


 魔蔦の動きが止まった。あとは私の魔力で、この魔蔦を焼けばいい。魔法陣を形成して、呪文を口ずさむ。私は魔術を使うことが苦手だから、レオンのように無詠唱では使えない。


 でも、手が使えない以上、面倒でも初歩的な火炎魔法を自分に絡まっている蔦にかける。とにかく、すぐに手だけは自由にしたい。


『ファイア!』


 ボッと魔炎が私の腕を包むが、やはりコントロールが難しかった。腕と手に絡まる魔蔦を焼いたが、自分の手と腕も軽く火傷してしまった。


「イテテ・・・、火傷になったかな。」


 蔦の絡まっていた後が、赤くなっている。


「ちょ、お前、なに自分にファイアしているんだよ、火傷するだろう。ほんとアホだなぁ。」


「アホって言わないでよ。手が使えないと、これしか思いつかないんだから。ああ、でも手が使えるから、もう大丈夫。これでも私、最近また妖銃アレンで新しい技を開発したのよ!」


 自由になった手で、腰に下げていた漆黒の妖銃アレンを持ち、魔蔦を焼き切るために1発、根本にドン、と打ち込む。


 妖銃アレンから発射するのは、今回は銃弾ではない。妖力と魔力をあわせた白い煙が、私の身体を包む。魔蔦だけを焼く、妖魔煙だ。

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