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裏社会の人
私たちが話していると、そこにシャインが来た。
彼も日本人で、本名を翔吾という。
気さくな男で、年は30だ。
シャインは、明るそうだが、どこか浮かない顔をしていた。そうなると人間、気になって仕方なくなるものだ。
「どうしたん?翔吾」
ビールが回った勢いでスティーブンが聞いた。
「ダチが昨晩刺された」
そんな話は、その頃は、すすきののクラブピープルの間では珍しくなかった。
私もバタフライナイフをカバンに持ち歩いていた。
「どうも、あっち系の人と揉めたらしい」シャインは、頬に指を縦に滑らせた。
「ヤミ金の片棒をかついでいたらしいんだな、これが…」
なんだか少し、暗い気分になった。
我々半グレは基本裏社会の人とは絡まないのが暗黙の了解となっていた。それはトラブルを防ぐためでもあるし、彼らに敬意を持っていたからだ。
我々半分しかぐれていないようなヤワとは違う、覚悟を持っている人達に我々は少し、敬意を持っていた。
我々は、なんだか気分が暗くなったし、明け方になっていたので、クラブから帰ることにした。
※この作品はフィクションです。