表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/34

第6話 邪龍暴走・オーバードライブ

 「邪龍……暴走!」

 「……オーバードライブ!」


 ドラゴンファイターがドラゴンバックルの左レバーをもう一度強く引く。

 アリスが勇者の職位ロール、全ての能力スキルと一体化する。

 アンリミテッドを超える強烈な魔力の激流が、2人の全身を襲う。凄まじい力と引き換えに、2人の体にかかる苦痛はあまりにも大きい。

 そう、それこそ地獄のように。


 「ぐっ……!」

 

 ドラゴンファイターの胸の装甲が開き、封印されていた力の根源である赤い竜玉が露出する。頭の2本の角が裂けるようにして6本に増える。背中の2枚の翼も開くようにして6枚に増える。

 枷は完全になくなった。ドラゴンファイターは完全に邪龍の力と一体になる。

 

 禁断の邪龍戦士、ドラゴンファイター・オーバードライブである。  


 「くううう……!」


 アリスの全身を覆う青いオーラが力を増し、ピンク色の炎のようなオーラに変わる。

 『勇者の職位ロールを持つアリス』から『アリスに宿った勇者という職位ロール』に存在が置き換わり、アリスは勇者に『憑依』される。


 勇者の最終手段、オーバードライブだ。


 「ドラゴンヘッドブレード! ……行くぞ、アリス!」

 「うん、ハヤト!」


 ドラゴンファイターの右手に、ドラゴンの頭をかたどった斧みたいな剣、ドラゴンヘッドブレードが出現。

 全てを圧倒する力を手に入れた2人が放つ気迫に、7体のディアボロスたちも気圧される。 


 「な、なんだこの凄まじい力は……!」

 「こ、これが……邪龍と勇者の奥の手だというのか……!」

 「お、落ち着け! それでもやつらはボロボロだ!」

 「そうだ、これくらいすぐに勝てる!」


 ディアボロスたちも落ち着きを取り戻し、重力魔法で2人を押し潰そうとする。だが、オーバードライブの力を手にしたドラゴンファイターと勇者アリスは重力魔法の中を悠然と歩き、ディアボロスたちに迫る。


 「ドラゴンスラッシュ!」

 「稲妻斬り!」


 まずは2体、ディアボロスが紙きれのように切り裂かれる。

 

 「ひいいいいいい!」

 「く、来るな……うわああああ!」


 3体……4体……斬り倒される。残り3体。


 「ドラゴンダークネスハンド!」

 「ぐ! は、放せ!」

 「う、動けない!」


 ドラゴンファイターが召喚した巨大な龍の手が、残り3体のディアボロスをまとめて掴み、完全に動きを封じ込める、


 「今だ、アリス!」

 「閃光斬り!」


 アリスの勇者の剣から光の刃が、大きく、長く伸びる。

 龍の手に動きを封じられた3体のディアボロスをまとめて一刀両断する。


 「お、おのれ……こしゃくな人間に……失敗作め……!」


 最後に残った力で恨み言を呟き、全てのディアボロスは倒れた。

 王都を滅ぼそうとした魔王軍は壊滅し、王都は救われたのである。


 「や……やったか?」

 「やったぞ! 王都は守られたんだ! 邪龍と勇者様によって!」


 結界の中から戦っていた兵士たちの間からも大きな歓声が上がる。


 「邪龍封印……がはっ!」

 「解除……ぐはっ!」


 周囲がざわめく中、ドラゴンファイターはドラゴンバックルの左右のレバーを押し込み、邪龍の力を封印してハヤトの姿に戻る。アリスも、全身に纏っていたオーラを解除する。

 そして2人は、口から血を吐いて、地面に倒れてしまった。


 「ごほっ! ごほっ! ……おかえり、アリス」

 「……おかえり、ハヤト」


 アンリミテッド、オーバードライブは凄まじい力と引き換えに、反動で使用者に精神的・肉体的なダメージを与える。これまでにも数回、このような無茶をしてきたアリスとハヤトの2人でも、未だになれない。


 結界はいつの間にか消えてしまったようだ。

 街を守り、代償として動けなくなってしまった2人に、兵士たちが駆け寄ってくる。

 もう大丈夫だろう、あとのことは兵士たちに任せればいい。疲労困憊のハヤトとアリスが目を閉じようとしたその時だった。

 

 「いたぞ! アリスちゃんをたぶらかす卑劣漢め!」

 「死ね、邪龍!」

 

 ハヤトの体が、槍と剣に貫かれる。


 アリスの後を追って、南の山から帰ってきた雷鳴槍のボルトと、獣戦士のカマスだ。

 2人の『勇者の仲間』によって、王都を守ったはずのハヤトは、殺されようとしていた。 

しくじり1 兵士たちの目の前で、街を救った英雄を殺そうとした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ