第4話 邪龍解放
「ドラゴンストーム!」
ドラゴンヘッドキャノンから放たれた、巨大な闇の魔力の渦が迫りくるデーモンたちを飲み込み、一掃する。ドラゴンファイターは王都の上空を飛び回りながら、空を黒く覆い、結界を破って攻め入ろうとするデーモンたちを駆逐していく。だが、数が多すぎて追いつかない。
「うわっ! ……なんのこれしき!」
当然、デーモンたちも炎魔法や闇魔法で応戦してくる。多勢に無勢、ドラゴンファイター1人ではデーモンの大群を相手にするのは難しい。それでも負けじと、ドラゴンファイターは反撃を続ける。
地上では、王都を守る守備隊が結界の内側から弓矢でデーモンたちと戦っている。ドラゴンファイターの超感覚で見たところ、幸い犠牲者は出ていない。だが、このまま戦いが長引いて、結界が破壊されてしまったら……
「くそっ! アリスたちはまだか!」
看守たちの話から、アリスは王国が用意した高等職位の仲間たちと共に南の山へ向かったことはわかっていた。つまり、南の山の魔王軍は勇者たちを引き付けておくための囮だ。
勇者たちが南の山の魔物をなんとか倒した後、帰ってくると王都は壊滅していた。これが魔物たちの思い描いた作戦だろう。
「……なかなかえぐいことを思いつきやがる」
毒づきながら、ドラゴンファイターは上昇して、デーモンたちの真上から攻撃を行う。
それでも、やはり数は減らない。次から次に新手が出て来る。
どうしたものかと、ドラゴンファイターが考えあぐねていた時、複数の強烈な殺気が高速で襲い掛かってきた。ドラゴンファイターはとっさに身を翻す。
「よく今の攻撃を避けやがったな、ええ?」
「まあ、一応は邪龍だしな」
「それでも人間なんだろ? 大したことないって」
挑発するような口調で、ドラゴンファイターに話しかける3体のデーモン……いや、違う、デーモンの上位種、ボスクラスの魔物・ディアボロスだ。
「あんたらがここのボスか?」
ドラゴンファイターは尋ねる。今まで何体かアリスと2人でボスクラスの魔物を相手に戦ってきたが、1人で戦うのは今回が初めてだ。しかも相手は3体。数的にも不利だ。心細いというか、恐怖で押し潰されそうになる。
「そんなところだ。そして、テメエには死んでもらう!」
「ぐわっ!」
1体のディアボロスの強烈な拳による一撃。今度はよけきれず、ドラゴンファイターは落下。結界の上で何回かバウンドして、王都の外の地面の上に叩きつけられてしまう。
「くそ、やるな……!」
起き上がるドラゴンファイターの前には、余裕の表情を浮かべる3体のディアボロスたちが笑いながらゆっくりと降りてくる。
このままでは勝てない。守れない。
危険でも、多少無理をする必要がある。
ドラゴンファイターは、覚悟を決めた。
「邪龍解放!」
ドラゴンバックルの上部ロックをスライドさせて解除。
一瞬ためらいつつも、左のレバーを引っ張った。
ドラゴンバックルの龍の口が開き、ドラゴンファイターの力を抑制する銀色の装甲がはじけ飛ぶ。ドラゴンファイターの兜の2本の角が伸び、背中には2枚の龍の翼が生える。
全身を黒と紫の邪龍の姿をかたどった鎧で覆った戦士。暴走の危険がある邪龍の力を解放した切り札――これが、邪龍戦士の真の姿、ドラゴンファイター・アンリミテッドである。
「ほう、それがテメエの本気か?」
「……そんなところだ。1回仕切りなおす。ドラゴンファイト!」
真の姿を現したドラゴンファイターと、ボスクラスの魔物、ディアボロスたちとの戦いが始まる。