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第31話 それぞれの行き先

 「さて、勇者パーティーを追いかけるって言うけど、彼女たちの行き先はわかるの?」

 「西の港町だ。魔王軍の艦隊が集結している最前線に向かうらしい」

 

 リリナが出発の準備をする中、ゴンベエはこれからの行き先について話す。


 「それで、勇者パーティーを追いかけてどうするの? 一緒に戦うの?」

 「いや、勇者とは一緒に行動はしない……おそらく今回も、別の何かが動く……違うか?」

 

 ゴンベエが振り返る。

 ゴンベエが視線を向けた先には、いつの間にか謎の少女――黒いワンピースを着た、10歳くらいの女の子が立っていた。


 「……ん? そこに誰かいるの?」

 「リリナには見えていないのか?」


 不思議なことに、謎の少女の姿はゴンベエにしか見えていないらしい。

 謎の少女はゴンベエに向かって話しだす。


 「気を付けて……魔王軍は挟み撃ちをしてくる……」

 「魔王軍は艦隊を差し向けていると聞いた。反対側から攻めてくるということか」

 「そう……だから勇者たちにはついて行かない方が良い……確か近くに村があったはず」

 「そこに陣取ればいいのか?」


 ゴンベエにしか見えない謎の少女は何も言わずに姿を消した。


 「ゴンベエ、何だったの? 幽霊か何かいたの?」

 「わからない……とりあえず、予定変更だ」

 「えっ、なに?」

 「西の港町の近くに村があるはずだ……えーっと……」

 「ここじゃない? 西の港町に続く街道に隣接している山村」


 リリナが地図を広げて村の場所を指し示す。


 「ここか……」

 「なんだかよくわからないけど、ここに行くのね。ふーん、おもしろそうじゃない」


 ゴンベエたちの行き先は決まった。




 「ボルトさーん」

 「アリスちゃーん」


 雷鳴槍のボルトと勇者アリスは人目もはばからずいちゃついている。


 「2人とも、休暇は終わりだ。真面目に話を聞いてくれ」


 聖騎士のレオナルド王子はボルトとアリスを注意する。

 勇者パーティーはこれから大きな戦いに――西の港町に集結した魔王軍の艦隊との戦いに赴くのだ。十分な休暇を取った後は、気を引き締めなければならない。


 「我々はこれから西の港町に向かい、魔王軍の艦隊を殲滅する。今回は敵の数も膨大なため、国の水軍も総力を挙げて支援してくれる。作戦の詳細は現地で説明するが、我々は敵の指揮官を叩く」


 カインドック王国の水軍が魔王軍の艦隊の相手をしている間に、アリス達勇者パーティーが艦隊を指揮する魔物を叩く。魔王軍の艦隊を操作するのは知能の低い魔物ばかりなので、敵の頭さえ倒してしまえばあとは何とかなるという考えだ。


 「みんな、今回の戦いは、これからの魔王軍との戦い全体の趨勢(すうせい)を決めるものになるだろう。我々一人一人の動きに、全世界の命運がかかっている。諸君らの健闘を期待する」


 レオナルド王子は勇者パーティーの士気を高めようとする。

 しかし、このパーティーは野望や欲望で歪み切っている……


 果たして、強い違和感のあるこのパーティーで魔王軍の艦隊を討てるのか?


 重装戦車のゴーシュは強い不安を感じていた。

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