表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/34

第2話 南の山

 勇者アリスとレオナルドら勇者の仲間たちは合流した。半年間苦楽を共にした相棒・邪龍戦士ドラゴンファイターのハヤトと無理やり別れさせられ、アリスは落ち込んでいた。そんなアリスを、雷鳴槍のボルトや聖術師のティナが優しく励まし、どうにか元気を取り戻した。


 「ありがとうございます、ボルトさん、ティナさん。僕、頑張ります! 戦えないハヤトのためにも!」


 アリスとレオナルドたちが合流した次の日、早速彼らは南の山へ向かった。目的はここを拠点にカインドック王国を攻め滅ぼそうとする、魔王軍の一団を倒すためだ。この南の山には、10個の頭を持つというテン・サーペントというボスクラスの巨大な蛇の魔物がいるといわれている。


 「テン・サーペント率いる魔王軍は大きな蛇の魔物が多い。これまでにも何人もの兵士や冒険者、旅人が犠牲になっている。十分気を付けるんだ」


 翌朝。

 聖騎士のレオナルドが注意を呼びかける中、アリスたちは南の山に入った。木の影や茂みの中から飛び出してくる蛇の魔物を、アリスたちはそれぞれの職位ロール能力スキルを存分に発揮して退ける。


 「ふん! 俺たち高等職位ハイロールにかかれば楽勝だぜ!」


 カマスの余裕ぶった発言に見られるように、彼らは順調だった。並みいる魔物たちを退け、日が傾き始めた頃、アリスたちは南の山の最深部に到達する。


 「よくぞここまで来たな、勇者ども……」

 「いいだろう……わしらが相手をしてやる」

 「行くぞ!」


 最深部で待ち構えるテン・サーペントとの戦い。毒霧を吐き、長い巨体でアリスたちを絞め殺そうとするテン・サーペントを前に、アリスたちは連携してこれを追い詰めていった。しかし、アリスたちの消耗も激しい。なんとか5つの頭を切り落としたが、魔力は尽きかけて、疲労もピークに達していた。


 「こうなったら……アンリミテッド!」

 

 アリスは切り札を使うことにした。ハヤトとの旅の中で編み出した、ドラゴンファイターを真似た力・アンリミテッド。勇者の能力スキルを限界まで高め、体への強い負担と引き換えに凄まじい力を得る、まさに切り札だ。


 「うおおおおおお!」


 アリスの全身が青いオーラに包まれる。


 「火炎斬り!」


 アンリミテッドで解放された勇者の能力スキルは強力だった。目にも止まらぬスピードとこれまでの倍以上のパワーを発揮し、テン・サーペントの残り5つの首をまとめて斬り落とした。


 「さ、さすがだな……勇者……」


 最後に切り落とされた頭が、残りの力を振り絞って声を出す。


 「僕らの勝ちだ、テン・サーペント……」

 「そのようだな……だが、役目は果たした……」

 「なに?」

 「わしらは囮だ……本隊は……デーモンたちは王都へと向かった……数は5000体……もう王都は壊滅状態だろう……わしら、魔王軍の勝ちだ……」


 そう言い残し、テン・サーペントは息絶えた。しかしテン・サーペントの残した言葉に、アリスたちの間に戦慄が走る。


 「そんな、王都が……ハヤト……!」

 「ちょっと、アリスちゃん! どこへいくの?」


 聖術師のティナの問いかけを無視し、アリスは一人、高速移動で元来た道を引き返した。

 目指すは王都。デーモンの群れの襲撃を受けている街を守るために戦っているであろう相棒を助けるため……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ