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第25話 封印を解く

 休暇2日目。

 早朝。

 五色魔導士のエイミィと獣戦士のカマスは街のはずれ、火山に来ていた。


 「おい、エイミィ、こんなところまできて何を企んでいる?」

 「知らないのかい、カマスくん? この火山には炎の魔神が封印されていると言われているんだ」


 炎の魔神。

 それは先代勇者の手によって封印された、強力な魔物だ。先代勇者がレベルが低かった頃、強すぎて倒すことができず封印するしかなかった魔物だ。


 「おい……まさか、そんなまずいのを解き放つ気じゃないだろうな?」

 「そのまさかだよ。経済都市の魔化人は全部なくなっちゃったからねえ。ここで新しく補充しなきゃいけないのさ」


 魔物化した人間――魔化人同士を戦わせるという非人道的かつ違法な行為が行われていた、北の経済都市の地下違法闘技場はドラゴンファイターレッドの活躍によって暴かれた。無理やり戦わされていた魔化人は、ドラゴンファイターレッドの手によってすべて元の人間の姿に戻された。

 だが、違法闘技場が根本的なくなったわけではない。

 魔化人同士を戦わせる違法闘技場はまだ、他の都市に存在している。


 「おいおい、人さらいをするのなら、そんな化け物解き放つんじゃなくてもっとこっそりと――」

 「わかってないね、カマスくん。大きな混乱が起きれば、それだけ人がいなくなってもわからなくなるんだよ。それに、」


 エイミィは欲の深さを感じる、不気味な笑みを浮かべる。


 「そっちのほうが、良いモノが見つかるからねえ……」


 


 炎の魔神が封印されているのは、火山の洞窟の最深部、立ち入り禁止区域内の祠だ。

 エイミィとカマスは、経済都市の地下違法闘技場で手に入れた認識阻害魔法のかかった仮面をかぶり、火山の洞窟の最深部に潜入する。

 

 「なかなか厳重だね。でも……」


 炎の魔神が封印されている祠の近辺は厳重な魔法結界が貼られており、普通の人間には侵入できない。しかし、五色魔導士の高等職位(ハイロール)を持つエイミィには簡単に解除できるものだった。


 「ここを、こうして……よし、解除」


 エイミィは慣れたような手つきで結界を解除し、炎の魔神が封印されている祠に近づく。


 「じゃあ、カマスくん、一思いにやっちゃって」

 「……了解」


 カマスは斧を大きく振り回し、封印の祠に叩きつけた。獣戦士の馬鹿力で、祠は積み木のお城のように簡単に崩れ落ちた。

 直後、火山が大きく揺れ始める。


 「おい、エイミィ……」

 「来たねえ……一旦逃げるよ。さあ、人間狩りの始まりだ!」

 

 祠があった場所から火柱が上がる。

 そしてそこから、かつて封印された炎の魔神が目覚める。

 平和な火山と温泉の街に、危機が迫ろうとしていた。

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