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第13話 下水道のゴブリン

 翌日


 勇者アリスたち、勇者パーティーは行動を開始した。

 情報収集が得意な電光石火のゲイルを先頭に、アリスたちは経済都市の東部に向かう。そこで2人1組になって、この街に隠れていると思われる魔王軍の探索を行うのだ。


 「アリスちゃーん! 俺と一緒に――」

 「ゴーシュさん、スナイトさん、どちらか僕と組んでいただけませんか?」


 女好きな、雷鳴槍のボルトがアリスと組もうとするが、アリスはそれを無視し、ゴーシュとスナイトに声をかける。


 「あ、はい、いいです――いいえ! ボルトさん何でもないですから睨まないでください……」

 「はあ……私が組みましょう、アリス殿」


 スナイトはボルトの睨みつけるような視線にびびって身を引いてしまう。代わりにゴーシュがアリスと組むことになった。


 「……」


 ボルトの睨みに屈することなく、アリスと組むゴーシュ。

 ボルトはそのゴーシュをずっとにらみ続けていた。




 女好きのボルトは、容姿端麗、いわゆるイケメンである。

 これまで狙った女性は、すべて自分の虜にしてきた。

 そんなボルトが、新たに狙ったのが、アリスだった。

 王都に向かう道すがら、各地で活躍するアリスの似顔絵を新聞で見かけ、ひとめぼれしたのだ。


 このアリスを自分の虜にしたい――


 だが、そのアリスの隣には、邪魔なドラゴンファイター――ハヤトがいた。

 アリスを狙うボルトにとって、ハヤトは邪魔だった。

 だから、消そうとした。そして、実際にハヤトの処刑は達成された。

 これでアリスは自分になびくだろう……ボルトは甘かった。

 

 ハヤトを失ったアリスは、死んだハヤトに余計に執着するようになった。

 ボルトたち『勇者の仲間』たちには心を閉ざしてしまった。


 なぜだ……!


 ボルトは何もわかっていない……



 

 「みんな、見つけたぞ!」

 「こっちっス!」


 ゲイルと聖騎士のレオナルド王子の2人が、怪しげな地下への入り口を発見した。

 アリスたちは一列になって石造りの階段を下っていく。

 

 「臭いわね……」

 「我慢してください、ティナさん」


 階段は地下下水道につながっていた。ゲイルの先導で下水道をまっすぐ進むと、壁が崩れているところがあった。


 「ここで、間違いないみたいですね……!」


 魔法剣士のジャスティンが剣を抜き、そっと壁が崩れている個所を確認する。

 そこにはたくさんの小型の魔物――ゴブリンがいた。

 ゴブリン達は下水道の壁を削って広い穴を作り、拠点を作っていた。内部には奪われたと思われる金貨、銀貨、そして殺されたと思わる人々の骨が散乱していた。


 「ギシャアアアアアアアア!」


 発見されたゴブリン達は一斉に襲い掛かってくるが、返り討ちに合い、アリスたちによって切り伏せられる。


 「みなさん……行きますよ」


 アリスは冷たい目で、ゴブリン達をにらみつけた。

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