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頭などお飾りに過ぎない!!

これからチュートリアル、その前に波乱の予感


ドサッ...


「いっつ...ん、ここは、どこだ?」


 気がつくと、家具もドアもなく、ただ石壁と石で敷きつめられた床によって作られた物寂しい部屋のような場所に俺は尻もちをついていた。

 明かりも油が切れそうなのか、仄かに灯るランプが僅かに照らす程度で全体をはっきりと見る事はできない。それもあってか、どことなく薄暗く、気味の悪い場所に思える。


「へ、へっくしょん!うう、さ、寒い。」


 そう、それに寒いのだ。体感的には12月半ばぐらいの寒さである。

 まぁ、こんな石だらけの部屋では保温も何もなさそうだが...


「うう...さて、ここは一体、どこなんだろ?」


 事前に調べた情報では全ての新規プレイヤーは世界にインする前に『アバター』、いわゆる自分の分身を作るための専用の場所から始まるらしいが、そこはこんな石だらけの部屋ではなく、草花が咲き誇り、心地よい風が吹く草原のような場所だと書いてあったはずだ。

 なのに、一体これはどういうことだ...?


 俺がそんなことを考えていると天井から何かが這いずるような音が...


ガタン!


「だ、誰だ!?」


『やぁやぁやぁ!ようこそ我が眷属よ!ここエネミー...ふぎゃ!』ビタン!!


 いきなり天井から颯爽と現れたと思ったら足を滑らせたのか大きな音を立てて盛大に転んだ。


 はっ!いきなりのことすぎて考えること放棄してた、取り敢えず状況確認っと...

 見た目...まぁうつ伏せに転んでるから後ろ姿しか見えんが、体格はまぁ女性らしさを残してるけど筋肉がついててまるでスポーツ選手のようだ。

 それに髪の毛の色が赤、それも真紅の色。まるで戦場を染める残忍さと悲しみを表しているようだ...っと、他には?


「ん、これは翼と尻尾か?」


そう、背中の付け根辺りからは翼が、腰辺りからは尻尾が生えており、それらは悪魔についてるようなギザギザ翼のようで、尻尾も先っぽが尖っている。

たまにピクピクと動いてるあたり着けものでもないようだ。

極めつけは頭に猫のように角が生えていて、人間の耳の位置になにもないためもう人間でないことは確かだ。多分【魔物】の種族だろう。

それに...眷属?エネミー?色々と気になることを叫んでいたがまずは起こそうか。


「えっと、大丈夫ですか?立てます?」


すぴー、すぴー


な、この人寝てる?!走って転んで寝るとか豪胆というか、マイペースというか...

それに、なんか心配損みたいですこしムカつく

なにか、なにかしてやれないだろうか...あっ。


ぷにゅ、ぷにゅ


「ん...」


や、柔らかい...お、それに手応えあり。それ、もう一度。


「うにゅ...ん...」


 おお!感触としては猫の肉球みたいな感じだろうか、弾力のある柔らかさだ。

 やべ、なんか癖になってきた、早く起こさねえと魔性の尻尾の虜にされる...いい加減に起きろ!


ぷにゅぷにゅぷにゅぷにゅぷにゅーー!


「うがぁ!!」


うぉ!


ズガン!!!!


「あ、危なかった。」


 危機一髪だった、頭吹き飛ぶと思った。

 いきなり起き上がってこっち向いたと思ったらぶん殴ってきやがった。咄嗟に避けたからいいけど空振りした拳はそのまま壁に当たって石壁を粉々に吹き飛ばした

一瞬走馬灯が見えたような気がした、VRなのに...

 その吹き飛ばした本人を見てみると...すごい肩震えさしながらこちらを睨んでいた。

 そういや、はっきりと顔みてなかったなーって思って見てみると案外童顔っぽく、癒しキャラみたいだ、身長も150辺りと低く、癒し系のオーラを引き出している。

 まぁ、その癒しの顔もオーラも怒りの色で染まっているのだが...

 あー、やりすぎたなーって思いながら見てるとなにか考えついたのか顔全体をニヤリと歪ませた。


 なんか嫌な予感...

 逃げようと思っても全てが石壁で囲まれていて隠れるところがない。

 あ、さっき吹き飛んだ石壁からなら!急いで確認してみるとそこには何も無かった。ただただ暗闇が広がるだけで命も空気もないように感じた。


『さて、気は済んだか?小僧...』


 すぐ背後から先程の悪魔っ娘?の声がした。

 その声は厚みを持っていてこちらを威圧するような声だ、まあそりゃ当然だが。

 これは言い訳を言い訳をしなければ!まだINしたばかりで死にたくない!


「つい、つい魔が差して触ってしまったのです!あまりにもあなたの尻尾が魅力的だったから...」


 と、率直な感想を言ってみたが、どうだ?


 恐る恐る顔を上げて見てみると意外に好反応だったのか悪魔っ娘はすこし顔を赤らめて俯いていた。


 ふぅ、これで、殴られずに済みそうかなーっと思いながら楽観的に見ていると。


『・・それとこれとはまた別の話だ』


 と、悪魔っ娘の姿がいきなり掻き消えて、頭に衝撃が走ったと思ったら、俺の視界は暗転した...


 この日、俺は人生で初めて頭を失った...


今回でタイトル通り頭がめでたくなくなりました!(狂喜)


以降もチュートリアルが続きます!

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