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MAKE A FRIEND  作者:  
仲直り大作戦
36/37

人の意志なんて関係ない


-数日後


...金崎と仲良くなる


なんて目標を掲げたのは良いが、実際には何をすればいいのか、どうすればいいのか、わからない。

というより、今日も学校にすら来ていない。

これで三日連続の欠席だ。

人間関係の問題よりも、進学の方が問題なのでは?と思う。

金崎が学校に来ない以上、俺に出来ることはない...


「...はぁ。」


自然とため息がこぼれる。


「楓馬くん、何か意見でもありますか?」


ため息をついた俺に委員長が聞いてくる。

...しまった。

今はHR中で、『体育祭』のメンバー決めを行っているのだった。

金崎の対処について考え込んでいて、すっかり忘れていた。


「...い、いや、何にもないです。」


今年の体育祭では、男子と女子によって競技種目が異なる。去年は一緒だったとか...

男子は、サッカーとバスケ。

女子は、ソフトボールとバレーボールだ。

もちろん共通競技もあり、組対抗リレー、クラス対抗大繩が行われる。

体育祭は、三日間行われ、各組でチームを組み戦う。文化祭と同様、もしくはそれ以上に盛り上がるそうだ。

...なぜなら、優勝した組には賞金が与えられるからだ。

みんな、本気になって戦うそうだ。お金がかかっているのだから当たり前といえば、当たり前だ。

そんでもって、、今こうして真面目にメンバー選びをしている最中なのだ。


...勝てそうだな、意外と


クラスを見渡すと、いかにも馬鹿そうなのしかいない...実際に俺たちのクラスの平均点は最下位なのだが。

その代りに運動が出来る奴は集まっていた。それに、女子もそれなりに運動ができそうな人が結構の数がいる。


...馬鹿が多いが。


-イケイケ男子を中心に話し合いが進む


委員長とイケイケ男子を中心とした女子が次々にメンバー構成をしていく。

ちなみにイケイケ男子の名前は久代クシロ 弘大コウダイだそうだ。


...今知った。


気が付くと俺と琴音はサッカーに登録され、龍と雄大、叶はバスケに登録されていた。


...おいおい、人の意志は無視ですか?

俺にも一応、人権があるのだけどなぁ。

まぁ、どっちの競技でも構わないのだが。


女子の方は...

山吹と有栖、金崎がソフトボールに登録され、橋本と須藤はバレーボールに登録されていた。


...橋本と須藤が一緒ではないのが痛いが、山吹と金崎、それに有栖も一緒なのは救われたな。


それから各チームに別れ、キャプテンや細かいことを話し合うことになった。

俺たちのサッカーチームは、ちょっとイケメンな佐々ササキ ショウが務めることになった。

その佐々木を中心に話し合いを進めていくが、授業でサッカーをやったことがないため、一度、練習してから細かいことを決めることになった。


...つまり、どこかで練習するってことか。めんどくさいものだ。

ただでさえ、金崎というめんどくさい問題を抱えているというのに...

これじゃ、暫くは平穏な日々は来ないな。


異常に長く感じたHRが終わり、放課後を迎えた。

今週、俺は教室掃除だった。

同じ班である四人組はせっせと掃除をしている。

手を休めると何を言われるか分からないので、俺も黙って手を動かす。

あっという間に掃除が終わり、部室へ向かおうとした時だった。

廊下で同じ学年の男子とすれ違った。


「...あれ?」


すれ違うと同時に声を掛けられた。

顔を上げ、その声の持ち主の顔を見上げる。

俺は驚愕した。


「...なんで、お前が。」


その男子は俺と同じ中学校で、同じクラスだった奴。

俺を貶め、賢治を自殺に追い込んだ主犯グループの一人...上林カミバヤシ ソラ


「なんでって、俺もこの高校を受けて受かったからいる。それだけだよ。」


...相変わらず、鼻にかかる言い方をする奴だな。


「いやー、それにしても久しぶりだな。」


...うざい。


「そうだな。」


「急に学校に来なくなっちゃうからさ、心配したよ。」


...黙れ。お前に心配なんてされたくない。


「...あ、そう言えば、賢治のことは残念だったな。」


...黙れ。黙れ。黙れ。


「まさか、自殺、するなんてな。」


...殺す。


「...そこまで、思いつめていたなんてな。」


奴の発言、態度に我慢が出来なくなった。まるで、自分は関係のないことのように話す。

何より、賢治の自殺のことを軽く思っていることが許せなかった。

殺したい。今すぐにでも賢治と同じ目に遭わせてやりたい、そう思った。

俺は奴に殴りかかろうとした。


-そのときだった


奴の後ろに賢治がいた。

賢治は首を横に振る。まるで...


『やめてくれ。』


そう言っているようだった。

構えた拳を引っ込めた。

その行動を見て、奴は笑う。


「大切な、大切な友人の仇すら取れないとか...」


奴は俺の襟を掴み、顔を近づけてくる。


「お前がそんなんだから、賢治が自殺したんだ。...賢治を殺したのはお前の弱さだ。お前が賢治を殺したんだ。...覚えておけよ?...お前もいずれ賢治と同じ目に遭わせてやる。」


小声でそう言うと手を離し、去っていった。


「...はぁ。」


...また一つ、面倒な問題が発生したな。

今日は部活に顔を出すのをやめるか。


「...賢治、ありがとう。」


誰もいない廊下に向かって感謝の言葉を吐いた。


...本当に人の意志なんて関係ないのかよ。

俺にも一応、人権、あるんだけどなぁ。

頼むぜ、神様。







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