それぞれが出した答え
私は有栖とメールをしていた。
どうやら昨日、帰ってきたようだ。
『私、優くんと付き合うことになったの。』
『知っているわ。霧島から聞いたわ。』
霧島さん...?
なぜかは分からないが触れないでおこう。
『そ、そうなんだ。』
『それで用件は?』
『恋人ってどんな感じに振る舞えばいいのかな?』
『知らないわ。なったことも、いたこともないんだから。嫌味かしら?』
なぜか機嫌が悪い。
『ごめん。そうだよね。』
『そう?』
あ、しまった。
『はぁ、仕方ないわね。アドバイスをあげる。』
『本当に?』
『ええ、相手の好みに合わせて振る舞えば良いのよ。』
『好み?』
『あとは、自分で考えなさい。』
『ありがとう!!』
有栖によると相手の好みに合わせることが良いということだ。
まずは優くんの好みを知ることから始めなければ...
でも、なんて聞けばいいのだろうか?
それすらも分からない。
...あ、そうだ。知っていそうな人がいるじゃんか。
早速、思い当たる人にメールをした。
すると、『妹が好きですよ?』と返ってきた。
妹か...なるほど。
俺は必死に調べていた。
『恋人 すべきこと』
『恋人 何をする』
出てきた答えはどれも一緒だった。デート、サプライズ、キス、ハグ...。
既に俺は三つやってしまっていた。
...残るはサプライズか...
でも、サプライズって何をすればいいんだろうか。近々何かイベントがないのかとカレンダーを確認するも悲しいことにない。
今度は『サプライズ 何をする』と調べる。
なるほど...非日常を味わせることが一番喜ばれるのか。
ネズミランドでも行くか?
でも、いきなりそこはハードルが高い。
俺が悩んでいると母さんが部屋に来ていた。
「ノックしろよっ!!」
「したわよ?」
どうやらサプライズを考えることに夢中になりすぎて気が付かなかったんだろう。
この母親がノックせずに入ってくることはあり得ない。
へー、ふーん、と俺のスマホを見ながら言う。
「ちょっと待ってて。」
そう言うと一階に降りていった。数分すると戻ってきた。
「これあげる。本当は優菜と行く予定だったけど。」
そう言って渡されたのはディナーチケットだった。イタリアン料理フルコースと書かれていた。
「まじ?」
「ええ。そんな高級ではないけどね。」
それでも嬉しかった。これなら非日常を味わうことが出来る。
「ありがとう。」
俺は早速、今週の土曜日会えるかメールした。
そのあと妹について知るために有栖に相談した。
さっきとは打って変わって快く相談に乗ってくれた。そして薦められたアニメ作品を片っ端から見てみた。
いや、今も見ている。
その中でも特に気に入った妹キャラがいた。なんとか先生という題名があれな作品に登場するキャラだ。
もう可愛いを通り越して愛しい。むしろ私が欲しいくらいだ。
私は必死にそのキャラの動画を探しては見て勉強をした。
「お、お兄さん...?」
「こ、こっちみないで...」
「そ、そんな名前の人知らないっ!」
と鏡の前で練習していた。恥ずかしくて死にそうだったが、優くんに喜ばれると思うと何とか心を保つことが出来た。
一通り練習を終えると携帯を開く。するとメール来ていた。
『今週の土曜日あえる?』
優くんからだった。
『もちろん、いいよ。』
と送り返す。
早速、会う時に試す。その前にもっと完成度を高めなきゃと思いまた練習に戻る。
メールしてから一時間後くらいに返信が来た。
『もちろん、いいよ。』
これで山吹を連れていくことが出来る。非日常を味わってもらうことが出来る。
その前にコース料理の食べ方を練習しなければ。
今回も読んで頂きありがとうございます。
更新速度がだいぶ遅めですが新作を書いています。
もし興味があれば読んで欲しいと思います。
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