突然のお誘いに驚きを隠せません
一泊二日の合宿が無事終わった。
どうやら女子達もオールしたようで全員目の下にクマが出来ていた。
そしてなぜか山吹と優菜の間に火花が散っていた。
「何かあったのか?」
と有栖に小声で聞く。
「さあ、知らないわ。」と素っ気無い返事が返ってきた。
そうか、と俺はこれ以上追求するのをやめた。
朝食をとり昼前まで休むことになった。俺は昼寝をすることに。
流石にみんな眠たいのか今日は全員が昼寝していた。
少しの休息をとった俺たちは、椿さん、霧島さん、ベアトリスにお礼をして屋敷をあとにする。
有栖は正門の前までお見送りに来ていた。
「楽しかったわ。来てくれてありがとう。また来てちょうだい。」
と何とも有栖らしい挨拶だった。
「俺も楽しかったぜ。ありがとさん。」
「姉貴、また来るっす!」
「おらも来る。ロリ、巨乳、メガネ熟女!」
「...ありがとう」
琴音、龍、雄大、叶の順に挨拶していく。
「本当にありがとうございましたっ!」
優菜が元気よく挨拶する。
「有栖、色々とありがとうね。楽しかったよ!」
山吹が言う。
そして俺の番が回ってきた。
「有栖、ありがとうな。合宿のお陰で少しだけ二次元に興味を持つことが出来たよ。
今回の合宿で俺は二次元の良さを知った。しかしそれと同時に怖さも知った。
「そう、それなら今回の合宿の目的を果たせたわ。」
え、この合宿に目的なんてあったの?聞いてないよ、俺。
「そ、そうか、それは良かった。」
どんな目的かは知らないが無事に果たすことが出来たらしい。一部員として喜ばしいことだ。
俺たちは最寄りの駅で解散した。
俺と優菜、山吹は同じ方向のため一緒に帰る。同じ電車に乗り同じ駅で降りた。
みんな疲れているのだろう。終始無言だった。
いつもの帰り道。俺たち三人で歩く。そして山吹と別れる十字路だ。
一日と半日を一緒に過ごしたせいか別れるのが寂しい。
「じゃ、私はこっちだから。」
と少し寂しそうに手を振る。
「ああ、じゃあな、気を付けろよ。」
と俺は見送る。こんなとき気の利いた言葉をかけてやれたら良いのに。不器用な俺を恨む。
「それじゃあね、山吹さん!」
元気よく振る舞っているつもりだろうが声に覇気がない。
優菜も優菜で相当疲労が溜まっているんだろう。
そして俺たちは家に帰った。
部屋に戻るとメールが届いていた。山吹からだった。
『さっき言えなかったんだけど、もしよかったら来週、一緒に買い物を付き合ってくれないかな?』という内容だった。
彼女からお誘いのメールが来るのは初めてのことだったので驚いた。
女の子に誘われるなんて生まれて初めてのことで嬉しい。同時に女の子と買い物をするのは初めてだ。妹とすらしたことがない。
しかもその相手が山吹となれば、なおさら有頂天だ。
疲労感なんてどこかへ飛んで行ってしまった。俺は、相変わらずちょろいなと実感する。
俺はもちろん『いいよ。』と返信する。
言えなかったな...
私は後悔していた。出来ることならば直接言いたかった。
でも、いまの私では出来ない。まだ、そんな勇気はない。
それに断れるのが恐かった。
それでも気持ちを伝える時は直接、伝えようと誓う。
私は家に着くなり彼にメールを送った。
どんな文面にしようかな、何時ごろにメールをしようかな、など一切考えなかった。
むしろ、そんな余裕がなかった。
彼の近くには強敵がいる。最大のライバルである優菜ちゃんだ。
私と優菜ちゃんは、お互いに楓馬くんのことが好きだ。
それは昨日知った。私が告白したあと、優菜ちゃんも告白した。
私と優菜ちゃんは全力で戦うことを約束した。
だから、迷っている、そんな余裕はない。
彼女はきっと妹っていう立場を利用してくるはず...
「お兄ちゃん、入っていい?」
ちょうど夕食を終えたあとのことだった。
部屋に戻るなり妹が尋ねてきた。
優菜がノックをしてきたということは大事な用件があるのだろう。
「どうした?」
「私を合宿に参加させてくれたから、お礼をしようと思ってさ。」
俺はびっくりした。まさか優菜の口からそんな言葉が飛び出すなんて。
今日はいったいどうなっているんだ。
山吹からは買い物のお誘いを受けるし、妹からはお礼をしたいと言われた。
良いことが起き過ぎて明日にでも死んでしまうのではないかと思う。
「いいよ、そんなお礼なんてよ。兄妹なんだからよ。」
何か起こらせることを言ってしまったのか。
優菜が不機嫌になる。
「兄妹は兄妹でもちのつながってない兄妹だもん!!」
そう言われて一瞬ドキッとしてしまう。
いや、だめだ。たとえ血がつながっていなくても俺たちは兄妹なんだ。
「はいはい。」
と焦りがばれないように適当にながしておく。
「そこ、けっこう大事なんだけどな...」
たしかにな。そこは重要だ。
「それでね、何をお礼したら良いか分からないの。お兄ちゃんの欲しいものとか分かんないし。
だから、来週末、お買い物に行こうよっ!」
お前もかよおおおお!と叫んでやりたい。
断る理由もなく俺は二つ返事で行くことにした。
俺は今日だけで来週の予定二つが決まった。しかも両方とも女の子とのお買い物。
嬉しいが何か恐ろしい。




