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MAKE A FRIEND  作者:  
友人
17/37

合宿??優菜??私のお兄ちゃん!!

「起きろ、馬鹿にぃ!!」

朝から爆音のような声で叫ぶ俺の妹。

俺はお決まりの無視をする。

「久しぶりの登場だぞ!読者に忘れられているよ、きっと。ああ、なんて悲しい私なんでしょう。」

今までシリアスな展開が続いていたからな。

作者はお前を登場させると、きっと一気にギャグシーンに変わるって知っているからだ出さないんだ。

というか、なんだ、その口調は。

「おお、王子さま。貴女は永遠の眠りについてしまったんですね。」

ああ、理解した。

お前がビッチで俺が王子役なのね。

「なら、そのままで構いません。新しい王子さまを探すまでです。」

「って、本当にビッチかよっ!!」

しまった。まんまと策にはまってしまった。

「やっぱり起きていたんだね、お兄ちゃんっ!」

仕方なく起きて学校へ行く仕度をする。ビッチが不思議そうな顔をしていた。

「え、お兄ちゃん夏休みだよ?どしたの。」

「部活だ。」

「あ、なるほど。」

「とういか何でいるんだ?」

「見られても減るもんじゃないしょ?」

「それは男の台詞だろっ!この腐れビッチッ!!」

妹をつまみ出す。すると大泣きで叫ぶ。

「お兄ちゃんがビッチ、ビッチって連呼してくる!!」

「事実でしょ!!あんた今で何人目だと思っているの!!とっかえひっかえするの止めなさい!!」

母の怒号が聞こえる。

「まだ―...」

ビッチの恋事情なんぞ聴きたくもなかったので慌てて扉を閉めた。

兄は悲しいぞ。お前がビッチなんて。こんな妹いやだ。

仕度を終えて一階に降りると妹の姿がなかった。

母親に聞く。

「あれ、あいつは?」

「予備校に通っているわ。あんたと同じ高校に行きたいって言ってたわ。」

勢いよく牛乳を吐き出してしまった。

あんなことはアニメや漫画の中での話だと思っていたが実際に起こり得るんだな。

それにしても不真面目なあいつがねえ。どういった心境なんだ。

「お兄ちゃんはいつも一人で心細いだろうから、私が付いていなきゃって言ってたわ。

だから、あの子、彼氏を作らないらしいわよ。可愛くてモテるのにねえ。どんだけブラコンなのかしらねえ。」

母親が微笑みながら心配することか!?

かなり深刻な話だぞ。それ!

ま、そんなことを思ってくれていたとはな。俺の妹も捨てたもんじゃないな。

ちょろすぎるなと我ながら改めて痛感する。

部室では相変わらず有栖を中心に盛り上がっていた。

俺と山吹は個人活動だ。山吹は読書をしていた。

一方、俺は朝からとんでもなく体力を消費していたため寝ることにした。

「楓馬くん、起きて。」

「そんなんじゃ、起きないわ。」

ばちんっ!

謎の破裂音とともに俺の左頬が急激に熱を帯びる。

俺は打たれたのだと把握するのにおよそ数秒のラグが生じた。なぜなら...

「前より威力が上がってないか?」

「ええ、毎日筋肉トレーニングをしているから。」

有栖が腕の筋肉を見せて自慢してくる。それは立派なものだった。

そこら辺の男子にも負けていない。

「んで、何の用だ?」

というか関たちの姿が見当たらない。

「あれ、関たちは?」

付け加えて聞く。

「龍たちなら準備をするとか言って帰宅した。」

「準備?」

よくぞ聞いてくれたと言わんばかりな表情をする。

凄く嫌な予感がするのだが...

「ああ、夏合宿のなっ!」

「は?合宿?聞いていないぞ。行かないからな。」

即答してやった。

こんな良くわからん部活の合宿なんぞに付き合っている暇はない。時間はあるが。

「夏休みと言えば部活動!部活動と言えば夏合宿!!」

それに追い打ちをかけるように。

「やっぱり無理だよね...無茶言ってごめんね?」

山吹が悲しそうな顔をする。

「いや、別に無理とは...」

だめだ、そんな顔をしないでくれ。卑怯すぎる。

「日程による。」

「今週の金曜日だ。」

は?あと三日後なんですけど。それは流石に厳しいのでは?

「厳しいのは分かっています。でも...」

「ああ、わかったよっ!」

ちょろ過ぎるんだよな...

「ふ、ちょろいな。」

有栖さん、聞こえていますよ。

「と、言うわけ。それじゃ解散。」

え、何の説明もなく解散?

というか、いつからあんたが指揮し始めるようになったんだよっ!

もういない!

「ごめんね、あんなこと言って。ぜんぶ有栖がやれって。そしたら楓馬くんはくるはずって。」

さり気なく友を売ってるよね?

それに演技だってことくらい分かっているわ。

「いいよ、大丈夫。」

鞄を抱きかかえて部室をあとにする。俺はただ寝ていただけだが今日の部活動は終わりだ。

夏合宿か...そう言うのも悪くはないかもな。

「一緒に帰らない?」

俺と山吹は一緒に帰ることになった。

最近よく話すようになったが一緒に帰るのは久しぶりだ。何かとどちらかが早退する場面があったのでな。そんな自虐ネタはさておき俺は合宿の詳細とやらを聞くことにした。

「合宿をするって言っても実際はどこで何をするんだ?」

桁箱から靴を取り出しながら聞く。

「うーん、詳細は聞かされてないけど有栖の家?で合宿するみたいだよ。」

「有栖の家?」

「うん、そうみたい。」

「別荘とか?」

別荘かなにかを所持しているのだろうか。だとしたら有栖はお嬢様ということになる。

思い返してみれば、暴力的ではあるが振る舞いは上品さを感じられた。

言われてみれば納得できる。

「いや、違うみたい。別荘とかじゃなくて普通のお家。」

俺の予想を裏切る答え。

であるなら間違いなく豪邸なんだろう。きっとそうだ。

「豪邸なのかな。」

「どうだろうな。」

歩きながら会話を続ける。

相変わらず山吹は後ろ斜めを歩く。なぜ横を歩かないのか分からない。以前は横に並んで歩いていたというのに。

どうにも落ち着かない様子だ。俺も同じなのだが。

あんな姿を見せられ見せたら誰だってそうなるよな。平然としていられるのは有栖ぐらいだろう。

「暑いな。」

「そうだね。あ、そうだ、アイスでも買っていかない?」

その提案に乗ることにした。だが、帰り道にコンビニがない。

「近くにコンビニある?」

提案したもののコンビニの場所が思いつかないためか、申し訳なさそうに聞いてくる。

「あるけど...」

俺は近くに一軒あるのを知っている。

だが、ここへ行くのは乗り気になれない。なぜなら...

「お兄ちゃん...?」

中学校の制服を纏った妹が立っていた。片手には少女コミック。

少なからず、こうなることは予想できた。コンビニの場所が俺の妹が通う学校の目の前だからだ。

妹に遭遇する可能性は大いにある。

他人のふりをしよう。そう、ぼっちの兄ちゃんがこんなに可愛い美女を連れて歩いているわけなかろう。

そう決めた矢先のことだった。

「お兄ちゃん...?」

俺ではなく山吹が反応してしまった。

いきなり中学生にお兄ちゃんって声を掛けられたら驚くよな。

「あんた誰?」

ええ、まささかの喧嘩腰??

俺の妹こわいよ。山吹も呆気にとられているし。

「おい、お前、初対面の人に使う言葉じゃないだろ。」

兄として見逃せないものがあった。

「だって、むかつくんだもん。ってか、やっぱりお兄ちゃんだったんだね。こんな綺麗な人を連れているから違ったかと思ったよ。ま、でも毎日朝ちゅーしてるから間違えるはずないんだけどね?」

「え...」

言葉が詰まる山吹。本当に?そうなの?とこちらに目で確認を取ってくる。

「んなわけあるかっ!!」

とツッコミを入れたところ店員の咳払いが返ってきた。

自分でもしまったと思った。

他の客に迷惑なのでお店の外に出ることにした。

「それで、お兄ちゃん。こちらはどちら様?」

口調は戻ったが、それでも態度がでかい。やれやれ。

急かされるように山吹が自己紹介をした。

「初めまして、私は楓馬くんの友達の山吹白です。よろしくね、楓馬くんの妹さん?」

語尾が疑問形だったのは...うん、やめておこう。

「ん、よろしく。」

と素っ気無い返事をする。

「お前も名乗れよっ!!」

と俺は拳と共にツッコミを入れる。

いったーい、と後頭部を抑えながら上目遣いでこちらを見てくる。

「悪いな。こいつは優菜。俺の妹だ。」

そう言うと俺の腕に絡みついてくる。

「そうなんです。私は彼、優斗お兄ちゃんの妹なんです。」

なんで、わざわざ下の名前で呼ぶんだ、とツッコミを入れたいところだったが、この後の展開がなんとなく予測できたので堪える。作者も恐らく大変になってしまう。誰も得しない。うん。

「ってか、お兄ちゃんに友達いたの...?」

思い立ったように聞いてくる。

「そりゃ、友達くらいは...いるさ。」

「ふーん、そうなんだ。私は、これから予備校に行かなきゃいけないから行くね。お兄ちゃん、じゃあね。」

そう言うと走っていってしまった。

「なんで俺だけなんだ。」

よくわからないが優菜は山吹に対して敵対心に似たようなものを抱いているらしい。

「行くか。」

「そ、そうだね。」

俺たちは当初の目的『アイスを買う』のためにコンビニへ来たのだが、結局なにも買わずに帰ることになった。自分の妹に遭遇しちょっとした災害をくらってしまうだけだった。

「妹さん、すごく元気なんだね。」

「そんなことない、ただ変な奴なだけだ。」

あれを元気と言い換えたのは山吹の優しさだろう。

間違いなく変な奴だと思っているに違いない。兄である俺でさえ思っているのだから。

でも、そんな奴でも良いところはあったりするんだよな。

「でも、予備校に通っているなんて偉いね。」

そう、あいつは俺の通う高校へ行くために予備校に通っているのだ。

俺の知る限り、あいつの学力は高くない。

言い忘れていたが、俺の通うは高校は一応、進学校で偏差値も六十五とそれなりに高い。

馬鹿そうな登場人物が多いが皆やれば出来る奴らなのだ。

「俺の高校に行きたいってさ。」

「え、じゃ結構頭いいんだね。今年受験?」

「いや、今のままじゃ無理だろうな。そう中学三年生。」

「そっか、なら応援しなきゃだね!」

「ああ。」

俺は素直に応援など出来ない。

間違ってほしくないが、俺は自分の妹が同じ高校に通うことを否定するつもりはない。

でも、兄が通っているからとか言う感情論で自分の将来を決めてほしくないと思う。

しっかりと考えて自分にあった高校を選ぶべきだと思っている。

この話は一度妹にしなければならないなと思った。

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