表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ソシャゲに転生しても俺はなんとかやっています  作者: 山崎ジャスティス
永劫の鏡奪還編
16/75

第1章14部:予感、そして……

 俺の予感は悪い方に的中した。



 スクラーヴェリッターに致命的なダメージを与えるにはいたらず、先ほどよりは少ない黒い物体とともに、体が再構成されていった。


「嘘よ……! あたしの攻撃を受けてぴんぴんしてるなんてありえないわ!」

「そんな……あれ以上の魔法なんて、わたくしにはありませんわ……」

「くっ……攻撃が甘かったか……!」


 仲間たちは呆然とした様子で、スクラーヴェリッターの体が修復され、別の形へと変貌する過程を見つめていた。


 その姿は俺達よりも少し背丈が高いくらいの人型で、足と腕が二本とほぼ人間と変わらない姿をしていた。

 人間と大きく違うのは、黒いジェル状の物体で構成されているのと、頭部が一つ目のコアが埋め込まれている点である。


「巨体ヨリモ、コチラノ方ガ動キヤスイモノダナ」


 スクラーヴェリッターが自分の腕に視線を向けながら呟いた。

 その声色はまるで今まで俺達を試していたかのようだ。


「貴様達モヤルデハナイカ。我ニココマデの傷ヲ負ワセタノダ。称賛ニ価スル。ダガ、ココカラハ全力デ貴様達ヲ屠ル。我ガ血肉トナルノダ。光栄ニ思ウガヨイ」


 スクラーヴェリッターがそういうと、手の形が巨大な爪となり、先ほどよりも鋭く、強烈な殺気がほとばしり、禍々しいものになっていた。


(倒しきれはしなかったが、あの一連の連携を直撃させたんだ。あいつのHPはそこまで多くないはずだ)

「ここがもうひと踏ん張りだ! あいつを倒して全員無事で生還するぞ」


 スクラーヴェリッターが人型となり真の力を開放したところで、俺は仲間に発破をかけた。仲間はそれぞれ頷き、陣形を立て直し、戦闘態勢をとる。


「愚カナ……手短ニ終ワラストシヨウ……」


 スクラーヴェリッターが残像となり、三人に分かれた。

 残像はそれぞれ独立したような動きを持ち、正面・左右から俺に向かって爪を向けてくる。


 ミネルヴァがその動きを察知して、防御へ向かい、盾を構えて俺の前に立った。


「邪魔ヲスルナ……」

「うわぁぁああああ……っ!!」

 ミネルヴァは正面からの攻撃を防いだが、左右からのスクラーヴェリッターの攻撃を防ぎきることができず、挟撃される形となる。


 ミネルヴァの鎧の一部が砕け、体に深々と鋭利な爪の高速な一撃を受けてしまい、その場で跪き剣でかろうじて体を支える。


「すまない……ここまでのようだ……」


 ミネルヴァが俺の方を見ながら、吐血しながら俺に語りかける。


「邪魔者ニ口ヲ与エルベカラズ……」


 三体のスクラーヴェリッターがミネルヴァに爪を向け、射出する準備をする。

 そのときスクラーヴェリッターの一人が火球を受け、影となり消えていく。


「ちょっと! あんた。そこまでする必要ないんじゃないの! あたしが承知しないわよ」

「貴様……何ヲスル」


 スクラーヴェリッターの目がぎょろりと動き、ターゲットがミネルヴァからアガタへと変わる。

 一つ目の瞳孔が見開いていた。


 俺はその隙にスクラーヴェリッターの頭に向けて剣で斬りかかる。

 しかし不意打ちともいえる俺の攻撃はいともたやすく回避された。


「貴様ノ方カラ来テクレルトハナ……小娘ハ次ニトッテヤロウ」


 メリエルが傷ついたミネルヴァを癒そうと、回復魔法を放とうと杖を振る。


「こんなところで倒れてはいけませんのよ!」

「次カラ次ニ邪魔者ガ……」


 スクラーヴェリッターが地面を強く踏むと、メリエルの下から巨大な魔方陣が発生する。黒い物体が勢いよく吹き出すとメリエルを包み込み、十字架に貼り付ける形でメリエルを拘束した。

 

 メリエルが必死にもがいて、拘束を解こうとするがびくともしていない。


「な、なんですのこれ! 離しなさい!」

「貴様ハ最後ニトッテヤロウ。一番苦シイ方法ヲ与エテヤル。絶望ヲ感ジナガラ死ヌノダ」


 スクラーヴェリッターがメリエルの方を見ずに、俺の方に視線を向けながら言うと、俺から距離を取った。


「貴様ニハ確実ナ死ヲ与エル……」


 二体となった分身が両腕をこちらに向け、目が赤く光ると、その鋭利な爪を備えた腕ごと発射した。


 前方と左右から迫る超高速な爪が重なり合う前に、俺は後ろへ退くことで回避した。


凶飛爪クロービットハ貴様ヲ逃ガサン。ドコヘ避ケヨウト無駄ダ」

「危ない! 後ろです!」

「うわぁああああああああああっ!!!」


 ゆーりの叫び声が聞こえた時にすでに遅かった。


 後ろからの高速な爪が俺を切り裂く。無属性のため被ダメージが大きく、凄まじい激痛が走る。


 さらに追撃と言わんばかり、回避したはずの爪が方向を変え俺を縦横無尽に切り裂いた。

 腕に足に腹に胸に、無数の切り傷がつけられ、血が吹き出る。


 最後に胸を爪が通り抜けて、抉られるような痛みを感じた。



 受けたダメージがもはや戦闘不能ではなく、ロスト――死に至るものであると、体が直感的に告げていた。



「ここ……まで……かよ……うっ……」

「マサキ! 返事をしてください……お願いです!」

「ちょっと! マサキ! あんた、ウソでしょ!? ねぇ!!」

「そんな! マサキ……返事をしてくださいませ。どうか返事を!」

「マサキ……本当に、すまない……」


 容赦ない攻撃を受け、全身から大量に出血をしている。俺は仲間の声が遠くなっていくのを感じた。


 目の前が段々と暗くなり、体に力が入らない。


(ちくしょう……これでまた死ぬのかよ……やっぱり倒すなんて無理じゃねえか。こんなクソゲー二度とやんねーよ)


 遠くなっていく意識の中、俺はゲームをする時に発するような諦めの言葉が頭によぎった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ