書かせてもらえませんでした。
この作品は感想を拒否することに抗議するものではありません。
この作品は他者の感想を非難するものでもありません。
とある作品に出会いました。
今までにない視点からの展開に、感嘆し、わくわくしながら読んだわけです。
面白かった! 本当に面白かったのです!
自分の感情を言葉にするのが苦手なので、それ以外に書くべきか言葉が思い浮かばないのですが、とにかくその一言を伝えようと思いました。
あ、ついでだし、他の人の感想も確認しようかなと、覗いてみると、……反応がイマイチでした。
まあ、分からなくもないです。
そういった感想もありでしょう。
しかしっ! 私は称賛を惜しまない!
ここは場の空気など読まずに、「面白かった!」と書かねば、読者の矜持が廃るというものです!
そんなよく分からない使命感を胸に、感想を書くのボタンを叩くと……
――この作品は感想を受け付けていません。
……膝から崩れ落ちた瞬間でした。
面白かった。
その一言が伝えたかったのです。
たった一言しか思い付かないけど、それを伝えたかったのです!
……しかし、感想は受け付けていませんでした。
思ったのと違う感想ばかりだったのでしょう。
実際、私の目から見ると、他の人の感想は先入観や常識から出てくる言葉が多く、物語が描いた登場人物が抱えた感情などをうまく汲み取れていない印象がありました。
などと偉そうに書くのも問題ですね。
作者が何を思って書いたかなど、作者以外に分かる理由もありませんし、それをどう読み取るのかはそれこそ、読者の勝手ですので。
ただ、伝えたい物語が上手く伝わらなかったから、感想はもういいやと、耳を塞がれたのではと思うと、悔しいのです。
面白かった!
……面白かったのです。
それが私一人だけの見解だとしても。
面白かった。
その一言が、書かせてもらえませんでした。