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第26話 厨二な魔法の覚え方

「くくくく…… ふはははは……! はーっはっはっは!!」


 突き抜ける青空。爽やかな風。白い雲。

 そして轟き渡る三段笑い。


「逃げも隠れもせずによくぞここまでやってきた…… まずは褒めてやろう。

 だが、しかし! これから貴様らは絶望することになろう! 炎の支配者にして煉獄の王、幾千の精霊を従えし我の魔術の冴えを目の当たりにしてな!」


 レジーがドラゴンの大牙亭に訪れてから、三日が経過している。

 今日この日に備えて、俺は新しい装備を手にいれていた。

 ゆったりしたパンツに風通しのいい長袖のシャツ。飾り気もない安物だが、動きやすく身体を締め付けたり汗などの湿気をこもらせたりせず、春先くらいのほの暖かい陽気に過ごすには適した服装だ。


 下着の方のシャツやパンツも、木綿製の新しくて清潔なものを用意してある。

 年中クロースアーマーの着たきり生活とも、ようやくおさらばだ。

 いずれは、鎧もちゃんとしたものを手にいれたい。


「恐れることはない。絶望を受け入れよ……

 しかして希望せよ! 万が一貴様らが生き残ることあらば、あるいはこの我に手が届くやもしれぬ。精々あがくがいい!

 くくくく…… ふはははは……! はーっはっはっは!!」


 締めの三段笑いを持って、アルバートの開始の挨拶は終了した。

 なお、この台詞を要約すれば以下の通り。


『本日はお忙しい中、一人も欠けることなく集まってくださり、大変嬉しく思います。

 皆さんの中には、うまくできるかわからない、と自信のない方もいるかもしれません。

 ですが、今の自分を受け入れて、諦めず努力すれば、一般的な魔法使いである私くらいの実力には十分到達できます。一緒に頑張りましょう』


 この開始の挨拶を受けて、俺やルティアパーティの面々はぱらぱらと拍手したが、クロードとミーシャはぽかーんとしていた。




 さて。

 俺たちが一体何をしているかというと、アルバート先生をお招きしての魔法合同練習会であった。

 実際に魔法を使う魔法使いから、魔力の感じ方、操り方を、みんなで教えてもらおうということである。


 場所は、ドラゴンの大牙亭の屋上。

 一角で洗濯物が干されて翻っているここは、広くてまっ平らで邪魔が入るおそれのない絶好の場所だ。


 参加者は、俺、ルティアパーティの面々、そしてクロードと、場所を提供する代わりに面白そうだから参加させて、と言って店長の許可を取り付けたミーシャ。

 なお大牙亭の各種業務は他の従業員がカバーして滞りなく運営されている。当たり前だがここで働いているのはミーシャと店長だけではないのだ。

 街の真ん中という一等地にある酒場兼宿屋だしな。二人で回るわけがない。


 俺がレジーにお願いして実現した合同練習会だが、一番の問題はルティアとクロードであった。

 クロードの方はルティアをそれほど毛嫌いしているわけではないので、説得は簡単だった。むしろルティアに魔法を習わせるのは賛成したくらいだが、ルティアの方はレジーに丸投げした。

 どれだけ大変だったかはわからないが、こうして練習会が実現したのでなんとかしてくれたらしい。ありがとうレジー。今度なんか奢ろう。


 アルバート? そんなもんルティアがやるって言えば断るわけがない。

 魔法に興味がなさそうなゴルドさんやディッツが参加してるのも、ルティアがいるから自動的に参加してるだけだ。


「さて…… では、まず最初に貴様らに言っておくことがある……

 貴様らは我を魔法使いだ、と思っているだろう…… 否定はせぬ。だが、我はあえて言う!」


 ばさぁっ、とアルバートは真っ赤なマントを大きく翻した。

 今日はいい風が吹いてるから綺麗に翻るな。


「我は魔法など使えぬっ!!」

「え……!?」


「ええええええええええっ!!!!????」


 あまりの衝撃発言に、全員の声が重なった。

 え、ちょっと待って、どういうこと!?

 天龍眼にはちゃんと、クラスが魔法使いLv20、スキルにも魔力感知Lv3、魔力操作Lv4、魔法・火Lv4って書いてあるんだけど!!?


「静まれい!!

 そもそも貴様ら、魔法を何と心得る! 我ら人間ごときに、自然を自在に操る魔法など……使える筈があるまいっ!!」

「ちちち、ちょっと待つっス!!? じゃあ、今までアルが出してた魔法は一体何っスか!!?」

「決まっていよう! 自然を動かせる存在は自然のみ……

 すなわち! 我に従いし精霊が行使する力、それこそが魔法である!!

 我ら精霊使いとは、この精霊に選ばれ、精霊を従え、精霊を使うもの。数秘学とやらは己こそが世界を自在に動かすなどと妄言するが…… その実、世界こそが我々を動かすのだと知るがいい!!」


 な、なるほ……ど?

 ええと、つまり……


「どういうことじゃ……」

「さっぱりわかんないっス!」

「やっべ、俺もわっかんねぇ……」


 ゴルドさん、ディッツ、レジーの三人はぽかーんとした顔で首をひねっている。

 まじかー、ディッつんと同レベルかー、なんて言うレジーに、ディッツが「どういう意味っスか!?」とツッコんでいた。


「ええと、数秘学が公式で魔法を起こす、というのは知ってるかな。

 精霊使いは、公式のかわりに精霊を用いるんだ。自分に従う精霊に命令し、その力を使わせることで魔法という現象を起こすんだよ」

「そうだ。魔法を使えるのは精霊だけなのだ。

 我らにできるのは、せいぜい魔力を渡してやることと、精霊に上手くイメージを伝えること程度よ」


 アルバートが意外に謙虚なことを言う。

 つまり、精霊使いというのは、精霊という擬人化された魔力を介することで魔法を使う方式、ということか。


「精霊……っていうのは、どこにいるんだ? どうやってそれを従える?」

「精霊はどこにでもいる。普段は決して目に見えぬがな。

 だが運が良かったな! この我が、貴様らに精霊の姿というものを見せてやろう! 刮目せよっ!!」


 ばさぁっ、と意味もなくマントを跳ねあげて、アルバートは赤い布を巻いた左腕を天に掲げる。


「聞け、我に従いし幾千の精霊よ。紅蓮の焔に舞い踊る、小さき者らよ。

 我は汝に姿を与えん。我が命に従いて、我が前に侍れ。永久の忠誠を誓いしその身を我がために捧げよ! 来たれ、サラマンダーよ!」


 朗々と歌い上げるような詠唱と共に、虚空にぼうっと火の玉が浮かぶ。

 それは少しずつ大きさを増し、呪文が終わると約40cmくらいの大きさになって、ぽとりと足元に落ちた。


「きゃあああ火事になるっ!?」

「案ずるな、宿の娘よ。我が精霊は不要なものは燃やさぬ」


 悲鳴をあげるミーシャだが、アルバートが言うように、炎が建物に燃え広がったりはせず、四つ足の動物のような形になってこちらを見上げていた。

 犬や猫よりも、イグアナみたいな形だ。口元らしき場所から、長い舌のような炎が時々ぼうっと伸びる。


サラマンダー 魔物 性別なし Lv20

精霊系 火属性


 おい、なんか魔物とか表示されてるんだけど。

 しかも深森の迷宮のどの魔物よりレベルが高いんだが……


「どうだ、これが炎の精霊サラマンダーである!」

「これが、精霊……ですの? なんだか可愛らしいですわね」

「そうね、最初はびっくりしたけど、ちろちろ炎を吹いてて可愛い!」


 男どもが遠巻きに見ているのに対し、女性二人はしゃがみこんでぱぁっと笑顔だ。


「ね、これって触っても平気?」

「無論だ。少しばかり熱いかもしれぬがな」

「お、おい、危ないから離れた方が……」


 俺の静止も聞かずに、ミーシャがサラマンダーに手を伸ばす。

 すると、サラマンダーは急に動き出し、意外に素早い動きでするするとミーシャの腕を上り、肩の上に乗った。

 サラマンダーはどう見ても炎の塊なのだが、ミーシャの髪や服に燃え移ったり、肌を焦がすようなこともない。


「あはは、すごーい! ぽかぽかしてる!」

「ミーシャさん、ずるいですわ! 次はわたくしですわよ!」

「はは、すごいな…… 女の子は度胸があるね」


 きゃっきゃと楽しそうにサラマンダーを取り合うミーシャとルティアに、クロードが苦笑しながらつぶやいた。

 その様子を見て、腰が引けていた男性陣も二人に近付いておそるおそるサラマンダーに手を伸ばす。

 にわかに大人気のサラマンダーだったが、あまり動かず大人しくしながら、何もない虚空に時々炎の舌を伸ばしていた。


「うむ…… や、宿の娘に、我が姫よ。サラマンダーもいつまでも出してはおけぬ。そ、そろそろ戻しても……良いか?」

「まあ、そうですの? 残念ですわ…… でも、仕方ありませんわね」


 額に冷や汗を浮かべるアルバートに、ルティアは名残惜しげにサラマンダーの頭を撫でる。

 いつの間にか、アルバートの魔力を示すバーが半分くらいに削れている。サラマンダーを出している間、魔力を消費し続けるのだろう。


 ぼっ、と小さな音を立てて、燃え尽きるかのようにサラマンダーが姿を消す。

 ……俺もちょっと、触っておけばよかったな。


「ふう。……さて、これで精霊が存在することが皆にもわかってもらえたことであろう」

「ああ、流石に今のを見ると否定することはできないね」

「はー、精霊っちゅうのはすごかもんじゃいの!」

「可愛かったわね、ルティアちゃん!」

「そうですわね、ミーシャさん!」


 女性陣はサラマンダーのおかげですっかり打ち解けたようで、二人で笑顔を浮かべて「ねー?」なんて言いながら小首を傾げてた。

 めちゃくちゃ可愛いのは同意するんだけど、クロードを除く男性陣がそろってデレデレになっているのには苦笑しか出ない。

 無口なガイウスですら満面の笑みであった。


「精霊とは、魔力の塊でもある。魔法の第一歩は、姿なき精霊を感じること…… すなわち、魔力を感じることだ」


 お、すなわち魔力感知スキルのことだ。

 俺とクロードが知りたいのはまさにこれである。


「魔力を感じるといっても、具体的にはどうすればいいのかな?」

「方法は色々ある。だが、今回は一番簡単な方法をやってみよう。

 ではまず、目を閉じるのだ」


 言われた通りに目を閉じる。

 他の皆も素直に従っているようだ。やっぱり、先程のサラマンダーのインパクトが効いているのだろう。


「両足を肩幅に開いて、全身の力を適度に抜け。

 そして深呼吸せよ。無心で息を吸い……そして、吐く……」


 アルバートの声にあわせて、息を吸い、そして吐く。

 リラックスしながら、何度も深呼吸を繰り返した。


 他の皆の呼吸の音も聴こえてくる。

 アルバートにあわせているはずなのに、呼吸の音は意外に不揃いなのがちょっと面白いなと思う。


「呼吸とは、世界を己に取り込み循環させ、世界と一体になること。

 すなわち、魔力を取り込むことなのだ。

 呼吸と共に己に巡る魔力を感じよ。己を世界に溶け込ませ、世界と精霊の流れを探れ」

「…………神への祈りに……似ている……」

「む、むつかしいのう……」

「……くかー……」


 おい、ディッツが立ったまま寝てるぞ。器用な。


「うーん…… わかんないわねぇ……」

「ふ、そう簡単にわかるものではない。素質のあるものですら、これを何日も続けてようやく端緒を掴むのだ」

「いつもの波みたいなのしか、私は感じないわ」

「……なんだと?」


 波……?


「宿の娘よ。……もう少し詳しく語るがいい」

「ほら、朝起きて窓をあけて、胸いっぱいに深呼吸すると、感じるでしょ?

 街の息づかいっていうか、色んな人たちが色んな強さで出してる、波みたいな感じ。自分自身からも出てるそれが、水面に浮かぶ波紋みたいに伝わるの」


 え、何それ。俺には何も感じないんだけど。


「もしや娘よ、今も感じるのか? 我らの、その……波を」

「え? そうね。あなたと、神官さんから強い波を感じるかな。

 クロードさんも、ちょっと強め。ほかのみんなは普通だけど……アルマさんの波は、ちょっと変だわ」

「へ、変?」

「うーん、なんていうか…… すごく強い波が、すごーく遠くから伝わってきて、結果的に弱くなってる、みたいな……?

 ごめんね、うまく言えないわ」


 もしかしたら、俺が別の世界から来たことや、天龍のことがそういう風に感じる理由なのかもしれない。

 ……っていうか、それは。


「……宿の娘よ、貴様はもう良い」

「あら? ……やっぱり、私に魔法の才能はないかしら?」

「いや…… むしろ逆だ。魔力の感じ方は人それぞれだが、貴様の感じる波というのは間違いなく魔力。

 ……しかも、その感度は我が師にも匹敵する」


 ぐぬぬ、と唸るアルバート。

 うっすらと左目を開けてミーシャのスキルを見てみると、なんと魔力感知Lv6がついていた。

 ……勇者ってすごいな!


「他の者はもう少し深呼吸を続けてみるがいい。

 多くの者は、魔力を波とか流れとか、痺れるような感覚、として感じることが多い。集中して探るのだ」


 波…… 波か。

 レーダーソナーみたいなものだろうか。映画で、飛行機の管制室や潜水艦なんかについている、光る線がくるりと一周して敵を表示するあれだ。

 コーン、と鳴るソナー音や電磁波を放って、その反射によってそこに何かがあることを感知するのだ。

 魚群探知機とか、妊婦さんのお腹の中にいる赤ちゃんを見るエコー検査なんかも、同じ原理の筈だ。


 脳裏に丸いレーダー画面が思い浮かぶ。

 魔力を感じ取るんだから、放つのも音波や電磁波ではなく魔力だ。

 コーン、と額のあたりから魔力の波を放つようなイメージで……


「きゃっ!?」

「むっ……?」


 ……あれ?


 脳裏のレーダー画面に、ぼんやりと光が灯る。

 普通のレーダーのように光点が映るのではなく、レーダー全体が濃淡をつけながらぼんやり光るような感じ。

 全体的に流れのようなものを感じる濃淡のつき方で、天気図を等高線ではなく色の濃淡で表すとこんなふうになるのではないか、と言う感じだ。


 同時に、返ってきた波を受けたせいだろうか、皮膚がぴりぴりと粟立つような感覚を感じる。

 これは、もしかして……


『ほう、面白いイメージではあるが…… 魔力を掴んだようだな、ユート。試しにもう一度やってみるがいい』

「ひゃっ、ちょっとアルマさん、なんか…… その、何か出てない?」


 コーン、ともう一度波を打つようなイメージをしてみると、途端にミーシャが反応する。

 何か出てる、って微妙に嫌な表現だな。


「何か、っていうか……魔力? 的な……?」

「魔力を放って精霊をざわつかせるか。くくく、味な真似をする……

 だが少々強すぎる。この娘のように、魔力に敏感な魔物は気付いてしまうぞ。もっと弱くしてみろ」

「こんな感じ……かな?」


 こーん。


「あははっ、待って、それくすぐったい!」


 こーんこーんこーん。


「ひゃあっ!? ちょ、ちょっと待っ、やめっ、きゃん!?」


 こーんこんここーん、ここここーんっ。

 いかん、なんか楽しくなってきたぞ。


「あは、あははは! ひぅ、やめ、やめてっ、アルマさっ、ひゃんっ、ゆ、許してぇっ」

「ええい、やめんかっ!!」


 ばしーん、とアルバートに頭をはたかれた。

 いかん、調子に乗ってしまったようだ。ミーシャが突っ伏して痙攣しながら、ぜーぜーと息を荒げている。


「お、おとうさんに、言いつけてやるぅ……」

「マジすんませんっしたッ!」


 速攻で土下座した。

 グランノート店長はまずい。店長も何気に過保護気質っぽいところがあるので、怒らせて本気で殴られたら死ねる。


「魔力感知の訓練で何故か魔力操作とのあわせ技を会得するのは驚いたが、それはもう禁止だ。魔力を放たずに感じ取れ!

 宿の娘も、魔力感知を制御しろ。必要もないのに魔力を感じ取っていては…… その感度だとまともな生活が送れんぞ」

「あ、ああ、わかった」

「はぁーい」


 アルバートに言われて、改めて頭の中のイメージをやり直す。

 さっきのは、こちらから音波や電磁波を放ってその反射で周囲を探る、いわゆるアクティブソナーというやつだった。

 反応が詳しくわかるかわり、さっきのミーシャのように放った波を逆に感じ取られてしまうこともある。


 今度は、自分からは波を放たず、周囲の放つ音波……この場合は魔力を拾い上げて探知する、パッシブソナーと呼ばれるものをイメージする。

 これは、自ら波を発するものでなければ感知出来ないが、逆探知されるおそれはない。


 試しにやってみると、さっきので魔力を感じる感覚を身体が覚えたのか、アクティブソナーよりは範囲も狭く反応もおぼろ気だったが、ちゃんと魔力を感じることができた。

 なんというか、これが魔力だ、というのが言葉でなく感覚で理解できた感じだが、こういうの初めてのような気がしないような……

 ……あ、天龍眼を開放したときの感覚と同じか。


 ちなみに、アクティブとかパッシブとかのソナーの話は、話題になってたので一時期プレイしてみた、戦艦や潜水艦を扱ったネットゲームの攻略サイトで知った話だ。

 まあ、そのゲーム内ではアクティブソナーもパッシブソナーも同じソナー扱いで効果の違いはなかったけどな。


「うーん…… 感じ取るのはいいんだけど、逆に感じないようにする、って難しいわね……

 何だか、一度意識しちゃうとどうしても気になる感じだわ」


 ミーシャの方はうまくいかないようで、すーはーと深呼吸しながら小首を傾げている。

 ……何故か、その姿を見ているとふつふつといたずら心が……


 こーん。


「ひゃわっ!? こっの、やめてって言ってるでしょっ!」

「うわっと!?」


 流石に怒ったのか、ミーシャから鋭い回し蹴りが飛んできた。

 慌ててそれを避けるが、すぐさま追撃の一撃が放たれる。


「待ちなさい! 一発蹴らせなさいよっ!」

「いや、ごめん、つい出来心で!」

「おい、それは禁止だと言っただろうが! 待て! 貴様らは子供かっ!?」


 たちまち俺とミーシャの追いかけっこが始まった。

 アルバートが怒鳴るが、頭に血がのぼったミーシャは聞く耳持ってない。


「あっ、でもわたくし、今の『コーン』っていうの、微かに感じましたわ!」

「うっそマジで? 俺も俺も、ちょっとだけピリッて来た!

 おーいアヅマっちー、もっぺんやってみてくんねー!?」

「ふむ。……よし、あと一度だけ許してやろう! やってみるがいい!」


 ルティアが「お願い」ってポーズするだけでさっくりと手のひらを返すアルバート。


「えっと…… まぁ、そういうわけであと一回だけ、ごめん」

「えっ、嘘ちょっと待ってアルバートさんの裏切り者! ひゃいんっ!?」




 そして俺とミーシャの本気の追いかけっこが始まった。

 最終的に五発は蹴られた…… いてて。

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