表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/92

今から追い付く! 忙しい人のための「天龍眼の探索学士」第1話~第20話

第1話

 登山部に所属する青年、阿妻優斗(あづまゆうと)

 携帯電話の充電を忘れてしまい、部活動が中止になったことを知らずに山に入ってしまった彼は、案の定嵐に遭遇し、足を滑らせて崖から転落してしまう。

 目を覚ました時、そこは何もない真っ暗な場所だった。

 謎の光る球体から自分が死んだことを知らされるが、その球体はある条件と引き換えに優斗を生き返らせてくれるという。


『私はどこにいるのか、私の名は何なのか』


 あまりに長く封印され、自分の名前も忘れ存在すら失われようとしている、自分の名前を最期に知りたい。

 その条件を受け入れた優斗は、おぼろ気な記憶の中から「天龍」という呼び名を思い出したその球体に、あらゆるものを見通す「天龍眼」を分け与えられ、新たな肉体を得て蘇るのだった。




第2話~第4話

 目を覚ました優斗だが、天龍眼の性能はすさまじく、人間の脳では処理しきれない情報にダメージを負ってしまう。

 それを助けたのは、脳裏に響く天龍の声だった。

 左目を閉じて一時的に天龍眼を封じることで難を逃れたユートは、明らかに戦闘用の剣を所持した自分の姿におののきながらも人里を目指して歩き出す。


 やがて行商人のマルクという男性に出会うが、探索士という職業に間違われたり、使えるようになった天龍眼に表示されるレベルやクラスといった、ゲームのような表示に戸惑う。

 とはいえ迂闊にマルクに聞くわけにもいかず、疑問を抱えつつも街まで馬車に送ってもらうことになった。


 お腹を空かせたユートが足を運んだのは、宿兼酒場「ドラゴンの大牙亭」であった。

 注文を取りに来たウェイトレス、ミーシャのクラスは、なんと勇者。

 優斗は驚きつつもミーシャに探索士についての話を聞き、どうやらここが地球ではないらしい、ということを確信する。

 ひとまず食事をして気持ちを落ち着かせた優斗は、天龍の意見もあり探索士になることを決意するのであった。




第5話~第10話

 ドラゴンの大牙亭を拠点と定めた優斗……ユートは、朝食をとりながら、超高レベルの店主と、ウェイトレス兼勇者のミーシャのステータスを覗き見る。

 だが、天龍に『あまり勇者に関わるな』と釘を刺されてしまう。


 ドラゴンの大牙亭の向かいにある探索士協会で探索士として登録するユートだったが、魔法の道具で鑑定したクラスは、武器も魔法も得意ではない「学士」だと言われてしまう。


 懐具合も心もとなく、低レベルで一人ぼっちの学士だが稼げる方法はないか、と元探索士の受付嬢シャリアに教えを受け、ユートは大樹の迷宮と呼ばれる場所に赴いた。

 そこは小さな異世界。天を衝く巨木のふもとに広がった、最低レベルの魔物が闊歩する、ごく初歩的すぎて稼ぎが悪いので逆に新人はほとんど行かないくらいのごく初歩的な迷宮である。

 そこで初めて出遭った魔物は足がはえた歩くキノコ、あるきのこ。

 戦い慣れないユートは苦戦しつつもどうにか勝利を納めるのであった。


 協会の受付嬢シャリアに受けた教えを守って、どうにか戦いにも慣れ始め勝利を重ねるユートだが、最後にシャリアの教えを破り、一人で複数の敵に戦いを挑んでしまう。

 手間取った隙にアリの魔物が合流してしまい、焦ったユートは他のアリを呼び寄せるアリの体液を剣につけたまま逃げ回る。

 多数のアリに囲まれ絶体絶命のユートを救ったのは、通りがかった探索士の放つ炎の魔法だった。


 優しげな美少女ルティア率いるパーティに助けられたユートは思わず舞い上がってしまうが、自分が学士だと言った瞬間に見事な手のひら返しをくらってしまう。

 あっけに取られたユートだったが、実は彼女のレベルはたったの3。自分では戦わず、取り巻きの男達に戦わせる姫パーティだったのだ。


 無事に街へ戻ってきたユートは、すっかり彼の中では「先生」付けになったシャリア先生に今日の探索結果を報告し、ドロップアイテムを換金してもらうのであった。




第11話~第18話

 ドラゴンの大牙亭に戻ったユートは、自分のクラスだと宣告された学士とはどういうクラスなのか、と店内の学士を探す。

 大牙亭に学士はただ一人、鑑定屋のクロードだけであった。

 彼のステータスを見て、学士の真価はパーティ全体の経験値とアイテムドロップ率を高めることにあると知るユート。学士は直接的な戦闘力こそないために敬遠されているものの、パーティに大きく貢献できるクラスだったのである。

 話をして意気投合するユートとクロードだが、仲間になるために3000ダイムを稼ぐ力があることを証明すること、と言われてしまう。


 翌日から大樹の迷宮に潜るユートだが、どうも剣が通用しなくなった気がする……と思ったら、手入れのやり方を知らずに剣を刃こぼれさせてしまっていたのだ。

 シャリア先生に呆れられ、休日を使って鍛冶屋に連れていかれることとなる。

 そこは、シャリア先生の夫が主を務める鍛冶工房だった。

 剣の手入れを教わり、再び戦えるようになったユートだったが、物入りのために目標の3000ダイムはますます遠のくのであった。


 ユートはさらなる稼ぎと好奇心に誘われて、大樹の根本、迷宮の最奥を目指すことにする。

 魔物と戦いながら奥へと向かったユートがそこで出会ったのは、かつてアリに囲まれた時に助けてくれたルティア達であった。

 魔物は近付かないという大樹の根本の広場で、ユートは彼女達のお茶会に参加して仲を深めるのであった。


 ルティア達を見送ったユートは、食後の軽い散歩のつもりで大樹の周囲を一周することにする。

 ただの散歩……で終わるはずだったが、大樹の裏側にさらなる深奥を発見し、そこから飛び出した高レベルの二つ頭の蛇の魔物、アンフィスバエナに追いかけられることとなる。

 天龍のナビゲートと、迷宮入り口にいたルティアたちの助けを借りて、間一髪でアンフィスバエナを倒すことに成功する。

 だが、限界を越えて走り続けたユートは、そのまま気を失った。




第19話~第20話

 気絶したユートが目を覚ますと、ドラゴンの大牙亭の自室だった。

 ルティアたちがユートを運んでくれたのだ。

 アンフィスバエナから逃げ切ったユートに価値を認めたのか、ルティアはユートに正式にパーティに入らないか、と持ちかけてくる。

 思わずうなずきそうになったその時、割り込んできたのはクロードだった。

 何やら因縁ありげに、敵意をあらわにしてくってかかるルティアをよそに、クロードは自分をユートのパーティに入れてほしい、という。

 クロードの登場で冷静さを取り戻したユートは、考えた末にルティアの誘いを断り、クロードを仲間にするのであった。




 以下、第21話に続く……



――――――――――――――――――――

☆ここまでで押さえたい人物・出来事


阿妻優斗(あづまゆうと)

 主人公。異世界では「づ」が発音しにくいのか、アルマと呼ばれることが多い。

 真面目で根気強く、慎重で善良な性格。わりと流されやすい。


・天龍

 優斗を生き返らせた謎の存在。天龍を探すことがユートと天龍の目的。

 ユートと魂を通じて会話でき、相棒のような存在になっていく。


・ミーシャ

 酒場兼宿屋「ドラゴンの大牙亭」のウェイトレス。

 世界に一人しかいない勇者のクラスを持つが、自分ではそれを知らない。


・店長

 本名グランノート・レイン。「ドラゴンの大牙亭」の店主。

 ラディオンの街で最強の存在だが、怪我の後遺症で一線を退いた。


・シャリア

 探索士協会の受付嬢。人妻。

 授業と称してユートに様々なことを教え導く。元探索士。


・ゲイル

 腕利きの鍛冶士。シャリアの夫。

 爽やか系イケメンで、剣道をベースにしたユートの剣術にインスピレーションを刺激され、日本刀の製作に着手する。


・ルティア

 ユートのピンチを助けた、天使のように清らかな美少女。

 その実態は男性探索士をはべらせて戦わせる姫プレイヤー(レベル3)。


・クロード

 不遇クラスである学士の青年。

 ユートの仲間としてパーティに加入する。何かと器用。


・ラディオン

 舞台となる町の名前。近くに五つもの迷宮を擁するラディオンの森があり、多くの探索士で賑わっている。


・探索士

 迷宮に潜って魔物と戦い、様々なアイテムを持ち帰るお仕事。


・迷宮

 小規模な異空間。魔力の溜まるところに自然的に発生する。

 中には魔物がいて、危険だが様々な資源を手に入れることができる。


・大樹の迷宮

 迷宮内のどこからでも見える超巨大な大樹が特徴的な迷宮。

 最下級の魔物が少量しか現れない低ランクの迷宮……と思われていたが、超強力な魔物が発見され、調査のため立ち入り禁止になった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ