表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「転生しても私は私」

退位竜王・炎華の婿入り

作者: 柳銀竜

転生しても私は私の、本編で書けなかった。押し掛け夫達のお話です!

第一段は、竜王。炎華の話です。


 



 豪華な礼服を纏ったリリガルが、いつの間にか即位式を抜け出した兄を探して(退位した王は、現王の後見人になるのが慣わしで、普通は式典の後。現王と一緒に貴族達に挨拶をする。炎華はそれをすっぽかして逃げた)城の中を駆け回る。


そして、バルコニーから近くにある高台に炎華が居るのに気づいて、彼に叫けんだ。


「兄上!!ちょ!!ちょっと待って!!何処行くんですかぁぁぁぁぁぁ!!兄上ぇぇぇぇ!!」


しかし炎華は、叫ぶ弟にニカリと笑うと、行き先も教えずに竜に巨大な竜に変化してから、何やら袋を首に引っかけ、翼を広げて、竜種の領地飛び立った。





 ゼルギュウム国。


 ウイング伯爵家にある、藍色の大きな屋敷の縁側で(江戸の武家屋敷みたいな建物。ハヤワーン式。素足で歩き回りたいユリナの希望)ダラッと寝転んでいたユリナは、いきなりの突風に顔をしかめる。


 異変を察知したシュエが、台所から包丁を持って走って来た。

  そして、薪割りをしていたグレルも斧を片手に走って来る。


 走って来た二人が、ユリナを守るように彼女の前に立った時。


 空からヒラリと男性が降りてきた。


「久しぶりだな!ユリナ!」


「・・どちら様ですか?」


「・・・分からないのか!!俺だよ!俺!」


「オレオレ詐欺!?」


「オレオレ詐欺ってなんだ!!」


 誰だろう・・とりあえず竜種の男性なのは分かる。


 ケントルムの知り合いは・・


「ラピスの知り合いですか?」


 ユリナがそう口にした瞬間。竜種の男性は、泣きそうに顔を歪めてユリナを睨む

 ラピスの知り合いじゃないのか?


「俺だ!炎華だ!」


「炎華?炎華って・・シュエ、グレル。炎華って誰?」


 ユリナは小声で夫達に聴くが、耳のいい炎華には丸聞こえだった。


「元竜王だ!ケントルムで、ラピスの結婚問題があった時に会っただろ!思い出せ!」


「ああ!竜王様か思い出した・・いや、思い出しましたよ!いやぁお久しぶりですね!」


 アハハと笑うユリナに、元竜王炎華はため息を吐く。


「ハアー忘れてたのか・・・後。敬語は止めろ俺は竜王を退位して今はただの一般竜だから」


 一般竜。なら適当にあしらっても問題無いだろう。


 ユリナは嫌そうに、炎華を見上げた。


「そう。で?一般竜が何しに来たのさ。私はダラダラするのに忙しいんだよ」


「それ忙しいのか?せっかく珍しい果実と、その種子やら苗木やら持って来たのにな」


 炎華はそう言うと、背中にかるっていたリュックを下ろし、中から苗木やら木箱やらを取りだし始めた。


(あきらかに可笑しい量が出てくる。多分魔術のかかったリュックみたいだ)


「暇!今暇だった!どれ!どれ!!シュエ!グレル!お茶をお出しして!」


「「・・・分かった」」


 シュエとグレルは、嫌そうに炎華を見ながら頷いた。


 数分後。


 室内に移動したユリナ達は、食堂として使っている二十四畳位の畳の部屋で、座布団に座りながら炎華が持ってきた果物にかぶりつく。


「おいひい!!」


 ユリナが叫ぶと、炎華は楽しげにニヤリと笑う。


「よし!食ったな?」


「え?食べたよ?」


 ユリナが、ビクッとしながら固まっていると、炎華が更に楽しげに笑いながらユリナの目を覗き込んだ。


「もう・・・返品できないよな?」


「・・・え?」


 へっ返品?!これ。くれたんじゃないの?!

 ユリナが困惑しながら、炎華を見上げると。


「結納金を受け取ったな?」


 結納金!!もしかして・・もしかしなくても・・


「これからよろしく。伴侶殿」


「え!!」


 騙された!!

 ただのお土産と思い、口にしたのが間違いだった!!


 しかし・・もう食べてしまったし、この桃みたいな果物の苗木も、結納金として持って来た苗木の中に、確実に有るだろう。


 もっと食べたい・・・・


 しかも大量(十二畳の部屋が埋まるくらい)お土産改め、結納金の中には見たこともない果物があるかもしれない。


 正直。炎華の髪は、赤が濃すぎで暗い色をしているし、瞳の色も同様だ。


 イグニスは明るい赤すぎて目が痛いが、炎華の色は落ち着いていて、暖かい。


 顔も美形だし、好みと言えば好みだ。


 何故私なんかを欲しがるか理解不能だが、彼が伴侶になりたいと言うなら貰う事に否やはない・・て言うか、ぶっちゃけ桃が欲しい。


 だが、これだけは言わないといけない


「炎華。私はウイング伯爵になって、夫が二人いるんだよ。三番目の婿でいいなら伴侶になってあげるけど?」


 竜種は、ただ一人を愛し続ける。


 その竜種に、重婚を迫るなど消されても文句は言えないだろう。


 しかし、シュエもグレルも大切な夫だ。


 いくら桃が欲しくても、捨てる訳にはいかない。と言うか、二人を捨てて炎華を選ぶと男達が殺し合いをしかねない。


 多分。彼は諦めるだろう。


 ・・ああ・・桃の苗木。欲しかったな・・・・


「ああ。知ってる。三番目の夫で構わない」


 ・・・・え?!今何て言った!!


 ユリナが目を見開くと、炎華は可笑しそうに、クックックッと笑う。


 彼は全てを理解して、納得してから此処に来たらしい。マジかよ!!


「本気!?」


「本気でなければ、重婚している女に求婚などしないし、家族に何処に行くか教えていないし、自分を一族から除名してきたから怒鳴りこんでくる奴もいない。

 俺も一年間・・・悩みに悩んで結論を出したんだ。俺の気持ちは迷惑か?迷惑なら言ってくれ・・その果物の苗木ならお前にやるから」


 炎華は悲しげに目を伏せる・・まあ、演技だが。


 こうすれば、ユリナの罪悪感が増幅され要求が通る可能性が高い。


 それに、調べた情報によると、ユリナは顔が良い者に弱いらしい。


 自慢じゃないが、自分の顔はかなり整っていると思う。

 それに、物欲と食欲の固まりの彼女は自分が持って来たモノが欲しくて堪らないハズだ。


 正直。自分が何でこんなにユリナが好きなのか良く分からないが、自分の本能的な部分がユリナを求める。


 本当は、妻を独り占め出来ないのは辛いが、それでも良いと思える程に彼女が欲しい。


 直感的な本能が、竜種としての本能が、彼女が欲しいと叫んでいる。


 ぶっちゃけ欠片も悩まずに、彼女を手に入れるために権力を手放し、自らの除名密かに遂行し、金やら、果物やら情報を集めて用意周到に準備をした。


 ニヤッと笑いながらユリナの顔を見ると、目を見開いて驚愕している。


 自分が、了承するとは考えていなかったらしい。

 詰めが甘いな・・・ユリナ


「え・・いや悪いしさ・・・」


「俺の気持ちは迷惑か?」


「いやいや。嬉しいよ?でも・・」


「嬉しい?なら俺を受け入れてくれるか?駄目なら良いんだ・・俺に生きている価値はない・・・」


 え!?ユリナは慌てて手を拭き、炎華にすがり付いた。


「いやいやいや!!死んじゃ駄目だ!世の損失だよ!分かった!分かったから!婿に来てください!!」


 ユリナが慌ててそう言うと、炎華は嬉しそうにユリナを抱き締めた。


 ・・背後で二つの殺気を感じるが、無視だ。


「これから宜しく・・可愛く小さな伴侶殿・・・」


 ユリナは結局。三人目の夫を手に入れるはめになった。


 一人寂しく。孤独死をめざしていたが、今世では無理みたいだ・・




元竜王の婿入りでした!

竜種は、人より獣に近くて本能で生きる所があります!

彼は本能でユリナにひかれてしまいました!

彼は多少雑な所があり、シュエに嫁イジメの様に、まだホコリが!あるぞ!とか言われたりしますが、ユリナの出前。彼に突っかかったりしません。


まあ・・・何十年か後に、焼き殺そうとしますがね・・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ