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8.モルカ台地

「くっ、この――!」

「エルピス、左を羽で牽制!」

「「ギュオッ……」」

「ありがと、助かった!」


 エルピスが羽の弾丸をばらまいた隙に、シャロが俺たちを包囲していたオークの一体を仕留める。


「うおっ!?」

「伏せろユイハ!」

「斬る前に言えッ!」


 その様子を横目にエルピスと共に駆け抜け、ユイハを追い詰めていたハイオーク二体を両断。

 俺たちの利点は突進の勢いにある。

 一度そのまま包囲網を突破し、振り返った視界に映るのは普通のオークが六体とハイオーク一体。


「か、カオスランスっ」

「ギャッ!?」


 ――と、今ので最後のハイオークを撃破。

 後ろに乗っているリーネが放った……光を纏った闇の槍? みたいなものが標的を吹き飛ばす。

 もう数の利も無いし、後はなんとかなるだろう。


「光と闇合わせて混沌(カオス)ってのもよく分からん話だが」

「私に言わないでください」

「初期魔法でコレとなると、魔王と戦うときなんかの上級魔法はどんな名前なんだろうな? 詠唱とかも必要かもジッ゛!?」

「……回復しませんよ」


 突撃しながらリーネをからかっていると舌を噛んだ。

 激痛で緩んだ手に慌てて力を入れ直し、オークの一体を斬り捨てる。

 乱戦の中で敵を撥ね飛ばしながら進むならともかく、この状態でただ駆け抜けただけとかユイハにいじられるだけだしな。

 それから程なくして群れは片付いた。


「結局、ビギナーズラック無しで片付いたな」

「ああ。だがこの調子だと、そろそろ更に先に進むのは無謀な気がするな」

「でもこの辺でビギナーズラック使うような事態も無さそうだよねー。運が良かったら何かあっても丁度良いくらいのピンチで済むかもよ?」

「運が悪かったから大惨事、なんてのは御免です」

「「そうだな」」

「やっぱりー? でもさ、今日のうちに使わないとだよね?」


 地味に使い道が無いな……いや、どっちかっていうとあり過ぎて困るの方が近いのか。

 無難に換金するってのも一つの方法だが、それじゃつまらんしな。

 そもそも魔物を倒せば金が日銭は稼げる上に大金はたいて買うような今、その必要性を感じない。


「そうだ、どうせ腐らすくらいなら何か凄い魔物との出会いでも――ん?」


 思いつきを口に出してみると、エルピスに嘴で軽く手をつねられた。


「ああ、やっぱエルピスも仲間がほしいよな!」

『違うっす御主人!』

「!? ……エルピス、喋れたのか!?」

「あれ? リュート知らなかったのー?」

「「「!?!?!?」」」


 ひとまず落ち着いて確かめる。

 まず、エルピスはフレンドコールを介する形で俺たちと意思の疎通ができる。

 で、それを最初に知ったのはシャロ。きっかけは聞いたが凄く些細なことだった。

 そうか……エルピスが反対なら仕方ない。


「じゃあビギナーズラックはエルピス自身を強化する方向で」

「良いよー」

「わ、分かりまし――」

「騙されるんじゃない二人とも!」

「ぐぉ!?」


 話が纏まろうとしたところでユイハの一撃が脳天に直撃した。

 鞘に入れたままだから手加減? 違う、アレは刀を鈍器として使っただけだ。

 出血こそないがズキズキする頭を押さえ、恨みがましくユイハを睨む。


「人の分までお前が使うんじゃない!」

「どうせなら四人分のビギナーズラックでデカい事しようって言いだしたのはお前だろ」

「個人の事に使うなら普通は全員で決めてからにするだろう。それくらいの時間はまだある」

「くっ、珍しく正論を」

「珍しくとはなんだ。……ん? どうしたリーネ?」


 ユイハにつられてリーネを見る。

 いつになく厳しい表情には、どこか心配と不安が入り混じったようだった。

 その視線の先には最近影の薄いヘルプ。


「ヘルプさん……少し、透けてませんか?」

 予約ミスです、失礼しましたorz

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