7.廃墟――5
「――まずは此処に居る皆に感謝を述べる!」
集まった連中の一番後ろにいる俺たちまではっきり届く肉声を発する男は、【軍曹】のガゼルと名乗った。
逆に固有か一般か分からないクラスだが、クラスアップするならだいぶ先が長そうだ。
俺は詳しくないが、十段階以上はあるんじゃないか?
軽く見た感じだと最初に集められた百人とほぼ同じくらいの人数が揃っているように見える。
話の内容は最低限の認識の共有に留まった。
具体的にはヘルプからも聞ける人類の現状や、いずれ魔王への対応も考える必要があるってことくらい。
そう言う訳で話の大体は聞き流していたんだが……一つ、無視できない内容があった。
現状ガゼルに従っている奴らがビギナーズラックを使用してフレンドコールを進化させたんだとか。
元々機械音痴だった俺にはよく分からないが、掲示板とかSNSに相当する機能が追加されたらしい。
思い切った手を取ったな……。というかビギナーズラックってそんな使い方もできるのか。
そして、この場に集まった全員でフレンドコールの登録を済ませることになった。
「とりあえず名前とクラスだろ。後は……」
「クラス……ですか……」
「秘匿(厨二系)とかー?」
「いや、そこは秘匿(お察しください)だろ」
「……泣きますよ?」
「ゴメン」
「すまんかった」
ちょっと本気の気配に、シャロと大人しく頭を下げる。
普通に秘匿ってことにしといて、聞かれたら必要な範囲で説明するくらいが妥当か。
と、軍曹たちから自己紹介のテンプレート的な物が提示された。
名前とクラス、主な行動方針……か。
「最終的には魔王種のテイム」っと――。
『――リュート・ディズラスで良いだろうか。ガゼルだ』
「うおっ!?」
「五月蝿いぞリュート」
「悪い。なんかテレパシー来た」
というかいきなり!?
何か拙い内容だったか?
『もしもし。どうかしたか?』
『フレンドコールに挙げた目的について訊きたい。魔王をテイムしてどうするつもりだ?』
『乗る』
『…………』
『……………………』
『……乗る?』
『ああ。俺もう魔物を一体テイムしてるんだが、乗った時の感覚というか、幸福感というか……言葉では説明し難いものがあるんだよ』
『……分かった。失礼する』
最後の方は呆れ混じりだった気もするが気のせいだろう。
大体の奴らは自己紹介を挙げ終わったらしいので、とりあえずPTの分だけ覗いてみる。
リーネはクラス秘匿で、行動方針は「サポート中心」。
なんかクラスに引っ張られた印象かもしれんが、どことなく黒幕っぽい感じがするな。
シャロの行動方針は「冒険と暴露」。
……「暴露」がスキルだって知らない奴には誤解されるんじゃないか?
クラス自体は一般みたいだし、察せる奴も多そうだけど。
ちなみにユイハは「剣士として研鑽を積む」だった。
まあ、特にコメントする事も無いな。
というか、やたら機能が盛られてて逆に分からん。
せめてそれぞれの発言くらいは一目で確認できるようにしてほしいんだが。
……俺はフレンドコールで会話が出来れば十分だな。
それ以外はリーネたちに任せた。
その後は一部の連中の間でフレンドコールを使った話があったみたいだが詳しくは不明。
掲示板モードには早くも地図が上げられてたが、何をどうやったんだ?
――と思ったら、投稿者はシャロだった。
まあ、その辺に強い奴がいるってのは心強いし良いか。
日も暮れてきたし、その日の晩も昨日と同じ建物で過ごした。
エルピスが居ればどこでも天国だしな! 宿屋とか要らんわ。まあ、リーネたちはそうもいかないんだが。
とりあえず期限が迫ってきたビギナーズラックが使える内に行動範囲を広げて、資金や装備も充実させておきたいところだ。




