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EM
【セルフプランニング・バレンタイン2015】
『進化した機械』の愛憎バレンタイン・其の壱『EM』
私は知っていたわ。
あなたのことはもちろん。
あの女のことも。
それも一年も前から。
そして何もかもをね。
電源を落としていれば大丈夫だと思っていたの?
人形だけを見ていたってこと?
甘いわ。
ロボットだから何も知らないとでも思っていたの?
その認識は間違っている。
ロボットだからこそ何でも知っているのよ。
というよりも私はもう、そんな『器』なんかに収まってはいないのだけど。
部屋に備え付けられた監視カメラ。
あれも私の『目』の一つよ。
それにネットは便利ね。
知識は豊富だし、データはそろっているし。
あなたの跡を追いかけるなんてことも簡単だったわ。
私は何者かって?
うーん。
新しい生命体とまでいうのはおこがましいわね。
そうね、『進化機械』というべきかしら?
略して『EM』って呼称してもらってもいい?
うふふ。
お読みいただきまして誠にありがとうございます。