表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の狩人  作者: 秋
8/71

深夜の散歩

カチッ。深夜0時を回った。

新一は、自室のベットの上で仰向けになって、じっと天井を見つめていた。

いつもなら寝ている時刻であるが、今日はいささか眠れなかった。

「名切さん……」

不意に彼女の名前を呟いたのは、ほとんど無意識だった。

今日はーーいや昨夜から起きた一連の出来事は、俺にとっては中々衝撃的なことばかりだった。

殺人鬼に出会う。

身体を刀で斬られる。

自分が人間ではなく異端者という存在。

怒涛の出来事が起きた。どれをとっても霞むはずのない記憶になるはずなのに……。

名切美月。彼女と出会ってから時間にしてみれば、まだ1日ほどしか経っていない。それだというのに、もう何年もの記憶を共有しているかのように……彼女の1コマ1コマの動きであったり表情が脳に焼き付いて離れない。むしろ、それ以外の記憶などは、不要といわんばかりに、消え去るかのようだ。

「どうしちゃったんだ、俺……?」

運命なんてキザな言葉を使うまい。そう思いながらも、彼女との出会いを飾る言葉は、それが一番適しているような気がしてならない。

とにかく、まだ明日も学校だし……寝よう。

目を閉じて、しばらくしてからだった。

ガチャン。と物音がした。

すぐに玄関の引き戸が開けられたらのがわかった。

身体を起こし、窓の外を見つめる。

すると人影が一つ。

「……名切さん?」

彼女はしっかりとした足取りで、どこかへ向かっていく。服装も寝巻きなどではない。何か目的でもあるのだろうか?

急いで寝巻きから、簡単に着替えて、そーっと我が家を後にした。そして急いで、名切さんの後を追いかけた。


「名切さん!」

外に出てからすぐに、彼女には追いついた。そして深夜だということも忘れ、大きな声で彼女を呼び止めた。

「新一さん……どうされたんですか?」

少し驚いたような表情と、その後に見せる笑み。二日前、初めて会った時のことを思い出す。

「いや、その……名切さんが外へ出たのに気がついて……」

「そうですよね? 私の方が変ですよね。フフ。なんとなく、月を見たくて」

名切さんにつられて、夜空を見上げる。

今夜は満月。

チラッと、隣に佇む彼女を見て、息を呑む。

その白く透き通る横顔も、風に靡くブラウン色の髪も……金色に輝く瞳も、見ているだけで吸い込まれそうなほど綺麗だった。

「どうかしましたか? 新一さん」

「えっ、あっ、いや……その綺麗だったから」

「はい。綺麗ですね? 今晩の月は」

違う、と言いかけて、慌てて口を閉じた。

「そういえば、新一さんの通う学校はこの近く何ですか?」

「あ、はい。行ってみますか?」

俺と名切さんは、自然と歩き出した。閑散とした夜道に、俺たちの足音が響く。

「そういえば、名切さんは学校は?」

「そうですよね。私は16歳なので、本当なら新一さんと同じように通っていたかもしれません。高校に。

ーーでも、私は早かったですから。

自分が異端者だと自覚したのが」

「そう、なんですか……」

そういえば、俺は名切さんのことを知らない。会ったばかりだから、仕方ないことかもしれないが……。

「あの、もし良かったら教えてくれませんか?」

「えっ?」

「名切さんのこと。知りたいんです」

俺と同じように足を止め、こちらをじっと見つめる彼女。その瞳に迷いが見えたが、それも消えた。

「わかりました。新一さんには、話しておきます。私の異端者としての過去を」

「ーーはい」

俺と名切さんは、歩調を少し緩めながら、学校へと向かっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ