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鬼木との約束
「フン」
「ーー何してやがった、テメエ?」
目の前には鬼木がいる。
わかっていたことだ。
刀の鍔に手をかける。
「新一は?」
「奴なら通した」
「何故?」
「それはこっちの台詞だ!」
いきなり突進するかのように、刀を振るう。
慌てて合わせるが受け止めきれず吹き飛ばされる。
「テメエが止めりゃあよかったんだ」
「っく! だから止めに来た」
猛烈。剣劇の嵐だ。かわしきれない。
「そんな弱さであの魔女に、男を止められる訳がねえだろうが!」
「それでも来た!」
唯一振るった太刀。それが不意を付いたのか。
嘘のように弾き飛んで、奴の刀。
破魔の太刀を吹き飛ばした。しかし自らの刀泰然自若刀は折れてしまった。
「行け」
「フン。どういうつもりーー」
「行け!」
するといきなりウェア・ウルフの軍勢が来た。
それを鬼木が止める。
「テメエにその刀をくれてやる! それで止めて来い!」
「すまぬ!」
ありがとうと口にしなかったのは、素直になれない自分がいるからだ。未熟だな。
だが思いは受け取った。
奴の最後の絶叫とウェア・ウルフの遠吠えを後ろ背に駆け出した。
その際に、
「感謝する」
誰にともなく呟いた。




