命懸けの問いかけ
「名切さん。知っていることがあったら話して下さい」
私のそんな問いに、
「千春さんの方こそ、知っていることは何ですか?」
と問いかけてくる。
睨み合いが、続いた。
ーーズルい。喧嘩を売ったのは、私だが、ナイフを突きつけているのは、名切さんだ。それも脅しではない。既に、そのナイフは円口さんの血で染まっているはず……。
握り拳を作ることで我慢して、口を開いた。
「お兄ちゃんが異端者であること。城内さんが異端者狩りであること。そして……あなたが」
「魔女だということ?」
コクリと頷く。
やっぱり……そうだったんだ。
「それで? あなたは私の何を知りたいの?」
自然と。いや、不自然に駅のホームはガランとしていた。
客も車掌も電車も来ない。
「ーーお兄ちゃんをどうする気、何ですか?」
「どうするって……私たちは愛し合っているんですよ?」
髪を指でクルクル巻いて、微笑む姿は、姉のようにしたっていた彼女とは別人だ。
なんだか……。
「怖いです。名切さん」
そんな私の拒絶に似た言葉も、
「フフフ」と軽くあざ笑う。
「千春さんって、見た目が大人っぽいのに幼く見える理由がわかりました。
真っ直ぐ過ぎるんです。正直過ぎるんです。時には、嘘を覚えなさい」
「名切さん……?」
彼女の瞳が赤く染まっていく。
「でないと、死ぬわよ」
その時だった。
アナウンスと共に、電車がやってくる。
一、ニ、三……八、九ーー。
電車が到着し、人の波が押し寄せる。
まるで先ほどまでの閑静が嘘かのように……。
降りてくる人並みに遮られて、名切さんの姿を見失っていた。それと同時に救われたのだ。
ーー生きてる……。
全身に伝う冷や汗を感じながら、ただただ呆然と立ち尽くすのだった。




