庇う
「うっおおおおおおおおお!」
言い訳の言葉もなく、ただ一発殴られてやった。
それがせめてもの救いだから。
「はあはあ……城内、お前が!」
「早く眠らせてやれ」
死んでしまった円口を、放り投げるように渡してやる。これが死んだ者への扱いでないことは分かっている。
でもだからこそそれでいい。
「殺したのは、俺だ!」
大嘘に拍車がかかる。
意外にも、新一は目を丸くして、驚いているようだ。
もちろん。その後方では、名切も驚いている。
「城内……お前?」
「フン。何か勘違いしていないか?
俺は異端者狩り。異端者を狩るーー殺す者だ。この行為は当然のことだ」
自分で言いながらも、疑問符は浮かんでくるばかりだ。
何故、俺は魔女を庇っているのか?
自分でも自分の心がわからない。
「っく! 城内!」
再び、飛びかかってこようとする新一に、一太刀浴びせた。
「ぐわああ!」
血飛沫を上げる新一。
魔女の援護もない。きっと先ほど、魔力を使い果たしたのだろう。
「ーー消えろ」
一言。願いにも似た思いを口にする。
そう今は一人がいい。
「刀が錆びる。今日は見逃してやる」
自分で言うのも何だが、下手くそな誤魔化しだ。
それでも今は構わない。
「新一さん、行きましょう」
名切の肩を借りて、背中を見せて歩いていく二人。
絶好のチャンスなのは分かっているが、追いかけることはしない。
魔女だけが振り返り、言葉にせずに、
「何故?」と問うてきた。
それに答える訳もなく、
「すまない……」
残された円口にただ謝罪するだけだった。




