満身創痍
「はあ、はあ……っくっそ」
腕の痛みと出血のせいで、まともに歩くことすら出来ないような状態だった。繁華街だということも忘れて、ビルの壁を走り抜けていたのは、それもあっただろう。
「しまっ!」
自分の血で足元が狂った。
ズルッと滑って、急降下。
ビルの10階の高さから、繁華街のど真ん中へと落ちた。
「うっ……」
気がつくと、野次馬たちに取り囲まれていた。
っく! 身体を起こそうとしてみても、動かない……。
また俺はこんなところで、終わっちまうのかよ……。
「けて……」
自然と言葉が漏れていた。
「たすけて……」
涙が零れていた。
「たすけてくれえええええええ!」
野次馬たちがおののいたのがわかった。
もう誰でもいい。
助けてくれ! ーーお願いだ、助けてくれよ!
「コイツ、青のチーターじゃねえか?」
「ああ。間違いない」
「私、この子に万引きされたことあるわよ!」
野次馬たちが騒ぎ出す。そして、
「助けてとかほざいてんじゃねえよ!」
「コイツ、さっき上から落ちてきたぜ? 自殺願望でもあるんだろう?」
「許せない! あの時の私のお金、返しなさいよ!」
蹴りを入れてきた。
こう見えても死にかけの俺を、蹴り飛ばしてきた。
何度も何度も。
殺そうとするように……。
は、はははは。
そうだよな……。
誰も助けてくれなんかしねえよな?
その時、僅かながらの邪心が壊れるかのように、パリンと音がした。
他人になんか頼っちゃダメだ。
俺が助けるんだよ! 俺の友達何だから……。
「おおおおおおおおお!」
俺の絶叫でおののく野次馬たち。
その隙を逃すことなく、一瞬で駆け出す。
何故だろう? 先ほどよりも、ずっと満身創痍のはずなのに、ずっと速く走れる気がした。いや、早かった。
待ってろよ、新一!
全力で駆け出した。




