56/71
最期
「新一さん」
「名切さん……どうしたんですか?」
円口と少し話して、別れた後だった。
夜の住宅街に、彼女ーー名切美月さんが現れた。
まるで、初めて会ったあの日の夜みたいに……。
「少し心配で」
彼女の言葉に嘘はないだろう。
本当に心配してくれているのだろう。
だが、それが「何を?」と考えると、表情に出てしまう。
「新一さん?」
「いや、さっき円口とも話してたんですけど、今日は楽しかったなあ、と思って」
「ーーそうですね。私もです」
その答えを聞いて、安心した。
だって、
「これが、最初で最期ですから」
「え?」
名切さんの言葉も、彼女自身も置いて、ゆっくりと歩き出した。




